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昭和四十四年一月二十七日提出
質問第一号

 法人税法における役員賞与の損金不算入に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和四十四年一月二十七日

提出者  平林 剛

          衆議院議長 石井光次郎 殿




法人税法における役員賞与の損金不算入に関する質問主意書


一 小石川税務署長は、昭和三十八年および同三十九年分の法人税について、同族会社の使用人兼務役員賞与の損金算入を否認し、更正処分をした事件につき、納税者から右更正処分の取消訴訟を提起され、右訴訟の係属中に、納税者から「右更正処分は憲法違反である。」と主張されたところ、昨年十一月三十日に、右更正処分を取消して、右更正処分により徴収した税金約六十二万円を還付した事実があるので、次の点につき政府の見解を伺いたい。
 1 右税金の還付は、従来、当然に課税されるものとされていた使用人兼務役員賞与に対する更正処分を取消し、その税金を還付したものであるが、これは旧法人税法の解釈および運用が憲法に違反し、無効であることを認めて、従来の運用を変更してなした処分であるのか。
 2 仮りに、従来の課税が無効であることを認めて、更正処分を変更したものであるとするならば、他の同族会社の使用人兼務役員賞与に対する法人税で、すでに徴収した税金は、納税者から不当利得返還請求の訴を提起された場合には、すべて、これを還付する方針であるのか。
 3 仮りに、右のとおり還付するのであるならば、前記二年分の還付税金について、更正の請求の特例などの方法が考えられないか。
二 法人税法(以下単に法という。)第三十五条の役員賞与の損金不算入の規定は、憲法第十四条第一項の平等の原則、同二十七条第一項の勤労の権利および同三十条の納税の義務を規定した憲法の条項に違反する疑があるので、次の点につき政府の見解を伺いたい。
 1 法第三十五条第一項が役員賞与の損金不算入の原則を規定した理念的根拠は何か。
   また、右一項を「過大な役員賞与は損金不算入とする。」旨の原則規定に変更すると、いかなるふつごうがあるのか。
 2 法第三十五条第五項が、使用人としての職務を有する役員から、「社長、理事長その他施行令第七十一条に規定するもの」(以下除外使用人兼務役員という。)を除外して、課税することにしているが、右の除外使用人兼務役員の全部を、一般的に、「常時使用人としての職務に従事しないもの」と規定して、右の者に対して支給する賞与の課税において、他の役員に対して支給する賞与の課税と差別することは、実情に反し、実質課税の原則および平等の原則に違反し、憲法違反であると考えられるが、どうか。
 3 除外使用人兼務役員の賞与は、人件費、すなわち、必要経費として経理した金額を、もういちど、益金に再計上せしめて、課税しているのであるが、右のような経理は、企業会計原則においては認められないことであるが、税法上はなにゆえに正当であるのか。
 4 除外使用人兼務役員賞与は、会社の経理上、その全額が、源泉所得税の課税標準となつて所得税を課税されるとともに、法人税の課税標準となつて法人税を課税されるため、二重に記帳されて、課税されているのであるから、二重課税になるものと認められるが、どうか。
 5 除外使用人兼務役員賞与に対する国税の最高は、所得税の最高が七十五パーセント、法人税が三十五パーセントの合計百十パーセントの税率になるのであるが、同一課税標準に対し、二重記帳により百パーセントをこえる課税をすることは、経済的に不可能な課税であると考えられるが、どうか。
  また、不可能な納税義務を規定する法律条項は、憲法違反であると考えられるが、どうか。
 6 除外使用人兼務役員賞与に対する国税と地方税を合計すると、その最高税率は百五十パーセントをこえることになるので、前項同様、憲法違反であると考えられるが、どうか。
 7 政府は「除外使用人兼務役員に支給する賞与は、すべて、勤労の対価とは認められない。従つて、法人税法においてその損金性が認められない。」と考えているが、これは、右役員の勤労の権利を否定するもので、憲法違反であると考えられるが、どうか。

 右質問する。





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