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答弁本文情報

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昭和四十九年五月二十八日受領
答弁第二七号
(質問の 二七)

  内閣衆質七二第二七号
    昭和四十九年五月二十八日
内閣総理大臣 田中(注)榮

         衆議院議長 前尾繁三郎 殿

衆議院議員米内山義一郎君提出むつ小川原開発における農地転用事前審査制度に係る脱法及び違法行為に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員米内山義一郎君提出むつ小川原開発における農地転用事前審査制度に係る脱法及び違法行為に関する質問に対する答弁書



一について

 農林大臣の許可を必要とする大規模な農地転用(二ヘクタールを超える農地転用)については、転用候補地につきその選定を適正円滑ならしめ、かつ、当該許可に係る事務処理の迅速化を図るため、原則として農地転用許可申請前において、事業計画者が転用候補地の選定の適否につきあらかじめ農林大臣に事前審査の申出を行うよう指導しているものである。

二について

(1) 農地転用事前審査結果の内示に際し、これを許可の内示であるとする指導はしていない。

(2) 事業計画者が転用候補地の取得交渉開始の段階で事前審査の申出をし、事前審査の結果、転用候補地の選定が適当である旨の通知を受けた場合に、転用候補地の権利取得につきその所有者等と協議をし、許可を条件として所有権を移転する旨の売買契約を締結する等所要の手続を進めることは差し支えないと考えている。

三について

 農地法第五条は、農地又は採草放牧地につき転用目的で行う所有権その他の使用及び収益を目的とする権利の設定又は移転を許可にかからしめており、この許可を受けないでした権利の設定又は移転は同条第二項で準用する同法第三条第四項の規定によりその効力を生じないが、この許可を受けずに、農地について転用目的で売買契約等を締結し、かつ、その農地をその買主等に引き渡すなど、権利の設定又は移転の効力を生じないまま、事実上その効力を生じた場合に行われると等しい行為が行われる場合には、同法第五条が右権利の設定又は移転につき許可を要することとしている趣旨に実質上反することとなるので、同法第九十二条においてかかる行為をした者を罰することとしているものである。
 御指摘によれば、むつ小川原開発株式会社が、農地につき転用目的で売買契約を締結し、その対価の相当部分を支払つているが、右の売買契約においては、同法第五条第一項の許可を条件として売買を行うこととされているものであり、また右対価の相当部分の支払のみでは事実上その農地の所有権を所得したに等しい行為であるとはいえないから、これらの行為をもつて同項の規定に違反したものということはできないと考える。

四について

 農地転用の事前審査を行う場合においては、事業計画者の立場を考慮して、申出のあつた事項については秘扱いとしている。
 昭和四十七年十月三十一日付けをもつてむつ小川原開発株式会社から東北農政局長に対して提出された農地転用事前審査申出書の内容については、同社から秘扱いとされたい旨の申出がなされている。
 なお、概要について申し述べれば、次のとおりである。

(一) 申出候補地の概要
    工業用地として計画されているものは、青森県上北郡六ケ所村大字鷹架、尾駮ほかの土地五、二三〇ヘクタールで、うち農地一、六一〇ヘクタールが含まれている。
    住宅用地として計画されているものは、六ケ所村大字倉内の土地二四〇ヘクタールで、うち農地二二〇ヘクタールが含まれている。

(二) 事業計画
    工業用地については、昭和六十年度末までに四、三九〇ヘクタールを工業用地として、また、八四〇ヘクタールを公共的用地として造成分譲する。
    住宅用地については、昭和六十年度末までに一二二ヘクタールを住宅用地として、また、一一八ヘクタールをその他用地として造成分譲する。

(三) 用地選定の理由
    工業用地については、昭和四十七年九月十四日の閣議において口頭了解された工業開発地区に適合するものとして選定したものである。
    住宅用地については、青森県の指導の下に新たに都市形成を図るために必要な条件を検討し、地元の意向を考慮して候補地を選定したものである。
    青森県知事の意見書においては、総合意見として、工業用地・住宅用地とも転用相当と認められる旨記載されている。

五について

(1) 昭和四十七年九月十四日の閣議口頭了解は、青森県知事から関係各大臣あてに提出された「むつ小川原開発第一次基本計画」について検討の上、関係省庁間で申し合わせた当面のむつ小川原開発の方針を内容とするものである。
    むつ小川原開発については、この申合せに基づき、地域住民の理解と協力の下に工業開発とあいまつて、農林水産業及び中小企業の振興を図るとともに、豊かな自然環境を保全しつつ地域住民の生活環境を整備し、移転を余儀なくされる住民の生活再建措置をあらかじめ講ずるなど住民対策に万全を期するものとするが、当面、青森県の計画を参酌して、土地利用の具体化を進めるなど所要の措置を講ずるものとし、総合開発計画の策定については、今後の調査の成果に基づき逐次検討を加えていくこととしている。
    むつ小川原開発に必要な用地の買収等については、地域住民の理解と協力を前提に、特に地域住民の生活再建に配意しつつ、関係各省庁で土地利用の調整を了したものについて、原則としてむつ小川原開発株式会社が青森県むつ小川原開発公社を通じて一元的に進めるものとし、当面、用地の取得面積は工業開発地区及び新市街地等約五、五〇〇ヘクタールを見込んでいる。
    工業立地としては、差し当たり石油精製及びこれに関連する石油化学、火力発電の立地を想定しているが、その規模については、用地取得の推移を踏まえつつ環境条件に適合するよう自然環境の保全を含めた総合的な視点から更に調査検討を加え、慎重に決定することとしている。
    青森県知事に対しても、工業開発の規模については、公害防止など環境問題を中心として更に調査を行い再検討するよう指示している。

(2) むつ小川原開発は、各省庁にまたがる重要事項であるので、閣議において口頭により、その了承を求めたものである。

(3) むつ小川原開発に係る工業開発地区及び新市街地等の土地利用計画について今後関係省庁間で調整を了し、その計画に係る農地等につき工場用地、新市街地等の敷地に供するため権利の設定又は移転が行われる場合は、農地転用許可基準第二章第一節第一の「農業以外の土地利用計画との調整を了した地域の取扱い」に該当するものとして取扱うこととしている。

六について

 政府関係当局において、そのような事実はない。

七について

 道路及び水路は農地ではないが、この発茶沢地区に係る大部分の道路及び水路の所有権を移転する場合には、農地法第七十三条の規定による許可を受けなければならない。
 また、この発茶沢地区に係る道路及び水路の取扱いについては、この地区の農地その他の土地利用の見通しに配意し、関係農業者の営農上支障が生じないよう配慮することについて青森県等を指導してまいりたい。

八について

(1) 農地法第五条第一項の許可に関し、申請者が申請書に虚偽の記載をする等処分庁を欺まんし、処分庁をして錯誤により許可要件に該当しないものにつき許可処分をなさしめた場合には、同法第八十三条の二第一項第四号に規定する要件に当たるものと考える。

(2) 農地法第五条第一項の許可申請書に虚偽の事実の記載があつたとしても、処分庁の事実調査により許可要件に該当すると判断される場合もありうるから、申請者による申請書の虚偽の記載のみをもつて、直ちに当該許可処分が、重大かつ明白な瑕疵を有するものということはできないものと考える。

 右答弁する。




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