答弁本文情報
昭和二十五年三月十日受領答弁第五九号
(質問の 五九)
内閣衆質第四七号
昭和二十五年三月十日
内閣総理大臣 吉田 茂
衆議院議長 ※(注)原喜重※(注) 殿
衆議院議員並木芳雄君提出地租、家屋税の使用者課税に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員並木芳雄君提出地租、家屋税の使用者課税に関する質問に対する答弁書
昭和二十三年七月の地方税法の改正によつて国、地方団体等の所有する土地又は家屋その他の物件の使用者に対して課税することと致しましたのはもつぱら他の一般納税者との負担の均衡をはかる趣旨によるものでありますが、シヤウプ勧告による地方税法の改正によつてもこの趣旨によつて使用者に課する制度は存置してゆきたいと考えております。
従つて御質問の各項については次のように考えております。
一 シヤウプ勧告によりまして不動産の所有者に固定資産税を課するということと致しておりますのは、財産課税の性質から当然でありますので、地方税の改正法律案におきましても固定資産税は所有者に課することとしておるのでありますが、それと同時に前述のような趣旨によりまして国等が所有する固定資産に対しましては使用者に課することとしておるのであります。従つて公営庶民住宅の使用者に対しましても現行と同様原則として課税することになるのでありますが、庶民住宅の性格にもかんがみまして負担過重にならぬように指導してゆきたいと考えております。
二 使用者に対して課税することとしました趣旨が前述のようでありますので、庶民住宅の使用者に対して課税することが必ずしも低家賃住宅を供給しようとする公営庶民住宅対策を遂行するものとは考えられません。むしろ税負担の合理化均衡化の見地からすれば適当であろうと考えておるのであります。
三 建設次官より申越しのありました事項につきましては、すでに事務当局といたしましては、都道府県に必要な指示を與えておりましたのでその旨を回答いたしました。
四 地方税法第十三條と第五十二條第四項及び第五十七條第四項とはなんら矛盾するものではないと存じます。いわば第五十二條第四項及び第五十七條第四項の規定は第十三條の例外的規定ともいうべきものであります。なお、使用者と申しますのは第十三條の使用收益をなす者とは限りませず、なんらかの権限に基いて使用している者をいうのであります。
五 地租及び家屋税は、この賦課についていわゆる月割計算の規定の適用を排除しておりますので、賦課期日現在の使用者に対して年分を課しているのでありますが、改正案による固定資産税におきましては、使用者に課する分はいわゆる月割計算の規定を設け使用者としての期間中の分だけを課することとしております。
六 東京都営の高輪アパートの使用者は、一般の勤労者でありまして、しかもその使用料は一般の地代家賃の額から税相当分を差引いた額に比準して定めてありますので、使用者課税の趣旨にかんがみまして特に高輪アパートのみ課税を除外する必要はないと存じます。
右答弁する。