答弁本文情報
令和七年六月十三日受領答弁第二一一号
内閣衆質二一七第二一一号
令和七年六月十三日
内閣総理大臣 石破 茂
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員井坂信彦君提出米の需要見通しに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員井坂信彦君提出米の需要見通しに関する質問に対する答弁書
一及び三について
農林水産省においては、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律(平成六年法律第百十三号)第四条第一項の規定に基づき、毎年、米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針(以下「基本指針」という。)において、米穀に係る需要見通し(以下「需要見通し」という。)を定めているところ、その今後の策定に当たっては、御指摘の「インバウンドによる増加分」及び「海外への輸出量」についても、関係者の意見を聴いた上で適切に対応してまいりたい。
二について
お尋ねの「インバウンド需要向けに、ホテルや飲食店で使用、もしくはキープしている米が増えていて、一般家庭への流通が滞っている」かどうかについては、調査を行っておらず、お答えすることは困難である。なお、令和七年三月二十六日に開催した第六十五回食料・農業・農村政策審議会食糧部会参考資料六「米の基本指針(案)に関する主なデータ等」では、訪日外国人による米穀の需要量について、令和六年は五・二万トン(精米換算。以下同じ。)、令和七年は七・〇万トンとそれぞれ試算している。
四について
お尋ねの「米の需要が高まることが予見できなかったのか」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「米の需要」については、需要見通しによりその見通しを示している。その算定方法については、農林水産大臣が令和六年七月に策定し、令和七年五月に変更した基本指針の第二の二において、「一人当たり消費量(推計値)に人口(推計値)を乗じる手法により、算出すること」としている。この「一人当たり消費量(推計値)」は、「平成八/九年から・・・の需要実績をそれぞれ当該年の人口で除し」たものであるところ、この場合の「需要実績」は、当年産の「主食用米等生産量」と各年の「六月末民間在庫量」の合計から、翌年の「六月末民間在庫量」を差し引いて算出している。このため、需要見通しにおいて、御指摘の「海外における日本食レストラン数」、「輸出額」、「訪日外国人旅行者数」等の一時的な増減を直ちに反映することは困難であると考えている。いずれにしても、需要見通しの今後の策定に当たっては、一及び三についてで述べたとおり、関係者の意見を聴いた上で適切に対応してまいりたい。
五について
御指摘の「日本産の米が各国で日本よりも安く販売」され、一定量の在庫が存在する事例があることは報道等により承知している。
六について
御指摘の「減反・減産による生産調整」については、令和七年三月十二日の衆議院農林水産委員会において、松尾農林水産省農産局長が「平成三十年より、生産数量目標の配分・・・を国が行わない・・・政策に移行いたしまして、それぞれの農業者、産地が需要に応じた生産を行うということが基本になっております」と答弁したとおりである。また、米穀の輸出に当たっては、民間事業者が当該米穀の実需者の需要に対応して供給を行う必要があることから、御指摘のように、「米の国内での需給と価格の調整」を目的として「輸出量を調整する」ことは困難であると考えている。