答弁本文情報
昭和五十二年十月十一日受領答弁第二号
(質問の 二)
内閣衆質八二第二号
昭和五十二年十月十一日
内閣総理大臣 福田赳夫
衆議院議長 保利 茂 殿
衆議院議員竹内猛君提出不当展示に対する著作権者の人格権防護に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員竹内猛君提出不当展示に対する著作権者の人格権防護に関する質問に対する答弁書
(一) いわゆる贋作には、原作品を無断で、例えば模写等により複製し、その複製物をあたかも原作品のごとく利用する場合と、原作品とは全く別の内容の作品を原作品の画風をまねて創作し、あたかも原作品の著作者が創作したものであるかのようにして利用する場合とがあると考えられる。
前者は、著作権侵害行為に該当し、著作権者は、このような著作権侵害者に対し、著作権法第百十二条の規定による侵害行為の差止の請求や損害賠償の請求等の民事上の措置で対処することができることとされているほか、当該行為に対する罰則の定めが設けられている。
後者は、画風が著作物に当たらないので著作権侵害とはならない。
(二) 著作権者は、著作権法上、美術の著作物をその原作品によつて公に展示する権利を専有する。
したがつて、第三者が著作権者に無断で当該美術の著作物の原作品を公に展示すれば著作権侵害となり、著作権者は著作権侵害者に対し、(一)の場合と同様、侵害行為の差止の請求や損害賠償の請求等の民事上の措置で対処することができることとされているほか、当該行為に対する罰則の定めが設けられている。ただし、美術の著作物の原作品の所有権が譲渡されている場合は、当該原作品の所有者又はその同意を得た者は、当該原作品を公に展示することができるものとされている。
なお、当該原作品が未公表のものである場合は、その所有者等の第三者が、著作者の意に反して当該原作品を公表すれば、著作者人格権(公表権)の侵害となり、また、著作者が存しなくなつた後においても、著作者が存していたとしたならぼその著作者人格権の侵害となるべき行為に対しては、著作者の遺族は、著作権法第百十二条及び第百十五条の規定による当該侵害行為の差止等の措置を請求することができることとされているほか、当該行為に対する罰則の定めが設けられている。
右答弁する。