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昭和五十六年十一月十二日提出
質問第一〇号

 武器輸出と日米軍事技術協力等に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和五十六年十一月十二日

提出者  横山利秋 土井たか子 上原康助 清水 勇

          衆議院議長 福田 一 殿




武器輸出と日米軍事技術協力等に関する質問主意書


 武器の日米共同開発・生産及び日本の軍事技術の対米供与問題について、すでに日米政府部内で検討されていると報ぜられている。
 そこで、この問題と日米相互防衛援助協定、武器輸出に関する政府の統一見解及び国会における決議等との関係について、政府の答弁を求める。

一 武器の日米共同開発・生産及び日米軍事問題は、「いつ」、「どこで」、「だれとだれとの間」で「どちら側」から「どのような内容」の話合いがなされたか、明らかにせよ。
二 軍事技術対米供与問題に関し、防衛庁和田装備局長は、九月訪米し、デラワー国防次官と会談した。訪米する前、この問題で「事務的に関係各省庁と打ち合せを行つた」との国会答弁がなされているが、どの省庁とどのような内容の打ち合せを行つたか、明らかにせよ。
三 外務省松田北米局審議官は、「(武器輸出三原則について)米国との関係は、その他の国と異なつた別の法的、条約的側面がある。すなわち、安保条約に基づく地位協定、また日米相互防衛援助協定によつて、日米相互に武器関連の援助を行い合う規定がある」と国会で述べているが、この答弁を見る限り、武器輸出三原則の適用に関して、米国は他の諸国とおのずから異なると政府は解しているのか。
四 日米相互防衛援助協定(以下「協定」という。)第一条において、「装備、資材、役務その他の援助を………使用に供するものとする。」とあるが、米国側から日本に対し、具体的な軍事技術名を挙げ要求してきたとしても、協定上それに応じなければならない義務は生じず、あくまでも応ずるかどうかは、政府の高度な政治判断に外ならない。
  一方、武器輸出三原則は、佐藤内閣以来歴代内閣の政策であり、第九十四回国会においても武器輸出問題等に関する決議が行われた。その意味から武器輸出三原則は、国民世論に支持された重要な基本的な政策ということが言える。
  そうであるなら、米国に軍事技術を輸出するかどうかの政府判断は、国是たる武器輸出三原則が優先するのが当然だと考えるが、政府は、米国に対して軍事技術供与を含む武器輸出を行う意向があるのか、政府の見解を明らかにせよ。
五 最近の報道によれば、「対米武器輸出」に関する政府見解案なるものが伝えられている。
  それによれば、日米安保条約第三条に基づき対米武器輸出は可能であるとしている。しかし、この第三条の由来はバンデンバーグ決議にあり、安保条約審議の際も、この条項で具体的な義務を負うものでなく、あくまでも我が国の自主的判断で決定するものであるとされていた。
  この条項は、あくまでも「憲法上の規定に従うことを条件として」武力攻撃に抵抗する能力の維持発展を述べたものであり、この第三条に基づき武器を輸出する場合も政府の政治的判断によるものであり、武器を輸出する条約上の権利義務は生じないと思うがどうか、政府の見解を述べよ。
六 従来政府は、武器輸出については三原則統一見解、国会決議は適用されると答弁しているが、前記の「政府見解案」なるものによれば、「(米国への)武器輸出は、そもそも三原則・統一方針が取り扱つている武器輸出とは次元の異なる(枠外の)ものである。」と述べられている。武器輸出に米国向けとその他向けと分けられているとすれば、米国に関する限り、武器輸出三原則並びに統一見解は適用しないと考えるのか、見解を明らかにせよ。
七 協定に基づき一九六三年十一月十四日、大平外相とライシャワー駐日米大使との間で「防衛目的のための技術的資料及び情報の交換に関する書簡」が取り交わされ、協定第一条第一項にいう「細目取極」が米国防総省と防衛庁間で同年十一月十五日結ばれている。その取極本文及び附属書の内容を明らかにされたい。
八 すでに附属書には、日米両当事者間で合意した具体的な武器又は軍事技術が記載されていると思われるが、それを米国に輸出する場合、武器輸出三原則に抵触しないのか。また、過去、協定に基づいて米国に武器を輸出した例はあるのか。あるとするならその数量、金額、種類及び企業名を明示せよ。
九 汎用技術であつても軍事転用可能であり、明らかに武器の用途に供する目的を持つたものであれば、当然武器輸出三原則にいう武器の範ちゆうに入ると解すべきと思うが、政府の見解を明らかにせよ。
十 地位協定第十二条において、在日米軍は資材、需品、備品及び役務を調達することができると記されている。この調達は、条約上の権利義務関係が生ずるのかどうか、外務省の解釈を明示せよ。
十一 外務省北米局浅尾局長は、「在日米軍の武器調達は、昭和三十六年以降ない」と国会で述べているが、昭和三十六年以前の調達の数量、金額、種類及び企業名を明示せよ。
十二 防衛庁が独自に開発した軍事技術はあるのか。あるとするならその種類を列挙せよ。
十三 高速演算素子(VHSIC)、低損失光通信用ファイバーなど日本の先端技術は、民間企業が開発したものであり、民間企業に対し対米供与を要請することができるのか。もしできるとするならその法的根拠を明示せよ。
十四 昭和五十一年の武器輸出三原則の政府統一見解によれば、「三原則対象地域以外の地域については、憲法及び外国為替及び外国貿易管理法の精神にのつとり、武器の輸出を慎むものとする。」とある。「慎む」とはどのようなことか、政府の見解を明らかにされたい。
   この「慎む」地域としては、米国、中国及び韓国をも当然含むものと解釈してよいか。
十五 堀田ハガネ事件について、政府は輸出貿易管理令違反であると国会で答弁しているが、神戸地検において不起訴処分にされた。
   このことは、武器半製品輸出を現行の貿管令違反で起訴することが困難であることが証明され、今後、武器半製品の輸出が多くなる恐れがある。このため、輸出貿易管理令を改正し、この種の輸出を厳格に規制すべきであると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

 右質問する。





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