答弁本文情報
令和八年十月二十三日受領答弁第一一号
内閣衆質二二二第一一号
令和八年十月二十三日
内閣総理大臣 高市早苗
衆議院議長 森 英介 殿
衆議院議員長妻昭君提出RDワーカーといわれる難病患者等の就労促進に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員長妻昭君提出RDワーカーといわれる難病患者等の就労促進に関する質問に対する答弁書
一の1について
令和三年度から令和五年度にかけて独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(以下「機構」という。)が実施した「難病患者の就労困難性に関する調査研究」(以下「調査研究」という。)において、「障害者手帳の認定が機能障害に基づき就労困難性を把握しやすいのに対して、障害者手帳のない難病患者の就労困難性や支援ニーズは専門支援者にも職場関係者にも把握されにくいことが、近年の制度・サービスの整備にかかわらず、実際の合理的配慮提供や支援の実施が困難となっている一因となっている可能性がある」ことを背景に、「難病患者が実際に経験している就労困難性の原因となる障害認定基準に含まれない「その他の心身機能の障害」等や、企業・職場の理解・配慮や支援機関の支援の現状と課題について、難病患者・・・、企業・・・、支援機関・・・、それぞれの視点からの調査により、総合的に明らかにすることを目的」として、「就労困難性の検証対象として重要である軽症者や指定難病以外の難病患者も含めて、全国の十八歳〜六十五歳の多様な特徴のある難病患者を偏りなく調査対象とするために、利用者層の異なる複数の支援機関等を通して、難病患者への患者調査の周知依頼を行」い、「患者調査と支援機関調査を一体」とした「インターネット調査」が実施されたところである。
その上で、お尋ねの「指定難病患者のうち」、「就労している者」及び「就労を希望しているものの就労できていない者」の「人数及び割合」については、調査研究の調査対象ではあるが、「指定難病患者」に限った集計は行われていないため、厚生労働省としては把握していない。なお、例えば、調査研究によると、「難病法による指定難病の診断を受け、医療受給者証を所持している」者、「難病法による指定難病の診断を受けたが、医療受給者証は所持していない」者、「難病法による指定難病ではないが、障害者総合支援法上の難病の診断を受けている」者、「難病法上も障害者総合支援法上でも指定されていない難病の診断を受けている」者、「児童福祉法による小児慢性特定疾病医療受給者証を所持している」者、「現在、まだ、確定診断を受けていないが、自分では難病と考えている」者及び「無回答」の者(以下「調査研究の対象となった難病患者」という。)の合計四千五百二十三名のうち、「自分で事業を営んでいる(家族従業者も含む)」者、「会社、団体、個人、官公庁等に雇用されている(休職中を含む)」者及び「就労継続支援A型事業所で雇用されている(休職中を含む)」者(以下「就労中の者」という。)の合計は三千百六十名であり、調査研究の対象となった難病患者全体に占める割合は六十九・九パーセントである。また、「就職活動中あるいは職業訓練中(就労移行支援事業所や就労継続支援B型事業所の利用を含む)」の者及び「仕事に就かず、就職活動・職業訓練等もしていないが、可能なら仕事に就きたい」者(以下「就労希望者」という。)の合計は千十七名であり、調査研究の対象となった難病患者全体に占める割合は二十二・五パーセントである。
お尋ねの「指定難病患者のうち」、「就労に際して何らかの配慮を必要としている者」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、例えば、調査研究によると、「障害者手帳あり」の難病患者であって、「難病発症後、最近五年程度で一般就労の経験のある者」六百十一名のうち、「就職後に、難病や障害で必要な配慮を会社や職場に伝えている」ことについて、「当てはまる」と回答した者の割合は七十三パーセントであり、「当てはまらないが、必要と思う」と回答した者の割合は二十一パーセントである。
一の2及び3について
難病の患者に対する医療等に関する法律(平成二十六年法律第五十号。以下「難病法」という。)第五条第一項に規定する特定医療費の支給認定(以下単に「支給認定」という。)の申請に利用する難病法第六条第一項に規定する診断書である御指摘の「指定難病の臨床調査個人票」に記載されている病状の程度等の項目は、個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)第六十一条第二項において、「行政機関等は、・・・特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を保有してはならない」と規定されていることを前提として、医学的な観点から、日常生活や社会生活に支障があると判断される程度を個々の疾患の特性に応じて判断するために必要な項目として、厚生科学審議会疾病対策部会及び同部会指定難病検討委員会における審議を経て決定されるものであるため、御指摘のように「全ての指定難病の臨床調査個人票について、職種、勤務時間、勤務形態、職場において受けている配慮の内容、就労上の困難の程度等、就労に関する共通項目を設けること」は考えていない。また、御指摘の「就労に関する記載項目」については、先に述べた理由から、「疾病によって異なり、就労に関する項目が設けられていないものもある」ことは「事実」である。
一の4について
機構において実施している御指摘の「難病患者の就労困難性の判定体系に関する研究」(以下「判定体系研究」という。)は、令和八年九月十五日に開催した第百四十二回労働政策審議会障害者雇用分科会の資料一「手帳を所持していない難病患者の位置付けについて」(以下「分科会資料」という。)において示しているとおり、「国における難病患者の就労困難性の個別判定のための判定基準等の仕組みの検討に資するため、難病患者に関する就労困難性を把握する際の項目やその程度等について、先行研究とモデル調査を踏まえ、体系的に整理することを目的」として実施されているものであり、御指摘の「指定難病患者の就労実態を把握」するものではないが、指定難病の患者を含む難病患者の就労の実態を把握することは重要であると考えている。また、お尋ねの「臨床調査個人票を含む既存の情報」のうち、「臨床調査個人票」については、一の2及び3についてで述べたとおり、支給認定に当たり必要な項目を個々の疾患の特性に応じて定めているものであることから、難病患者の就労の実態の把握に関しては、一の1についてで述べた調査研究の結果に加え、御指摘の「既存の情報」として、分科会資料で示したとおり、「国内外の文献やインターネット等から必要な情報を収集・整理」し、判定体系研究に活用しているところである。
二の1について
御指摘の「障害者手帳を取得しておらず、かつ指定難病にも該当しない希少疾患又は難治性慢性疾患の患者」の具体的に指し示す範囲が必ずしも明らかではないが、厚生労働省としては、支給認定を受けている者以外の御指摘のような「患者」の「人数」を把握する仕組みはないため、把握していない。また、お尋ねの「就労状況」については、例えば、調査研究によると、調査研究の対象となった難病患者の中で、障害者手帳を「申請したが認定されなかった」者及び「申請していない」者のうち、就労中の者は二千五百九十一名であり、就労希望者は六百九十名である。
二の2について
御指摘の「いわゆる「制度の狭間」にある患者」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「線維筋痛症、筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群、脳脊髄液減少症等の患者」についても、「症状によって就労上の困難を抱え」る者がいる可能性はあると認識している。なお、当該患者も含め、「障害者手帳や指定難病制度の対象」か否かにかかわらず、長期にわたり、職業生活に相当の制限を受け、又は職業生活を営むことが著しく困難な者については、障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和三十五年法律第百二十三号)第二条第一号の障害者として、各種の職業リハビリテーションの対象となるものである。
二の3について
御指摘の「その他の難病患者等」の中にも、「就労困難性の高い者」が含まれている可能性はあるものと認識している。
二の4について
御指摘の「指定難病に該当しない希少疾患・難治性慢性疾患患者」の具体的に指し示す範囲が必ずしも明らかではないが、二の1についてで述べたとおり、お尋ねの「患者数」については、厚生労働省としては把握していないが、一の1についてで述べたとおり、調査研究において、指定難病以外の難病の患者も含めた「難病患者」、「企業」及び「支援機関」を対象とした調査を実施し、「就労状況、離職理由、必要な合理的配慮、就労支援制度の利用状況等」を把握したところであり、お尋ねの「全国的な調査」を実施することは考えていない。
三の1について
お尋ねについては、調査研究において、「今後の情報提供のあり方の検討に資するため」、「難病・難病のある方に関する情報の普及状況」についての認識を調査したところ、例えば、「多くの事業所で、治療と仕事を両立させながら、働いている人が増えている」こと及び「身体的負荷が低く、比較的柔軟に休憩がとりやすい専門・技術職や事務職、あるいは短時間のパート等で働く人が多い」ことについて「十分認識していた」と回答した事業所の割合は、それぞれ二十四・四パーセント及び二十一・九パーセントとなっており、御指摘についての「事業主」の「理解」の度合いは「十分に進んでいる」とまではいえないと認識しているが、いずれにせよ、三の2についてで述べる取組等を通じて、御指摘の「理解」の促進を図ってまいりたい。
三の2について
御指摘の「難病患者の雇用に対する理解を促進する取組」については、「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律第八章の規定等の施行等について(通達)」(令和八年二月二十四日付け基発〇二二四第六号・職発〇二二四第二十九号厚生労働省労働基準局長及び職業安定局長連名通達)別添一「疾病別留意事項」において、例えば、「多くの難病に共通する主な症状として「全身的な体調の崩れやすさ」があり、・・・最初は外見からは分かりにくい症状として表れる」ことや、「関節や筋肉の痛みがある場合」には「勤務時間中の移動距離が短くなるように配慮する」など、難病の症状及び治療並びにこれらに係る配慮の内容を記載し周知しており、また、厚生労働省のホームページにおいて公表している「合理的配慮指針事例集第六版」において、御指摘の「疾病の特性」等も踏まえ、事業主が難病患者である障害者に対して合理的配慮を提供する際に参考になると考えられる事例を幅広く収集して周知する等に取り組んでおり、引き続き、「難病患者の雇用に対する理解を促進する」取組を強化してまいりたい。
三の3について
「難病患者の就労」に関する「広報・啓発」において、特定の「分かりやすい呼称や概念」を用いることについての一般社会における当該「呼称や概念」の認知度や、当該「呼称」が指す「概念」が正しく理解されるかといった観点から、「分かりやすい呼称や概念を活用した広報・啓発を行う」とのお尋ねについては、慎重な検討が必要であると考えている。
四の1について
お尋ねの「現在検討している制度の内容」、「対象者の範囲」及び「就労困難性を判断する基準」については、分科会資料において、それぞれ、「手帳が得られていない難病患者については、本人からの申請により、医師の意見書等も勘案しながら、個別の就労困難性(職業生活への「制限」の程度)を判定し、一定水準にある場合、まずは、実雇用率において一定の算定を可能とする」こと、「障害者総合支援法上の対象疾病(三百七十六疾病。難病法上の指定難病(三百四十八疾病)と障害者総合支援法独自の対象疾病(二十九疾病))」とすること並びに「個別判定項目の具体的な判断基準等」を判定体系研究及び「国において設置する検討会」において検討することを議論のたたき台として示したとおりである。また、お尋ねの「制度化を目指す時期」については、労働政策審議会障害者雇用分科会での議論を踏まえ検討することとしており、現時点でお示しすることは困難である。
四の2及び4について
政府としては、四の1についてで述べた検討に当たり、御指摘の「国の機関」や「地方公共団体」の取組に限らず、御指摘の「難病患者を雇用する際に必要となる・・・知見を蓄積する」ことが「有効」であると考えており、このため、調査研究を通じて必要な情報を収集し、御指摘の「障害者手帳を所持しない難病患者等に係る今後の雇用制度の設計」に向けた検討に活用しているところ、お尋ねの「制度化に先立ち、国の機関において、・・・知見を蓄積すること」、また、「前記地方公共団体の取組について、その効果及び課題を国において調査・検証し、その結果を国の機関及び他の地方公共団体に共有すること」、さらに、「地方公共団体の取組について、・・・今後の雇用制度の設計に反映させる」ことは考えていない。
四の3について
御指摘の「地方公共団体の取組」は承知しているが、四の2及び4についてで述べたとおり、政府としては、調査研究を通じて必要な情報を収集しているところであり、お尋ねの「実施状況、応募者数、採用者数、勤務形態、職場における配慮、採用後の定着状況等」は把握していない。

