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答弁本文情報

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昭和四十四年八月二十二日受領
答弁第一六号
(質問の 一六)

  内閣衆質六一第一六号
    昭和四十四年八月二十二日
内閣総理大臣 佐藤榮作

         衆議院議長 松田竹千代 殿

衆議院議員(注)崎弥之助君提出在日米軍及び自衛隊における化学・細菌作戦に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員(注)崎弥之助君提出在日米軍及び自衛隊における化学・細菌作戦に関する質問に対する答弁書



一 米国政府は、日本本土には致死性化学兵器は存在せず、これをわが国に貯蔵する意図もない旨七月二十日わが方に通報してきている。また、七月二十二日米国防省は生物兵器を海外基地に配備している事実はない旨明言している。
  政府としては米国の右の通報及び言明は十分信頼するに足るものと考えている。

 1 日本においては米軍の生物・化学兵器機関ないし施設はないと承知している。
  神奈川県相模原市の米陸軍医療センター(施設番号三〇九八)内の第四〇六部隊医学研究所においては、動物及び昆虫の分布調査、蛇毒の研究、食品検査、水質検査、微生物検査、風土病の研究、寄生虫の研究及び血液銀行に関することなどの医学的研究が行なわれているのみで、生物・化学兵器の研究開発が行なわれている事実はない。
  なお、埼玉県キヤンプ朝霞(施設番号三〇四八)には米陸軍技術本部化学課なるものは存在していない。

 2(イ)a 昭和三十九年六月二十日である。
     b 米軍相模総合補給しよう(施設番号三〇八四)の北側に隣接する果樹園及び畑の農作物に塩素ガスによる損害が発生したので、政府は、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う民事特別法(昭和二十七年法律第百二十一号)(以下「民事特別法」という。)の規定に基づき、昭和四十一年二月二十五日に被害者関口沖五郎ほか三名に対し、桑、陸稲、甘藷等の減収等に係る損害賠償金として五五、七九二円を支払つた。
     c 米軍相模総合補給しようにある塩素ガスボンベ保管所のボンベは、二時間ごとに点検し、ガスの漏洩している不良ボンベを発見するとコンベアを利用し、隣接の苛性ソーダ水溶液タンク(鉄製、七立方米)に投入して処理し、廃液はパイプを通じて素堀りの排水溝に流し込む仕組みとなつていた。調査の結果、漏洩の原因は中和装置の機能に欠陥が生じたこと、苛性ソーダ水溶液タンクの蓋が木製であつて完全に密閉できなかつたこと及び排水溝が素堀りであつたこと等が原因であつたものと認められた。
      なお、この塩素ガスは、飲料水滅菌用及び下水消毒用のもので管理の瑕疵により被害を与えたものであるが、その後、この施設は改善され、事故は発生していない。

  (ロ)a 飲料水滅菌用及び下水消毒用塩素ガスである。また、その保管施設は米軍相模総合補給しよう横浜貯蔵所(施設番号三〇六七横浜ノースドツクの一部)である。
     b 処理のため海中に沈めてあつた塩素ガスボンベから流出した塩素ガスにより被害を受けた秋山剛臣ほか六名に対しては、民事特別法の規定に基づき、休業、財産及び療養賠償として昭和三十九年七月三日六〇二、七一三円支払つた。
      なお、米軍に対し、再びこの種の事故を発生させないように注意を喚起するとともに塩素ガスの海中処理を中止するよう要請したところ、じ後、この方法による処理は取り止めた。

  (ハ) 米軍は、日本本土において廃棄処分は行なつていない。また、実験訓練も行なつていない。
      なお、ご指摘の事実については次のとおりである。
     a 昭和四十三年七月十二日米軍岩国飛行場(施設番号四〇九二)の沖合にある姫小島(提供施設区域であり砲弾爆破場として使用されている。)において米軍が二十ミリ砲弾及び発煙弾を処理したもので、毒ガス性の弾薬ではない。
     b 米軍三沢飛行場(施設番号二〇〇一)において飲料水滅菌用液体塩素ガスボンベ(充填量一五〇ポンド)五本のバルブ等が錆つき不良となつたので、ガス洩れによる事故を防止するため三沢対地射爆撃場(施設番号二〇一二)において、ボンベのバルブカバー用キヤツプを取り除くため爆破処理を行なつたところ誤つて五本のボンベもろとも爆発したものである。

  (ニ) 一ですでに回答したとおりである。

二1 自衛隊では、びらん性ガス、神経性ガス等の毒ガス、細菌兵器等いわゆる生物・化学兵器は、保有していない。ご質問のGBガスは米軍から貸与された事実がない。
   ご指摘の教範(現在は教範ではなく参考資料である。)及び化学学校記事は、米軍の資料を化学防護の参考としてほん訳したものである。

 2 第三次防衛力整備計画には、生物・化学兵器の研究開発はない。防護器材の研究開発は行なつているが、ご指摘のGガスは使用していない。

 3 特別の増員や特訓計画はない。防衛庁の研究要員の研修は、一般の教育を目的としたもので所要の基礎的知識、科学技術等の教育を行なつているものである。

 4 ご質問のような実験は行なつていない。

 別紙(一)

二1(イ) 乳酸菌製剤は、一九〇八年メチニコフの研究以来、その効用が医学的に注目されるようになり、整膓作用の目的で服用され、赤痢保菌者及び同患者に対して服用効果があるとされているので消化器疾病の流行期を前にして集団生活者に対する赤痢及び食中毒患者発生の予防対策の一助とするために行なつたものである。

  (ロ) 自衛隊外の医療機関において、確認されたものである。

  (ハ) 市販されている。

 2 赤痢は、昭和四十二年度に全国的に約三万人の発生をみており、自衛隊においてもその発生の可能性は十分考えられる。
  二十八人の隊員は、施設野整備隊に所属する者であつて訓練のため、営外で作業を行なつていたものである。また、プラセボの使用は、医学の臨床試験における効果測定のために一般に行なわれる方法である。

 3 届出の手続を怠つたもので誠に遺憾である。

 4 昭和四十二年八月三日に発生した集団食中毒は、同月七日に終息したものであるが、この食中毒は茨城県衛生研究所において行なわれた検査の結果、患者の吐物及び昼食の塩焼イカ、キユウリ漬から検出された膓炎ビブリオが原因である。

 5 ご質問のような実験、演習は行なつていない。

 別紙(二)

四1 山口県の産業公害総合事前調査は、通商産業省企業局の責任のもとに山口県の協力を得て実施している。
   なお、エアトレーサ実験を含む現地調査に関しては、調査のスケジユール、実施方法、人員配置等の具体的プランを定めた調査実施要綱を策定し、この要綱に従つて実施しているものである。

 2 通信支援について山口県知事からの要請を受けたことと部隊の通信訓練にも適し、かつ公害防止対策にも資すると判断したからである。
   なお、右の要請は、公害の総合事前調査の内容から、その円滑な実施が自衛隊の支援なくしては、実際上きわめて困難である事情によるものである。

 3 陸上自衛隊第十七普通科連隊第四中隊長三等陸佐山本善一ほか、通信士、車両操縦手等八十九名であり、装備品としては、無線通信機四十八、車両十二である。
   この部隊の指揮官は、第十七普通科連隊長一等陸佐藤本健市である。

 4 この調査に使用しているエアトレーサ物質は、硫化亜鉛(ZnS)螢光体及び硫化カドミウム(CdS)螢光体を混合したものである。

 5 第三次防衛力整備計画においては、自衛隊の化学防護能力を増強するため、陸上自衛隊に化学隊三を編成することを予定している。同隊は、発煙、除染、焼い及び化学消防の機能を有する部隊である。

 6 現在の防衛庁職員のうち、いわゆる石井部隊(旧陸軍の関東軍防疫給水部)に勤務した経験のある者は二人である。

三 国家賠償法(昭和二十二年法律第一二五号)は、同法施行前の行為に基づく損害については従前の例によるものとしているので(同法附則第六項)、本件については適用がないものである。
  なお、本件について政府としては、昭和二十九年以降行政措置により全額国費をもつて各種の救済措置を講じてきているところである。

 右答弁する。




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