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昭和五十二年十月三日提出質問第二号
不当展示に対する著作権者の人格権防護に関する質問主意書
右の質問主意書を提出する。
昭和五十二年十月三日
提出者 竹内 猛
衆議院議長 保利 茂 殿
不当展示に対する著作権者の人格権防護に関する質問主意書
昭和五十二年一月四日より小田急デパートで催されました藤田嗣治展は、その後名古屋、広島、福岡、札幌また一部は藤沢でも催され、半年にわたつて各地で盛況だつたと聞いております。
しかし、この展覧会は、著作権者の夫人によると全く著作権者の人格は無視されたものであり、内容には贋作及び公示すべきものでない多くの作品が展示されており、かかる暴力的行為が公然と行われることは著作権者はもとよリエコール・ド・パリの画家として国際的にも藤田を敬愛する者は多く、そうした者達にとつてもはなはだ不愉快なものであり、且つ、委員会などとさも権威あるがごとき名称を用い一般大衆を欺いていることは許し難いものを感じます。
そして、このような不当な藤田展が小田急での展覧会を手本に来年没後十周年を記念して内容にも問題あるものが別に企画されていることも耳にするにつけ、小田急での展覧会がごときものが繰り返されてはならないと存じます。
著作権者の人格権防護について国としてはいかなる対策があるかを質問します。
また、殊に藤田については贋作が多く、しかも鑑定家も信用出来るものが決つていない現状では、展示には著作権者の許可制がとれないものかどうか。
さらに、贋作は勿論著作権者が公示をはばかるものについては、第三者による展示を差し止められないものかどうか。
なお、問題なのは、小田急での展示作品中夫人が何点かの贋作があることを指摘し、展示よりはずすよう主催者に申し入れたところ主催者側は法に訴えて供託金を積んで強制執行により差し止められる以外従えないというのでは、供託金が一億円以上必要でしかも係争に何年かかるかわからぬとなれば夫人の力では告訴も出来ず、こうしたことでは著作権は有名無実としか言えないものになり、文化国家としてはあるまじきことだと存じますがいかがでしようか。
右質問する。