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答弁本文情報

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昭和五十四年四月十三日受領
答弁第一六号
(質問の 一六)

  内閣衆質八七第一六号
    昭和五十四年四月十三日
内閣総理大臣 大平正芳

         衆議院議長 (注)尾弘吉 殿

衆議院議員上田卓三君提出雇用問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員上田卓三君提出雇用問題に関する質問に対する答弁書



一について

 何が完全雇用の状態であるかを一義的に示すことは困難であり、雇用指標等を多角的に分析し、質的な問題をも含めて総合的に判断すべきものであるが、当面量的な政策目標としては、労働力需給が総量としておおむね均衡し、需要不足に基づく失業がほぼ解消されている状態であると考えている。

二について

1 各種給付金制度の統廃合については、各給付金制度の趣旨、目的を損なわないよう配慮を加えつつ、関係審議会等の意見を聴きながら、統合可能なものについてはできるだけ統合する方向で検討してまいりたい。
  雇用安定事業としての給付金制度については、昨年十月に所要の給付の改善、要件の緩和等を図つたところである。更に昭和五十四年度においても、中高年齢者雇用開発給付金、定年延長奨励金等の大幅拡充を図つたところである。これら給付金制度についてはその周知、徹底について一層の配慮を加え、その有効活用を促すこととしたい。

2(一) 公共職業安定所の機能については、最近の景気の停滞の影響から、中高年齢者を中心として求職者の滞留傾向が見られ、公共職業安定所における職業紹介は、必ずしも容易でない状況にある。
     しかし、景気の回復に伴い、最近ようやく求人も増加傾向にあり、公共職業安定所においては、求職者個々人に見合つた求人を確保するための特別の求人開拓活動、きめ細かな職業相談・職業紹介等に努めているところである。
     更に、経済環境の変化等に対応し得る公共職業安定所の業務運営体制のあり方について、現在試行を進めているところであり、その成果を踏まえつつ公共職業安定所の機能の充実に努めてまいりたい。

 (二) 公共職業安定所においては、新規学校卒業者についての求人申込みの際に、事業主から従業員採用計画書の提出を求め、中学、高校、短大、大学等学校別の新規卒業者、中高年齢者、身体障害者等の採用予定人数等をは握し、採用計画の内容等について指導するとともに、公共職業安定所における所要求人の確保を図るための資料として活用しているところである。

 (三) 職業安定法では、新聞紙、雑誌等の文書による労働者の募集については、原則として自由に行うことができることとされているが、通常通勤することができる地域以外の地域からこれを行う場合には、応募しようとする労働者が雇用主から直接文書に記載されている内容(職種、賃金等の労働条件等)について確認することが困難であること等にかんがみ、労働者の保護、適正な職業選択等の確保を図るため、募集内容をあらかじめ公共職業安定所長に通報させているところである。
     したがつて、応募しようとする労働者が雇用主から直接募集内容を確認することが容易な通勤地域からの文書募集については、その必要はないと考える。

 (四) 地方職業安定審議会については、現在その開催状況が低調であるので、各都道府県に対し、その適切な活用を図るよう指導しており、現下の厳しい雇用失業情勢を背景として、その開催回数は増加の傾向にある。政府としては、今後更に地方職業安定審議会の活用が図られるよう努めてまいりたい。

 (五) 職業安定行政職員の増員については、政府全体として行政簡素化を進める方針の中で、従来から鋭意努力してきたところであり、昭和五十四年度においても、現下の厳しい雇用失業情勢に対処するため主に特定不況業種離職者対策、特定不況地域離職者対策等に関連して所要の増員を行つたところである。
     今後とも、行政需要の増大に対処するため、必要な増員に努めるとともに、行政事務の簡素・効率化、人員の適正配置等を図り、業務処理体制の確立に努力してまいりたい。
     なお、大阪府における公共職業安定所別定員の推移は別紙のとおりである。

3(一) 職業安定行政においては、労働力の総合的な需要供給の調整を図ることを本旨としていることから、市町村の行政区域とは関係なく、公共職業安定所を設置し、全国的、統一的に職業紹介等の業務を行つているところであり、市町村にこのような業務を行わせるとすることについては、慎重に検討を要する問題があると考える。
     しかしながら、最近の厳しい雇用失業情勢の下にあつては、市町村との連携の下に雇用対策を進めていくことが効果的であるので、離職者の多数生じている地域等において公共職業安定所、市町村等からなる地域雇用対策連絡会議を設ける等により市町村との連携体制の強化を図つているところであり、今後とも同会議の活用を図る等により、地域の実情に応じた雇用対策を進めてまいりたい。

 (二) 御質問の「東大阪市雇用開発センター(仮称)」については、その具体的内容がつまびらかでないので、今後実態を踏まえた上で労災保険の適用問題等については慎重に検討することとしたい。
     なお、労働者供給事業は、職業安定法上、労働組合法による労働組合が労働大臣の許可を受けて無料で行う場合のほかは禁止されている。

三について

 使用者が労働組合の結成・運営に対し支配介入する等の不当労働行為を行つてはならないことは当然のことであり、政府としても、従来から労使関係法規の周知徹底等を通じて不当労働行為の防止に努めてきているところである。
 御指摘の田中機械株式会社に係る件については、関係の労働組合から大阪府地方労働委員会に対し、関西経営者協会、株式会社三菱銀行及び新日本製鉄株式会社を被申立人として不当労働行為救済の申立てがなされ、現在同委員会において審査中であると聞いているので、政府としてとかくの見解を述べることは差し控えたい。

 右答弁する。


別  紙

大阪府における公共職業安定所別定員の推移(10年間)

別紙:大阪府における公共職業安定所別定員の推移(10年間)




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