答弁本文情報
令和七年十二月二十三日受領答弁第一九七号
内閣衆質二一九第一九七号
令和七年十二月二十三日
内閣総理大臣 高市早苗
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員緑川貴士君提出持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院経営の支援等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員緑川貴士君提出持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院経営の支援等に関する質問に対する答弁書
一について
お尋ねの「緊急的な財政支援」及び「診療報酬の大幅な加算」については、令和七年十二月十一日の衆議院予算委員会において、高市内閣総理大臣が「医療機関が、物価、賃金の上昇などの状況に直面している、かなり経営が厳しいという強い認識を持っておりましたので、約一・四兆円程度の医療・介護等支援パッケージを緊急措置いたしました。これは、報酬改定の効果を前倒しして、経営の改善、それから従業員の処遇改善につなげるというものです。他産業の状況も踏まえた賃上げ、それから物価上昇を踏まえた対応として措置をしたものでございます。これで国民の命と暮らしを守る、安心して医療、介護、福祉サービスを受けられる体制が整備できるように、一刻も早く現場に届けたいと思います。その先に診療報酬改定、ここでしっかりとまた物価高、コスト高というものを見ていきたいと思っております」と答弁したとおりである。
また、お尋ねの「物価や賃金の上昇に応じて診療報酬を適時適切にスライドさせる仕組み」については、同月四日の参議院厚生労働委員会において、上野厚生労働大臣が「診療報酬や介護報酬を物価や人件費の上昇に応じて自動的に改定をすることにつきましては、・・・予見可能性が高まる、こういう面は確実にあるというふうに考えています。ただ、その一方で、じゃ具体的にどういうルールにするのか、どう定めるのかという観点であったり、あるいは財源、これをどのように安定的に確保するのか、そういった観点からも様々な課題があるのもまた事実だというふうに考えております。まずは物価や賃金を適切に反映する改定というのを着実に実施していけるように努力をしていきたいと思いますし、今後そうした・・・反映の仕方についても十分検討していく必要があろうかというふうに考えております」と答弁したとおりである。
二について
御指摘の「過疎化・高齢化が進む地域」も含めた「医療従事者の確保や処遇改善の取り組み」については、診療報酬の算定方法(平成二十年厚生労働省告示第五十九号)において、医療機関に勤務する看護職員、薬剤師その他の医療関係職種の賃金の改善を実施している場合を評価する「外来・在宅ベースアップ評価料(T)」等を設けているほか、一についてでお答えした「医療・介護等支援パッケージ」を措置したところである。さらに、御指摘の「過疎化・高齢化が進む地域」における「医療従事者の確保」に資する支援として、例えば、へき地に対しては、令和七年十二月二日の参議院厚生労働委員会において、上野厚生労働大臣が「へき地において診療やプライマリーケアを実践できる医師の育成等を担っていただいておりますへき地医療拠点病院・・・への財政的な支援、あるいは基礎的な医療を担っていただくへき地診療所、こうしたものへの財政的な支援も行わせていただいております」と答弁しているとおりである。
三について
御指摘の「同事業の運営費に対する積算単価」の意味するところが必ずしも明らかではないが、病院事業に要する経費のうち一般会計が負担すべき経費については、総務省において調査している地方公営企業決算統計等を踏まえ、必要額を地方財政計画に計上し、地方交付税により、各地方公共団体に対して、財政措置を講じているところであり、公立病院に係る地方財政措置については、公立病院が地域医療の提供について重要な役割を果たしていること等を踏まえ、毎年度、地方財政対策の中で検討していくこととしている。
また、御指摘の「同交付税の繰出基準」の意味するところが必ずしも明らかではないが、毎年度、「令和七年度の地方公営企業繰出金について」(令和七年四月一日付け総財公第二十八号総務副大臣通知)等において公営企業繰出金の基本的な考え方を通知しており、これらの通知に基づき適正な運用を図っているところ、公立病院の役割は、その立地条件や医療機能等により様々であることから、現時点においては、当該基本的な考え方をこれまで以上に明確化すること等は困難であると考えている。
四について
御指摘の公立病院については、令和七年十二月九日の衆議院予算委員会において、上野厚生労働大臣が「例えば不採算医療であったり、あるいは特殊な医療であったり、地域医療にとって極めて重要な役割を担っていただいていると考えております」と答弁しているところ、公立病院も含め、地域医療構想は、病床の削減や病院の統廃合ありきではなく、中長期的な人口構造や地域の医療ニーズの変化に応じて、質の高い効率的な医療提供体制の確保を目指すものであり、御指摘の「病床削減」については、御指摘の「地域医療の維持・継続」への「影響」等に留意しながら、行われるべきものと考えている。
五について
お尋ねの「十一万床」に関しては、令和七年六月六日に自由民主党、公明党及び日本維新の会の三党により合意された「自由民主党、公明党、日本維新の会 合意」において、「人口減少等により不要となると推定される、約十一万床・・・の一般病床・療養病床・精神病床といった病床について、地域の実情を踏まえた調査を行った上で、二年後の新たな地域医療構想に向けて、不可逆的な措置を講じつつ、調査を踏まえて次の地域医療構想までに削減を図ること(中略)その上で、感染症等に対応する病床は確実に確保しつつ、・・・精査を行う」こととされたものであり、また、第二百十七回国会に内閣が提出した医療法等の一部を改正する法律案に対して、「都道府県は、その地域の実情を踏まえ、医療機関がその経営の安定を図るために緊急に病床数を削減することを支援する事業を行うことができることとするとともに、医療機関が当該事業に基づき病床数を削減したときは、厚生労働省令で定める場合を除き、医療計画において定める基準病床数を削減するものとすること」との趣旨説明により提案された議員修正により、医療法等の一部を改正する法律(令和七年法律第八十七号)による改正後の地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律(平成元年法律第六十四号)第七条の二において、「都道府県は、その地域の実情を踏まえ、医療機関がその経営の安定を図るために緊急に病床数を削減することを支援する事業を行うことができる」との規定が新設された経緯等を踏まえると、御指摘のように「地域で維持されるべき病床を削減対象とする」ものではないと承知しており、このことを前提としたお尋ねにお答えすることは困難である。

