衆議院

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昭和三十八年七月五日受領
答弁第四号
(質問の 四)

  内閣衆質四三第四号
    昭和三十八年七月五日
内閣総理大臣 池田勇人

         衆議院議長 (注)(注)一(注) 殿

衆議院議員井堀(注)男君提出職業安定法及び緊急失業対策法の一部を改正する法律案に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員井堀(注)男君提出職業安定法及び緊急失業対策法の一部を改正する法律案に関する質問に対する答弁書



一、本法に対し、一部に「失対打切り」であるとの誤解があり、就労者の間に無用の不安の念を生じていることはまことに遺憾である。
  本法の附則第二条第三項に明記しているように、現在の就労者については引き続き失業対策事業に就労できるよう取り計らつており、また、新たな失業者に対しては、すみやかに民間の安定した雇用に就くことができるよう十分な就職促進の措置を実施し、それでも就職できない場合は、失業対策事業により就労の機会を提供することとしている。そして、これらのための予算の裏付けも十分なされているので、本法はなんら失対の打切りといわれるものではない。

二、失業対策事業は、他に就職の途のない失業者に対して、公共の負担により就業の場を提供する制度であつて、その実施には、労働大臣の定める計画及び手続の下に事業主体たる地方公共団体があたることとなつており、この制度の推進について国及び地方公共団体の双方が責任を負うことは、従来から明らかなところである。
  ただ、従来失業対策事業については、事業種目が土木事業に片寄つていること、あるいは日々紹介が行なわれているため就労先が安定していないこと等の問題があつたので、今後は屋内作業を含めた多彩な事業種目を実施し、あるいは一定期間継続的に同一現場に直行できる計画紹介方式を採用する等運営面で改善を加えてまいりたい。

三、高年齢の失業者や体力の弱い失業者は、就職促進の措置を講じても、通常の就職は極めて難しい実情にあることを考慮して、それらの者にふさわしい内容の高齢失業者等就労事業を実施し、直接これに就労できる道を開いたものである。
  従つて、高齢失業者であつても十分意欲、体力がある者は、就職促進の措置を受けることができ、また、失業者就労事業にも就労できるのである。
  公共職業安定所が高齢失業者等就労事業に紹介する失業者は、緊急失業対策法の改正規定第十一条の二第三項で「労働省令で定める年齢以上の高齢者又は労働省令で定めるところにより体力がこれに類すると認められる者でなければならない」としているところであつて、年齢又は体力についてどこで線を引くかということは、労働市場の状況、社会慣行の推移等実情に即して決定すべきものであるので、省令に委ねることとしたものである。
  もちろん、この省令を定めるにあたつては、関連制度の運営状況等を勘案し、また各方面の意見を参考にする等慎重な配慮をいたしてまいりたい。

四、高齢失業者等就労事業の賃金は、原則的には、失業者就労事業と同様に同一地域における類似の作業に従事する労働者に支払われる賃金を考慮して地域別に実際の作業に応じて定めるべきものとしている。また高齢失業者等の作業について民間における類似の作業といつてもその例も少なく、またあつても賃金が極端に低いことも懸念されるので、社会保障制度による給付の水準をも考慮してできるだけ配慮いたしたい。
  なお、低率賃金の原則を廃止したところでもあり、現在の失対就労者が高齢失業者等就労事業に移つた場合でも、現に受けている賃金より下回ることとならないよう十分配慮してまいりたい。

五、失業対策事業は、他に就職の機会のない失業者に対して雇用の場を提供するための事業であり、あくまでも雇用対策の一環として実施するものである。従つて、本法では、できるだけ賃金としての通常の性格を貫ぬくよう配慮するため、現行の低率賃金の原則を改め、今後はできるだけ就労者の能力にふさわしい事業運営を行なうとともに、賃金は失対事業において実際に実施している作業ごとにその作業内容にふさわしい通常の賃金を支給できるよう規定したのである。
  労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものであり、このような原則の上に立つて定められる民間の類似の賃金を考慮して決定される失対事業の賃金についても、その点が十分反映されることとなるものと考える。

六、失業対策事業の賃金については、この事業が失業者を対象として公共の負担によつて造出する特別の就労の場であり、国家的制度としての統一性を保つ必要があるため労働大臣がこれを定めることとするが、この場合公正かつ慎重な態度で臨むことが望ましく、かつ、民間賃金の動向等に応じ改訂の必要がある等技術的専門的事項について諮問すべき機関を常設しておく要があるため、学識経験者によつて構成される失業対策事業賃金審議会を設けることとしているのである。
  その他失業対策事業の運営全般についても、第三者機関の有益な意見の反映されることの望ましいことはもちろんであるが、こうした事柄については、現に「失業対策に関する事項」をその所掌事務とする雇用審議会において、従来から失業対策事業の運営に関する答申や建議をたびたび受けているところであり、また職業安定法の施行と関連する部分については実質的に職業安定審議会の意見をきくこととなり、これら審議会の意見を十分尊重して事業の運営を行なつてまいりたい。

七、本法においては、事業主体における事業運営面の適正化を図るため、新たに事業主体ごとに運営管理規程を定めるよう改正を行なつているが、運営管理規程を定めるにあたつて、労働条件に関連する部分は就業規則としての性格を有するので、労働基準法の規定により当然就労者側の意見を聞かねばならないものである。
  なお、労働大臣が失業対策事業の運営の基本方針を定めるにあたつては、関係者の意見を十分斟酌してまいることは、もちろんである。
  また、こうした事柄について審議会の意見を聞くことについては、六、の後段に述べるとおりである。

八、従来、失対事業の就労をめぐつて生ずる苦情については、これを適切に処理する機構がないため無用の摩擦を生じ、事業の正常な運営を阻害するおそれなしとしなかつたところであるが、今後においては就労者の代表を加えた苦情処理機構を設け、これによつて就労者の苦情及び紛議を平和的かつ迅速に処理したいと考えている。そして、その具体的な設置運営は、それぞれの現場の実情に応じ、各事業主体の創意を十分生かして苦情が処理されることが望ましいので、本法によつて新たに事業主体が定めるべきこととされている運営管理規程に苦情処理に関する事項を是非規定するよう労働省令で明らかにしたい。

九、就職促進の措置の対象となつている者が職業訓練を受けている期間は、失対賃金を二五%上回る月額一二、五五〇円程度の職業訓練手当を支給することとしている。また、公共職業訓練を受けるために扶養家族と別居して寄宿を要する者に対しては、寄宿手当として、月額三、六〇〇円を支給することとしている。

一〇、就職促進の措置は、失業者ができるだけ早く就職できるよう職業訓練、就職指導等を実施するものであるから、公共職業安定所と失業者との相互の緊密な協力のもとに措置が行なわれる必要があり、従つて公共職業安定所が十分本人の希望を尊重して職業訓練等の措置を講じてまいることはいうまでもない。
   なお、公共職業安定所長が就職促進措置として職業訓練を受けさせる場合の手続等については労、使、公益の三者構成となつている中央職業安定審議会に諮問して定めることといたしたい。

 右答弁する。


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