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令和七年八月十五日受領
答弁第一〇号

  内閣衆質二一八第一〇号
  令和七年八月十五日
内閣総理大臣 石破 茂

       衆議院議長 額賀福志郎 殿

衆議院議員山崎誠君提出「青森県との高レベル放射性廃棄物搬出期限の約束を守る件」及び「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員山崎誠君提出「青森県との高レベル放射性廃棄物搬出期限の約束を守る件」及び「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」に関する質問に対する答弁書


一及び二について

 六ヶ所高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターに貯蔵されているガラス固化体(使用済燃料を溶解した液体から核燃料物質その他の有用物質を分離した残りの液体をガラスにより固型化したものをいう。以下同じ。)について、青森県及び六ヶ所村と日本原燃株式会社(以下「日本原燃」という。)が締結した「六ケ所高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター周辺地域の安全確保及び環境保全に関する協定書」(以下「協定書」という。)において、「「ガラス固化体の一時貯蔵管理」・・・の期間・・・は、それぞれのガラス固化体について、貯蔵管理センターに受け入れた日から三十年間から五十年間とし」、日本原燃は、「管理期間終了時点で、それぞれのガラス固化体を電力会社に搬出させるものとする。」と定められていることから、この管理期間については、協定書で示されたものであり、ガラス固化体の発生者としての基本的な責任を有する、実用発電用原子炉を有する十社の電気事業者(以下「電気事業者」という。)が搬出の責任を負うものと認識している。政府としては、日本原燃及び電気事業者に対し、協定書の内容を遵守するよう指導していく考えである。

三の1の前段について

 お尋ねについては、原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画(平成六年六月二十四日原子力委員会決定)において「処分場の建設・操業の計画は、処分場建設に至るまでに要する期間や再処理計画の進展などの今後の原子力開発利用の状況等を総合的に判断して、二千三十年代から遅くとも二千四十年代半ばまでの操業開始を目途とします。」としたところであるが、その後、特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律(平成十二年法律第百十七号。以下「最終処分法」という。)第四条に基づき、平成十二年、平成十七年及び平成二十年に閣議決定した、「特定放射性廃棄物の最終処分に関する計画」(以下「最終処分計画」という。)において、最終処分施設建設地の選定に向けた調査や最終処分施設の建設に必要な期間を勘案し、「平成四十年代後半を目途に最終処分を開始するものとする。」としている。

三の1の後段、2及び3の前段について

 お尋ねの「現時点で政府として目指している開始時期とその理由」、「実現の可能性」、「これらの実現の可能性」及び「最終処分場操業は間に合わないと考えるが、政府の見解を示されたい」については、これまで北海道寿都郡寿都町及び古宇郡神恵内村並びに佐賀県東松浦郡玄海町において、原子力発電環境整備機構(以下「機構」という。)が、最終処分法に基づく文献調査を開始しており、このうち北海道寿都郡寿都町及び古宇郡神恵内村については、最終処分法及び特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律施行規則(平成十二年通商産業省令第百五十一号。以下「最終処分法施行規則」という。)に基づき、機構が当該文献調査の報告書を令和六年十一月に公表し、概要調査地区の選定に向けた説明会の開催や意見募集等の手続を進めており、政府としては、可能な限り早期の特定放射性廃棄物の最終処分の実現に向け取り組むこととしている。

三の3の後段及び八の3について

 最終処分施設建設地の選定に向けた調査や最終処分施設の建設に必要な期間は、政府としては、三十年間程度と示しているが、技術の進展や、個々の調査地点における安全審査、地域の合意形成の在り方などの状況に応じて変わり得るものであると認識しており、また、一及び二についてでお答えしたとおり、六ヶ所高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターに貯蔵されているガラス固化体の搬出については、ガラス固化体の発生者としての基本的な責任を有する電気事業者がその責任を負うものと認識しており、政府としては、日本原燃及び電気事業者に対し、協定書の内容を遵守するよう指導していく考えである。

四について

 お尋ねの「説明」については、令和七年四月十七日に開催した「第八回使用済燃料対策推進協議会」において、電気事業連合会から「青森県に搬入されたガラス固化体の搬出期限を遵守するために必要な具体的取組について検討する。」との説明を受けている。また、政府としては、電気事業者に対し、青森県に搬入されたガラス固化体について、御指摘の「搬出時期遵守」及び必要な取組の検討を要請している。

五について

 平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により、当該原子力発電所から放出された放射性物質による環境の汚染が最も深刻な福島県においては、住民が既に過重な負担を負っていること等を踏まえ、総合的に判断した結果、中間貯蔵・環境安全事業株式会社法(平成十五年法律第四十四号)第三条第二項等において、中間貯蔵施設に貯蔵する福島県内除去土壌等について、「中間貯蔵開始後三十年以内に、福島県外で最終処分を完了するために必要な措置を講ずる」とされ、お尋ねの「貯蔵期間」及び「搬出期限」が国の責務として明記されたものと承知している。一方、六ヶ所高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターに貯蔵されているガラス固化体の搬出については、発生者としての基本的な責任において、電気事業者が行うものであると認識しているところ、立法については国会において議論がされるべきものと承知しており、「法で定めるべき」か否かについては、政府としてお答えする立場にない。

六の1及び2について

 お尋ねの最終処分計画を平成二十年以降「策定してこなかった理由」は、平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震及びこれに伴う東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故の発生を受け、地層処分の技術的信頼性の再評価を含めた、特定放射性廃棄物の最終処分に関する政策の見直しなどを行ってきたためであり、当該見直しを踏まえ、最終処分法第三条に基づく特定放射性廃棄物の最終処分に関する基本方針(以下「基本方針」という。)の改定を行っている。お尋ねの「策定時期」については、基本方針に即して、適切な時期に改定することを検討している。また、概要調査の実施に当たっては、最終処分法に基づき経済産業大臣が最終処分計画を改定し、概要調査地区の所在地を定めることとなっており、機構は、最終処分計画及び最終処分法第五条に基づく特定放射性廃棄物の最終処分の実施に関する計画に従い、概要調査を行うこととなるため、いずれにせよ最終処分計画を改定することとなる。

六の3について

 最終処分施設建設地の選定に当たっては、基本方針や最終処分計画の内容を踏まえ、特定放射性廃棄物の最終処分の必要性や安全性などに対し、広く国民の理解を得ることが不可欠であることから、引き続き、全国的な説明会の開催や、新聞広告、テレビコマーシャル等を活用した広報などに取り組んでいく。

七並びに八の1及び2について

 最終処分施設建設地の選定に向けた調査や最終処分施設の建設に必要な期間は、政府としては、お尋ねの「最終処分場建設工事」及び「施設の設計、申請、安全審査、認可、着工」や地域の合意形成に要する期間を見込んで三十年間程度と示しているが、技術の進展や、個々の調査地点における安全審査、地域の合意形成の在り方などの状況に応じて変わり得るものであると認識しており、一概にお答えすることは困難である。また、お尋ねの「現時点は「三十年間程度」の間のどの工程にいると見込んでいるのか」については、現在、北海道寿都郡寿都町及び古宇郡神恵内村並びに佐賀県東松浦郡玄海町において、機構が、最終処分法に基づく文献調査を開始しており、このうち北海道寿都郡寿都町及び古宇郡神恵内村については、最終処分法及び最終処分法施行規則に基づき、機構が当該文献調査の報告書を令和六年十一月に公表し、概要調査地区の選定に向けた説明会の開催や意見募集等の手続を進めている。

九について

 御指摘の「多くの自治体が最終処分地を拒否」している点について、政府として必ずしもその事実を把握していないが、六の3についてでお答えしたとおり、最終処分施設建設地の選定に当たっては、基本方針や最終処分計画の内容を踏まえ、特定放射性廃棄物の最終処分の必要性や安全性などに対し、広く国民の理解を得ることが不可欠であることから、引き続き、全国的な説明会の開催や、新聞広告、テレビコマーシャル等を活用した広報などに取り組んでいく。

十の1について

 お尋ねの「政府の原子力政策に対する国民の信頼が失われ」「ている」の意味するところが必ずしも明らかではないが、原子力政策の「国策としての妥当性と正当性」については、「エネルギー基本計画」(令和七年二月十八日閣議決定)において、「DXやGXの進展による電力需要増加が見込まれる中、それに見合った脱炭素電源を十分確保できるかが我が国の経済成長や産業競争力を左右する状況にある。」「再生可能エネルギーか原子力かといった二項対立的な議論ではなく、再生可能エネルギーと原子力を共に最大限活用していくことが極めて重要となる。」としたとおりである。

十の2について

 核燃料サイクル政策や特定放射性廃棄物の最終処分に関する政策について様々な意見があることは承知しているが、六ヶ所再処理工場の竣工については、「エネルギー基本計画」において、「必ず成し遂げるべき重要課題」としており、特定放射性廃棄物の最終処分についても、「最終処分の実現に向け、特定放射性廃棄物の最終処分に関する基本方針に基づき、国が前面に立ち取り組む。」こととしている。

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