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昭和五十三年十月二十日提出
質問第一四号

 大鋼シャーリング株式会社の労使紛争に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十三年十月二十日

提出者  上田卓三

          衆議院議長 保利 茂 殿




大鋼シャーリング株式会社の労使紛争に関する質問主意書


 新日鉄系鋼材商社日鉄商事(前大阪鋼材株式会社、昭和五十二年入丸産業と合併)の一〇〇%子会社である大鋼シャーリング株式会社(大阪市住之江区南港一丁目六番地)の会社更生法申請、更生開始決定、清算、全員解雇に端を発した同社労使紛争は以下のとおりである。
 大鋼シャーリング株式会社は昭和五十一年一月会社更生法適用を申請、同年四月更生開始決定がなされ、再建に向けた運営が始められた。ところが五十一年末、突如親会社である大阪鋼材と入丸産業の合併問題が生起し、その後、人員整理を中心とする再建案が会社側から提示され、それに反対する労働組合との数回にわたる交渉ののち六月に至つて約半数をこえる退職者が届出たことにより、実質的に再建案が実行されることになつた。ところが、その直後清算手続きが始められ、労働組合との間に義務付けられた事前協議(昭和五十年締結の労使間の協定書・同意約款に規定)もなく、七月十日全員解雇を申し渡すという経過をたどつた。
 そこで、次の事項について質問する。

一 ここで問題になるのは更生開始決定の後、会社側提示の再建案が実質的に実現されたにもかかわらず、労組との協定を無視して、一方的に清算、解雇の措置をとつた会社側の態度である。再建への具体的努力と経営責任を放棄し、いたずらに雇用危機を激化させるが如き行為に対して、雇用対策の強化、失業防止をうたう政府としての見解を問う。
二 また、頻発する争議の中で、「非常事態」の名の下に労働協約、労働慣行等労働者の既得権を否定し、合理化、首切りを強行する使用者が増えている。こうした問題を取り上げた私の質疑(本年二月二十七日衆議院予算委員会第三分科会)に対し、「更生法適用下で管財人は従来の労働協約や慣行等を引き続き遵守すべき責任が存在する」旨の答弁をえているが、類似事件として、改めて政府の見解を問う。
三 次に、大阪地方労働委員会における大鋼シャーリング事件審問中使用者側委員として出席していた朝倉弘文氏(当時、大阪地方労働委員会参与委員)が、事件発生当時からひそかに大鋼シャーリングの労働顧問として報酬を受けていたことが明らかとなつた。そこで、
 @ この事実は、労働委員会の公正の原則と救済機関の役割を後退させ、そのことによつて労働者の権利をそこなうものと考えるが、政府の判断はどうか。
 A しかも、朝倉氏の報酬については共益債権の支出書には顧問弁護士として記載されており、こうした虚偽の報告は会社更生法に示されるいくつかの条項、とりわけ管財人の注意義務を定義した同法第九十八条の四その他を著しく侵犯するものと考えるが、政府の見解はどうか。
四 最後に以上を総合すると、労働者のみが解雇、失業の犠牲となり、日鉄商事、大鋼シャーリング、大阪地裁民事第六部、大阪地方労働委員会、大阪府知事など当該企業、公的機関の多くの関係者がそれぞれの責任を回避し、法の独立の名のもとに問題解決を引きのばしている。かかる時にこそ、政府、関係当局が責任を感じ、一連の経過が労働者の生活と権利に密接に絡み合つて存在していることを理解し、事件の速やかな解決の為の努力と必要な指導を開始すべきであると考える。ちなみに、中小企業基本法第一条、第三条第八号、第六条第二項、第十九条、第二十条などにはこうした問題についての国及び地方自治体の一定の責務が明記されている。時あたかも、政府の一連の諸施策にもかかわらず、雇用と労働者の生活不安は解消されずむしろ深まつているともいうべき今日、事態の迅速かつ公正な解決の為に、政府の指導責任とその意志を明らかにされたい。

 右質問する。





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