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答弁本文情報

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昭和五十三年八月四日受領
答弁第六四号
(質問の 六四)

  内閣衆質八四第六四号
    昭和五十三年八月四日
内閣総理大臣 福田赳夫

         衆議院議長 保利 茂 殿

衆議院議員柴田睦夫君提出欠陥車野放し行政と今後の自動車保安行政のあり方等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員柴田睦夫君提出欠陥車野放し行政と今後の自動車保安行政のあり方等に関する質問に対する答弁書



一について

 自動車の安全確保及び公害防止の観点より、従来から欠陥車対策の推進を図つてきているところであるが、今後とも欠陥車情報の収集及び解析の充実強化に努めるとともに、自動車製作者等に対する指導の徹底を図り、欠陥車対策に遺漏なきを期したい。

二について

1 諸外国の長寿命車構想については、現在通商産業省を中心として資料の収集を行つているところであり、今後その収集資料の研究成果を踏まえつつ、今後の技術進歩の可能性、省エネルギーの要請等との関連について政府部内で十分検討を行つた上で、我が国の長寿命車に対する方針を明らかにしてまいる所存である。

2@からDまで モデルチェンジについては、従来から安全・公害対策等社会的要請への対応を伴わないものについては、自粛するよう個々の自動車製作者ごとに指導しているところであり、今後とも継続してまいりたい。
  なお、モデルチェンジの時期等については、自動車製作者の判断により決まるものであり、政府としてモデルチェンジ計画を公表することは、適当でないと考える。

2E モデルチェンジ車の宣伝については、関係各社に対して、過剰にわたることを避けるとともに性能向上の内容を消費者に明示するよう指導しているところである。なお、宣伝費用を各車種ごとに特定することは困難である。

2F及びG モデルチェンジ車について型式指定をする際には、安全・公害対策が講じられているかどうかについて十分な審査を行つている。
  なお、車名及び型式をトヨタ30B型と称する自動車の型式指定は行つていない。

三について

1 ウインドガラス周辺の発錆について消費者のクレームがあつた場合において、その原因がガラスの取付けの不手際によると認められるものがあるときは、誠意をもつて処理に当たるよう指導しているところである。
  なお、防錆対策については、今後とも、その技術水準の向上を図るよう指導してまいる所存である。

2 接着ウインド方式の窓の接着不良によつて、窓ガラスがはずれたという例は、承知していない。

3から5@まで、6@、7@ハ及びニ、7Aロ、8@イ及びハ、8A、9、10A、11@ハ、11A、11C及び11D 御指摘の事例についての現在までの調査によると、設計又は生産過程に起因する保安上の欠陥のおそれは認められないが、なお引き続き調査検討を行うこととしており、その結果必要がある場合は速やかに所要の措置を講じてまいる所存である。

5A 国内販売車については、当該欠陥の原因となつた材料を用いた部品は使用されていないため、同種欠陥のおそれはないと判断している。

6Aイ及びロ 御指摘の事例について可能な限り早い時期に所要の試験及び調査検討を行い、その結果必要に応じて適切な措置を講じてまいる所存である。

6Aハ 事故時における乗車人員の被害軽減を図るため、従来から必要な対策を講じてきたところであるが、今後とも事故の態様、技術開発の進展等を考慮しながら乗車人員の被害軽減のための対策について検討してまいる所存である。

7@イ及びロ 御指摘の件について、運輸省において対策を指示した事実はなく、当該自動車製作者から構造変更届及び強度計算報告書が提出された事実もない。

7Aイ 御指摘の件について、当該自動車製作者から構造変更届は提出されていない。

8@ロ バングラデシュに対する援助車の多くが使用不能となつているのは、同国の自動車整備体制の不備によるものと思われる。かかる事情から、同国政府は、我が国に対して自動車整備施設の建設について協力を求めてきたので、本年二月、国際協力事業団から調査団を派遣したところである。
  なお、御指摘のバスについては、我が国が国連に拠出した緊急援助資金をもつて、国連が購入したものである。

8B 御指摘の部品については極寒冷時に問題を生ずるおそれがあるとして、北海道地区に限定してリコールがなされたものであるが、その後当該地区へ移転したもの及びフェリー等で当該地区へ移動するものについても部品の交換を行うこととしている。
  また、ブースター側高圧ホースは、当初から十分な耐寒特性を有するものを使用していたため、リコールの対象から除外したものである。
  なお、北海道地区を除いた地域において御指摘の部品を装着した車両の数は、当該リコール届出がなされた時点において約十二万台であるが、これらの車両については、問題がないと判断している。

8C 当該自動車製作者からは、現在までのところ昭和五十三年四月二十七日に普通貨物自動車について二件、同年五月十八日に小型乗用自動車について一件のリコール届出がなされている。

8D リコールの届出に当たつては具体的な改善方策についての説明を聴取することとしており、御指摘の件においては、デッドアクスル及び後車軸ハウジングを溶接状態の良好なものと交換するとの説明を受けている。

10@ 御指摘の件について、当該自動車製作者から構造変更届及びリコール届は提出されていない。

11@イ及びロ 現在までの調査によれば御指摘のような事実はない。

11B 国内販売車については、当該装置の構造が降雨の影響を受けにくいようになつているため、御指摘のような問題はないものと判断している。

12@ 米国でリコールしたものと同一又は類似の国内販売車については、当該リコールの原因と同様の問題を生ずるおそれがある場合には、国内においてもリコール等の措置を講ずるよう指導しているところである。

12Aイ、ロ及びハ 御指摘の件に関する現在までの調査によれば、乗用車のドアロックの強度については、従来から輸出車と国内販売車との間に差異はない。
  また、その強度については、欧米なみの規制を行つている。

12Aニ 座席ベルトの着用については、高速自動車国道及び自動車専用道路においては努力義務が課されており(道路交通法第七十五条の十一)、また、一般道路においては当面行政指導によつてその普及に努めている。
  今後とも座席ベルトの着用率の向上を図るため、関係機関との連携の下に、全国交通安全運動をはじめ、運転者に対する各種講習会、事業所等に対する安全指導その他あらゆる機会を通じて、座席ベルトの着用の習慣化と正しい着用方法等について指導を徹底することとしたい。

12B 自動車の制動能力については、制動装置によつて所要の機能が確保されるよう規制を行つている。
  また、補助ブレーキについても今後更にその性能、耐久性の向上等について指導してまいりたい。

四について

1@及びA いわゆる欠陥車問題については、昭和四十四年、自動車型式指定規則を改正してリコール制度を創設するとともに、昭和五十二年度以降運輸省自動車局に欠陥車専従職員を配置してその処理に当たつているところである。
  また、陸運局についても昭和四十二年度以降組織の強化を図るとともに、昭和五十二年度以降、逐次、東京、名古屋及び大阪の各陸運局に欠陥車専従職員を配置してきている。
  今後とも欠陥車処理体制についてはその充実に努め、対策に遺漏なきを期したい。

1B 自動車事故報告規則により報告された自動車事故のうち、自動車の構造、装置に関連すると考えられるものについては、必要に応じ調査解析を行うとともに、自動車製作者等に対し、事故原因の調査等の指示を行い、必要な対策措置を講じてきたところである。
  今後とも自動車の構造、装置に関連すると考えられる事故については、速やかに原因の究明を行うとともに、必要に応じ事故防止対策の策定等所要の措置を講じてまいる所存である。

2 自動車製作者に対し、欠陥車情報の収集及び調査分析、迅速かつ的確な対策の策定等欠陥車処理体制の充実強化について指導を行つてきているところであるが、今後とも更にその徹底に努めてまいる所存である。
  また、自動車製作者に対しては従来から必要に応じて諸文書の提出を求め、調査検討を行つているところである。これまで虚偽報告等の事例は認められなかつたが、今後とも厳正かつ効果的に報告徴収及び立入検査を実施してまいる所存である。

3@イ 自動車の検査については、従来からその要員の確保に努めるとともに、検査施設の整備を図つてきたところである。今後とも、実情に応じて十分配慮してまいりたい。

3@ロ 検査の実施方法については、道路運送車両法施行規則第三十五条の四に規定しており、また、より具体的な計測方法等については「自動車検査業務等実施要領」で定めている
  ところであるが、今後更に適切な検査基準について検討を進めていく所存である。

3@ハ及びC 欠陥車情報については、自動車検査官、自動車分解整備事業者等からの報告等によりその収集に努めているところである。
  また、自動車の検査は法令の基準にのつとり、厳正にこれを行つている。

3A いわゆる民間車検に係る不正行為の防止については、従来から指導監督体制の充実を図つてきているところであるが、今後とも実情に応じて十分配慮してまいりたい。

3B 自動車点検基準については、安全確保等の見地から必要不可欠な点検整備項目を慎重に検討し、総体として項目を削減する方向で、可能な限り早い時期に改正を行うことを目途として現在その見直し作業を進めているところである。

4 自動車の保安に関する行政制度については、従来から鋭意その整備に努めてきたところであるが、今後、自動車をめぐり更に安全・公害対策の強化、省資源・省エネルギー等の社会的要請が強まる中で、これらの要請を十分考慮しつつ、その充実強化に努めてまいる所存である。

 右答弁する。




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