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昭和四十九年一月十四日提出
質問第六号

 主権の侵害に関する再質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和四十九年一月十四日

提出者  小林 進

          衆議院議長 前尾繁三郎 殿




主権の侵害に関する再質問主意書


 主権の侵害に関する質問に対する答弁書を昭和四十八年十二月二十八日受領したが、十分に納得できないので、ここに再度、質問主意書を提出する。

一 ベン・バルカ氏誘かい事件について
 1 「事件の経緯につき、あまりに詳細にわたつて明らかにすることは外交上適当ではない」との答弁であるが、なぜ適当でないのか、その理由を明らかにされたい。
 2 ベン・バルカ氏誘かい事件に関連し「フランス政府のとつた処置と、今回、金大中氏拉致事件に関して日本政府のとつた処置とには大きな懸隔と差異がある」という私の質問の主旨を殊更に避けて、ことばじりを.とつているだけの答弁に終わつているのは遺憾である。質問の本旨にそつて、これを明らかにされたい。
二 金大中氏拉致事件について
 1 金東雲駐日韓国大使館一等書記官が関係していることは、日本の警察において、同氏の指紋、ホテルのエレベーターの中にいた目撃者の実在により確認しており、また、韓国政府自身もこれを認めているところである。この事実を被害国の立場からみれば、一応、金東雲一等書記官という外交官の公的行為と判断せざるを得ないにもかかわらず、これを私的行為であるというからには、その判断の基準が何かということが問題になる。これを質問しているのに対し「外交官の駐在国における行為が、すべて公権力の行使とは考えられない」とか、「本国の法令による権限に基づいて行う職務行為であるか否かが問題であつて、格別の指示を得て、いるか否かは関係ない」とか、「外交官が私人を強制的に連行するような行為をもつて外交官としての公的地位に密接に関連しているということ、又は、表見上、外交官の権限に基づく職務行為と推断することは妥当でない」などと原則論に藉口して質問をはぐらかしているのは質問者をばかにしたふまじめな答弁であつて憤慨にたえない。
 2 本国政府の指令の有無や明白な証拠をどうやつて入手するのか、治外法権の外交官についてこのような確認をすることは不可能ではないのか。従つて、相手国に挙証責任があることは当然と思われるが、との質問に対し、政府は単なる法的権利義務だけの答弁に終わり、私の質問の本旨たる政治的、道義的責任が韓国側にあるのではないかという点はごまかされている。これを明らかにされたい。
三 金大中氏の出国の自由について「日韓間で明確に了解されたこと」とあるが、「日韓間」とは「日韓両国政府」をさすのか、いつ、どこで、どのような形式で明確に了解されたのか、公的文書があればこれを含めて明らかにされたい。
  また、このように、両国政府間で明確に了解されたものであるならば、外務大臣が改めて李(注)前駐日大使に出国要請をしたのは矛盾であるにもかかわらず「その了解が速やかに実行されることが望ましいとの考えを述べたのである」との答弁は、まことに三百代言的詭弁である。
  もつと事実に則した誠意ある答弁をすべきである。
  なお、併せて、金大中氏が出国の手続を完全に終えて数か月たつているにもかかわらず、いまだ出国できない現状をいかに解するかを明らかにされたい。
四 政府のとつた行為、態度を正当化する「国際的なものさし」の具体的な例示を求めたのに対して答弁がない。
  前記の「国際的な慣行」とは何かという点もはつきりしない。明確な答弁を得たい。

 右質問する。





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