衆議院

メインへスキップ



答弁本文情報

経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
令和七年十二月十六日受領
答弁第一一七号

  内閣衆質二一九第一一七号
  令和七年十二月十六日
内閣総理大臣 高市早苗

       衆議院議長 額賀福志郎 殿

衆議院議員八幡愛君提出法医人材の育成及び確保に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員八幡愛君提出法医人材の育成及び確保に関する質問に対する答弁書


一の1について
  
 変更前の「死因究明等推進計画」(令和三年六月一日閣議決定、令和六年七月五日全部変更)において、「死因究明等に関する各地方公共団体の実態を把握し、今後、国及び地方公共団体が施策に関する定量的な目標設定を行うための基礎的なデータを得るため、令和三年度から定期的に・・・施策の実施体制や実績等に関する横断的な実態調査を行う」としていることに基づき、同年度から毎年度、大学等の法医学教室の体制及び実績に係る実態調査を行っており、同年度から令和六年度までの各年度における@大学等の法医学教室に所属する常勤医師の人数、A大学等における異状死体(「死体又は妊娠四月以上の死産児」(医師法(昭和二十三年法律第二百一号)第二十一条)のうち医師が「検案して異状があると認めた」ものをいう。)等の取扱件数及びBAのうち大学等における司法解剖の実施件数をお示しすると、それぞれ次のとおりである。
 令和三年度 @百五十八人 A一万九千三百七十四件 B九千百二十七件
 令和四年度 @百五十二人 A二万二千六百四件 B一万百五十九件
 令和五年度 @百八十八人 A二万三千五百六十二件 B一万七百九十三件
 令和六年度 @百五十二人 A二万二千八百二十六件 B一万五百七十二件

一の2について
  
 大学等の法医学教室に所属する医師に係るお尋ねの「一人当たりの平均解剖件数」については、令和六年度においては約九十六件であると承知しているところ、「死因究明等推進計画」において記載しているとおり、「大学の法医学教室において、今後定年退職を迎える法医学者が更に増えていく見込みの中、未だ常勤の医師が一人で、解剖を補助する人材も少ない状況が見受けられるなど、その体制の脆弱性が課題となっている」と認識している。

二について
  
 政府としては、「令和六年度政府が講じた死因究明等に関する施策」(以下「令和七年版死因究明等推進白書」という。)において記載しているとおり、「平成二十九年度以降、基礎研究医養成活性化プログラムにより、不足する・・・法医学等の基礎研究分野における優れた人材を養成するため、複数の大学が連携し、キャリアパスの構築を見据えた体系的で優れた教育を実施する国公私立大学の取組に対して必要な経費を支援」するとともに、「令和三年度からは・・・近隣の大学、その所在する地方公共団体等と連携し、法医学分野を目指す大学院生の養成」を支援しているところであり、これにより、令和三年度からの四年間で四十二名の法医学分野の医師を養成するに至っており、一定の成果を上げていると考えている。一方で、死因究明に係る人材の育成及び確保は、引き続き喫緊の課題であると認識しており、今後とも必要な施策を講じていくこととしている。

三の1について
  
 お尋ねの「全国的な監察医制度の拡充」については、監察医を置くべき地域を定める政令(昭和二十四年政令第三百八十五号)において定める地域を全国に「拡充」することについての「検討」は、現時点において行っていない。また、「広域連携による法医支援体制」については、その具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、政府においては、都道府県間で都道府県の区域を越えて解剖を実施する医師を派遣することに対する助成等は行っていないものの、例えば、令和七年版死因究明等推進白書において記載しているとおり、「都道府県知事部局、都道府県警察、地域の医師会、大学の法医学教室等の関係機関の連携の下、公衆衛生の観点から必要とされる死亡時画像診断等の検査や遺族の承諾を得て、医師等の判断による解剖・・・を円滑に実施するための拠点を試行的に構築し、運用する事業」を「死因究明拠点整備モデル事業」として行っているところである。

三の2について
  
 政府においては、法医学分野の医師等を目指す大学院生の養成等を近隣の大学等と連携して行う大学に対し、当該大学の教員の給与等に要する経費の一部を補助する事業を行っているところであり、引き続き、こうした取組を通じてお尋ねの「法医学講座」の人材確保を促進していくこととしている。また、お尋ねの「共同解剖センターの整備についての方針」については、「共同解剖センター」がどのようなものを想定しているのか必ずしも明らかではないが、令和七年版死因究明等推進白書において記載しているとおり、「各地域において必要な死因究明等が円滑に実施され、その結果が公衆衛生の向上・増進等に活用される体制の構築を推進する」ため、三の1についてでお答えした事業を行っているところである。

四の1について
  
 お尋ねの「若手医師に対する奨学金」については、その具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難であるが、「法医学を専攻する大学院生」「に対する奨学金」については、「法医学を専攻する大学院生」を含めて、政府において、高等教育段階における教育費の負担軽減に取り組んでおり、例えば、独立行政法人日本学生支援機構による貸与型奨学金事業の充実を図ってきたところ、新たに「法医学を専攻する大学院生」を対象とした奨学金を創設することは、現時点において考えていない。また、お尋ねの「リカレント教育」については、令和七年版死因究明等推進白書において記載しているとおり、「臨床医、臨床歯科医等の学び直しを行う教育拠点を構築する取組を支援」してきたところである。お尋ねの「専門医制度上の優遇措置」について、お尋ねの趣旨が明らかではないため、お答えすることは困難である。

四の2について
  
 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、御指摘の「法医人材」に係る「長期的なキャリアパス整備」については、政府としては、二についてでお答えした支援を行っているところであり、引き続き、こうした取組を通じて法医学分野の人材を養成していくこととしている。

五について
  
 お尋ねの「多職種連携による総合的死因究明ネットワークの構築」については、「総合的死因究明ネットワーク」がどのようなものを想定しているのか必ずしも明らかではないが、例えば、各都道府県内の死因究明等を行う専門的な機関の整備その他の死因究明等に関する施策の検討を行うため、都道府県警察、大学、都道府県医師会、都道府県歯科医師会、地方検察庁、海上保安庁等の関係機関からなる死因究明等推進地方協議会が全ての都道府県に設置されているものと承知しており、政府としては、令和七年版死因究明等推進白書において記載しているとおり、「関係機関・団体に対して、文書の発出や会議、研修等での指示等を通じて、地方協議会の活用に向けた協力等を求めている」ところである。また、お尋ねの「全国的な死因データベース整備」については、例えば、令和七年版死因究明等推進白書において記載しているとおり、「異状死死因究明支援事業を活用するなどして実施された解剖や死亡時画像診断に関する情報を収集し、関係機関において共有・分析するためのデータベースについて、各種法令や指針を踏まえ、適切に運用するための検討を行ったほか、その技術的課題や運用上改善を要する点の有無を明らかにするため、当該データベースを試行的に運用している」ところである。
 その上で、お尋ねの「多職種連携による総合的死因究明ネットワークの構築」及び「全国的な死因データベース整備」の「運営」における「法医人材の教育・研究負担を軽減するための支援策」については、その趣旨が明らかではないため、お答えすることは困難である。

六の1について
  
 御指摘の「司法解剖率」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではなく、また、「我が国の司法解剖率は一割未満にとどまり、欧州諸国をはじめとする主要国では二割から四割程度に達するとの国際的比較」に係る「指摘」については、政府として承知していないが、警察庁に設置された「犯罪死の見逃し防止に資する死因究明制度の在り方に関する研究会」が平成二十三年四月に公表した「犯罪死の見逃し防止に資する死因究明制度の在り方について」において、「海外調査対象国における法医解剖等の現状」として、スウェーデン王国等と我が国との間の「異状死体の解剖率」等に係る比較が報告されているものと承知している。

六の2について
  
 お尋ねの「司法解剖率」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、司法解剖については、その司法解剖に係る死体について、その死亡が犯罪によることが明らかな場合又はその死亡が犯罪による疑いがあり、死因等を明らかにするため必要である場合に、検察官、検察事務官又は司法警察職員から刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第二百二十三条第一項の規定に基づき鑑定の嘱託を受けた鑑定人において、同法第二百二十五条第一項の裁判官の許可を受けて行っているところ、都道府県警察等において、それぞれの事案ごとに、死体及び現場の状況、各種検査の結果、立ち会った医師の意見等を勘案し、個別に解剖の要否が適切に判断されているものと承知しており、死因究明等推進基本法(令和元年法律第三十三号)第三条の基本理念に沿っているものであると考えている。

経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.