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昭和四十六年三月三十日提出
質問第六号

 米海軍訓練区域の指定解除と米原潜による事故の損害賠償に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和四十六年三月三十日

提出者  山原健二郎

          衆議院議長 (注)田 中 殿




米海軍訓練区域の指定解除と米原潜による事故の損害賠償に関する質問主意書


 私が、去る三月十八日、衆議院科学技術振興対策特別委員会で、原子力損害の賠償に関する法律の一部改正案について質疑を行なつた際、日本の海域に米海軍の指定演習区域が、土佐湾をはじめ日本全土をとりまく十三箇所にあり、そのうち土佐湾・相模湾が米原潜の指定演習区域になつていること、また、原潜の演習及び運航の通告なしに、隠密裡に行なわれることが明らかになつた。これは日本国民の平和と中立の願いを踏みにじり、その安全を脅やかすものであり、その海域をおもな漁場としている漁民・県民ばかりでなく、全国民に大きな衝撃を与えている。
 しかも、科学技術振興対策特別委員会における審議のなかで、米原潜による大規模な事故による損害賠償について、わが国の法律による保証は全くなく、米国に賠償させるという政府の明確な方針がないことが明らかになつた。このことを知つた漁民は激しい怒りとともに指定区域の解除と損害賠償制度の確立を政府に強く要求している。
 私は、米海軍訓練区域の指定解除と損害賠償に関して、以下質問するので、明確に答弁されたい。

一 去る三月十一日及び三月十八日における科学技術振興対策特別委員会で、米原潜による大規模事故の場合には、被害者は、直接米国の政府機関に請求し、または裁判所に提訴することにより、米国の公船法、海事請求解決権法、外国請求法に基づく米国における裁判によるか、外交交渉をまつ以外にはなく、賠償はいつさい米国の意思による以外にないことが明らかにされた。
  米原潜による損害賠償は、すべて米国が責任を負うべきものであるが、これを行なわせるには、その全額を米国に支払わせるという日本政府の確固たる方針がなければならないと考える。米国に損害賠償を義務づける協定などをつくる考えはあるか。
二 米国に事故の損害賠償を正当に履行させるためには、原潜による事故が発生した場合の責任の所在、事故の原因、損害の規模を明らかにしなければならず、日本政府の権限において、事故を引き起こした米原潜をも調査・検証する必要があると考える。
  政府は米原潜を調査・検証するためのどのような措置をとる考えであるか。
三 土佐湾潜水艦訓練区域は高知県室戸岬と足摺岬を結ぶ線の北側全海域となつている。この海域には、かつお・まぐろ・めじか・さば・さんまなどの漁場が全域にわたつて存在し、約四千百隻の小型一本釣り漁船、はえなわ漁船などが操業している。さらに、大型の遠洋かつお・まぐろ漁船約百七十隻がインド洋などの漁場に向かう航路でもあり、しかも、演習中の事故発生の危険はきわめて大きいものがある。沿岸漁業の総水揚げ高は、年間約七十億円をこえる日本有数の漁場であり、高知県漁民約五万人の生活の基盤として、高知県民の大きな財源として、また日本国民の食料源として、重要な役割をになつている。以上の現状に照らせば、高知県漁民の訓練区域指定解除の要求はだれも否定できない正当なものである。
  政府は、漁場と漁民の生活を被害から守るために米海軍の潜水艦訓練区域の指定解除を米国に要求すべきであると考えるがどうか。
  また、水産行政につき責任をもつ、農林大臣の所信をおききしたい。
四 このことは、単に土佐湾に限られるものではなく、日本全土をとりまく十三箇所の米海軍訓練区域についても大小にかかわらず同様の問題があることは明らかである。
  これらの指定区域における米海軍の演習を直ちに中止させ、更に訓練区域の指定解除のための調査・交渉を行なうべきであると考えるが、政府はどのような方針をもつているか。

 右質問する。





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