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答弁本文情報

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昭和五十六年十一月二十七日受領
答弁第一〇号
(質問の 一〇)

  内閣衆質九五第一〇号
    昭和五十六年十一月二十七日
内閣総理大臣 鈴木善幸

         衆議院議長 福田 一 殿

衆議院議員横山利秋君外三名提出武器輸出と日米軍事技術協力等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員横山利秋君外三名提出武器輸出と日米軍事技術協力等に関する質問に対する答弁書



一について

 本年六月大村防衛庁長官が訪米し、デラウアー米国防次官と会談した際、同次官から、防衛技術の日米間の交流を推進することを希望する旨の一般的希望が表明され、また、このような交流は米国の防衛技術の対日輸出を従来どおり円滑に行うという見地からも重要であると考える旨の発言があつた。これに対し、大村長官から、武器輸出に関する日本の政策や現状について説明するとともに、米側の希望は持ち帰り政府部内で検討してみたい旨述べた。
 また、本年九月防衛庁和田装備局長が訪米した際、同次官と会談し、同次官から共同研究・開発を含め防衛技術の交流の推進について、一般的な希望が表明されたが、同局長から防衛技術の交流の問題については、目下関係省庁において検討中である旨伝えた。

二について

 防衛技術の日米間の交流の問題については、防衛庁と外務省及び通商産業省との間で意見交換が行われてきており、大村防衛庁長官の訪米後における閣議での報告を受けて防衛庁と外務省及び通商産業省との問で日米安保条約等との関連等について意見交換を行つたところである。御指摘の国会答弁は、この間の経緯を述べたものである。

三、四及び六について

 政府としては、基本的には、米国についても武器輸出三原則及び昭和五十一年二月二十七日の武器輸出に関する政府方針に基づき対処する考えである。ただし、対米関係については、日米安保条約等との関連もあるので、目下この点につき関係省庁で検討を行つているところであり、結論が出ているわけではない。

五について

 御指摘の政府見解案とは、本年十一月十一日に日本経済新聞において報じられたものを指していると考えるが、このいわゆる政府見解案とは、政府の事務レベルにおける検討の過程の中で出てきた考え方の中の一つにすぎない。
 なお、御指摘の点も含めて、三、四及び六についてにおいて述べたとおり、関係省庁において目下検討を行つているところである。

七について

 昭和三十七年十一月十四日に行われた防衛目的のための技術的資料及び情報の交換に関する書簡の交換は、日米相互防衛援助協定第一条第一項の細目取極に該当し、御指摘の米国防省と防衛庁との間の取極は、同細目取極に基づく当局間の取極である。当局間の取極本文及び附属書は、米当局との間で公表しないこととしているので、明らかにすることは差し控えたいが、取極本文においては、対象とする技術資料の範囲、関係する機関及び当局、連絡方法、秘密保全規定等の通則について規定し、附属書においては、日米両当事者間で合意した研究開発項目の個々具体的な交換技術資料の件名、範囲及び秘密区分、関係する機関及び当局等について規定している。

八について

 七についてにおいて述べた当局間の取極の取極本文及び附属書に基づき、防衛庁より米国に対し、武器又は武器の製造等に係る技術が供与されたことはない。また、日米相互防衛援助協定に基づき、我が国から米国に対する援助の供与として武器を輸出した例はない。

九について

 外国為替及び外国貿易管理法に基づく武器の製造等に係る技術の提供に関する規制については、その技術の内容から見て、専ら武器の製造等に係る技術と客観的に判断できるものを対象とすることが規制の公正さ及び実効性の観点から合理的であると考える。

十について

 我が国が、在日米軍による我が国における調達について、地位協定第十二条の規定に反する制限を行つてはならないことは当然である。

十一について

 在日米軍による昭和三十六年以前の武器調達の数量、金額、種類及び企業名は、関係文書が残存していないため不明である。

十二について

 防衛庁においては、諸外国の技術の動向に対応し得るよう装備の質的な充実向上に配意し、我が国の国土、国情に適したものを自ら整えるべく糧食から航空機、戦車等に至る広い範囲にわたつて装備の自主的な研究開発に努めてきた。現在までに研究開発を完了した主要な装備品等としては、超音速高等練習機(T ― 2)、80式空対艦誘導弾、74式戦車等があり、これらの装備品等の製造等に係る技術は主として防衛庁が開発したものである。

十三について

 三、四及び六についてにおいて述べたとおり、防衛技術の対米供与の問題について、関係省庁において目下検討を行つているところである。したがつて、民間企業の保有する技術の対米供与を要請する等の具体的問題については、検討していない。

十四について

 「慎む」とは、慎重に対処するという政府の消極的な態度を表明したものである。
 また、「慎む」ものとされている地域は、武器輸出三原則対象地域以外の地域であるが、武器輸出三原則対象地域を具体的に列挙することは、外交上の問題等もあつて、従来から差し控えているところであり、したがつて武器輸出三原則対象地域以外の地域についても具体的に述べることは差し控えたい。

十五について

 輸出貿易管理令では、同令別表第一の第一九七の項から第二〇五の項までにおいて昭和五十一年二月二十七日の武器輸出に関する政府統一見解の中で定義している「武器」のすべてを輸出承認の対象としており、また、最終製品に至らない未完成品であつても、右各項に掲げられている貨物に該当する限り輸出承認の対象となつていることから、輸出貿易管理令の改正は要しないものと考えている。

 右答弁する。




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