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昭和四十八年九月二十七日提出
質問第二六号

 成田空港航空機燃料暫定輸送に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和四十八年九月二十七日

提出者  久保三郎

          衆議院議長 前尾繁三郎 殿




成田空港航空機燃料暫定輸送に関する質問主意書


 成田空港の開港をあせる新東京国際空港公団(以下「空港公団」という。)は、その開港「遅延」の責任を内部に求めず、形式的なとりつくろいの積み重ねによつて外部に転嫁し、又しようとしている。成田「本格」パイプラインによる航空機燃料輸送計画に失敗した空港公団は、自らの責任を隠蔽し、その失敗の原因を追求して自らの反省の糧にすることなく、「そこのけ、そこのけ、空港公団様のお通りだ。」とばかりに、とばつちりを周辺住民にまき散らしている。
 田中内閣は、国民生活を守ることをその政策の基調とし、福祉を優先すると主張している。かかる田中内閣のもとに何ゆえこのような空港公団が存在し得るのか理解に苦しむところである。そこで私は、空港公団による航空機燃料「暫定」輸送に対し、運輸行政に対する責任を明らかにすることの一つとして社会正義を希求するとの立場から、次に若干の質問を提起したい。

一 「暫定」期間に対する疑義
  空港公団は、「暫定」輸送に関係する地元住民の了解をとりつけるために、「暫定」期間についても開港時期が何の根拠もないでたらめであつたのと同様に、種々の「空手形」を振りまいてきた。当初わずか四ヵ月で建設が完了すると豪語された「本格」パイプラインは、その後二ヵ年を経たがまだ完成の見通しすらない。「暫定」期間は、「本格」パイプラインの完成時期と一体であつて、「本格」パイプラインの完成が「一日でも早く」との空念仏のもとにずるずると伸びれば、「暫定」期間も又ずるずると伸びるのである。「暫定」ということが世の中の一切のものが、しよせんは、うたかたのもの仮のものであるというのと同じ意味で使われているのであるならば、うなづけないこともないが、「暫定」こそが「本格」ということか。以下の問いに根拠・理由を添えて具体的に答えられたい。
 (1) 「本格」パイプラインの完成予定日時について
 (2) 「本格」パイプラインの現在まで(九月二十七日現在)の掘削、配管、埋戻しの建設状況はどうか。場内、資材道路、成田、酒々井富里、四街道佐倉、千葉市、水道道路、護岸敷埋立地の各工区ごとに明らかにされたい。
 (3) 水道道路工区以外は、昭和四十八年度で完成するのか。完成しないとすればその場所と理由について。完成させる必要がないとすればその理由について。
 (4) 水道道路以外の工区の中で必要となる用地がまだ確保されていない部分があるのか。あるとすればどこか。何ゆえに今もつて確保できていないのか。確保するために今までになした努力の内容を、未確保用地ごとに項目別に明示されたい。運輸大臣自身は、どのような努力をなしたかを併せて明らかにされたい。
 (5) 水道道路以外の工区の中で、その工区の全体又は一部について工事許可のおりてないもの、又は、設計協議が整つていないところがあるか。あるとすればそれはどこか。何ゆえ今もつてそのような状態があるのか。これらのことに対して今までになされた努力の内容を項目別に明示されたい。
 (6) 水道道路工区で発生した問題の解決について今までになされた努力の内容を、政府、運輸省、空港公団別に具体的に示されたい。この問題の解決に見通しを持つているか。もつているとすれば、それはいつか。又その根拠について。
 (7) 水道道路工区で既に埋設されている六五七メートルの配管について、市道占用許可は現在おりているのか。本年二月までで市道占用許可が期限切れとなつたが、再申請はしたのか。してないとすればその理由について。
 (8) 当初「本格」パイプライン全線四四キロメートルを四ヵ月で建設できるとしたときの根拠について。
 (9) 成田市へ「暫定」輸送の話をもちかけたとき、「本格」パイプラインの完成時期を本年十月末、又は本年末としたが、その根拠について。
 (10) 成田市、山の作区長と協定書を交わしたとき「本格」パイプラインの完成時期を昭和五十年三月としたときの根拠について。
 (11) 現在「暫定」期間は三年間といわれているようであるが、一体いつからいつまでのことか。又その根拠について。

二 成田空港開港条件について
  成田空港の開港条件として、「暫定」輸送の確保と滑走路南端にある二基の騒音監視塔の撤去の二つがあげられている。成田空港の開港条件について、政府、運輸省、空港公団の現在的な状況認識能力を明確にしておくために、以下の問いに根拠・理由を添えて具体的に答えられたい。
 (1) 成田空港を開港するために達成されるべき条件は何か。開港の形態ごとに項目別に明らかにされたい。
 (2) 万全の騒音対策の完了は、開港条件にはならないのか。ならないとすればその理由について。
 (3) 成田空港に関して、万全の騒音対策は既に完了したか。完了していないとすればその理由及び完了予定の時期について。
 (4) 千葉県が起債により民家の防音工事を補助しているが、何ゆえ千葉県がやらねばならないのか。
 (5) 千葉県の行つている民家の防音は騒音対策として十分なものであるか。あるとすればその理由について。

三 鹿島港を使用することの法律上の疑義について
  鹿島港を航空機燃料の暫定輸送の中継基地として使用するには、法律上無理があるとの指摘がある。この間の事情を明らかにしたいので、以下の問いに関係法令を引用しながら、具体的に答えられたい。
 (1) 現在、鹿島港を燃料中継基地として使用することに法律上の疑義はないのか。
 (2) 当初茨城県及び内閣法制局より指摘された法律上の問題点はどこか。そのすべてを列挙されたい。
 (3) (1)で疑義がないとするならば、(2)で提起された問題点をどのように回避したのか。あるいはするのか。

四 タンク車(貨車)輸送の安全性について
  千葉市でパイプラインを敷設しようとする際、タンクローリーやタンク車よりもパイプラインの方が安全であるとして住民に説明がなされていた。ところが暫定輸送では、鹿島から成田へ国鉄線を用いたタンク車による輸送が計画されている。以下の問いに根拠・理由を添えて具体的に答えられたい。
 (1) パイプライン沿線住民よりも、国鉄線沿線住民を危険にさらしてよいとする理由及び法的根拠について。
 (2) 国鉄線沿線市町村でタンク車輸送の反対の決議がなされているが、どのように処置するつもりか。同意が得られるまでタンク車による輸送は行わないのか。

 右質問する。





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