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答弁本文情報

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昭和五十六年四月十四日受領
答弁第一八号
(質問の 一八)

  内閣衆質九四第一八号
    昭和五十六年四月十四日
内閣総理大臣 鈴木善幸

         衆議院議長 福田 一 殿

衆議院議員稲葉誠一君提出鈴木内閣の憲法についての考え方に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員稲葉誠一君提出鈴木内閣の憲法についての考え方に関する質問に対する答弁書



一について

1 憲法問題に関しては、昨年来、国会において種々の論議が行われていたことにかんがみ、内閣としての方針を明確にするという観点から述べたものである。

2及び3 憲法の問題は国民的基礎において検討されるべき問題であり、自由民主党が、国民の要求にこたえるべく、一定の目標を掲げ、憲法のいろいろな問題を研究することは、政党として当然のことであると考える。憲法改正は慎重の上にも慎重でなければならず、現在は憲法を改正すべきであるという国民的合意が形成されているとはいえない。そういう段階において、内閣としては憲法改正を政治日程にのせることは全く考えていない。

4 憲法問題に関する内閣の方針は、全閣僚が一致して支持しており、内閣の不統一はない。

二について

1及び2 我が国は、憲法の制約の下に、我が国自身の自主的判断に基づいて自衛のための必要最小限度の範囲内において防衛力を整備することとしている。このような基本的な立場に立つて、あくまでも平和に徹し、軍事大国にならないということは、従来から内外に明らかにしてきているところであり、広く諸外国においても理解されているものと考えている。

3 第九条も含めて現行憲法が国民の間に定着しているかどうかについては、いろいろな見方があると考えるが、現行憲法が成立後三十数年間、国民の間で有効に機能してきたことは事実である。

三について

 憲法第九条第二項の「前項の目的を達するため」という言葉は、同項後段の規定にかかつていないと解している。
 同項後段の「交戦権」とは、戦いを交える権利という意味ではなく、交戦国が国際法上有する種々の権利の総称であつて、相手国兵力の殺傷及び破壊、相手国の領土の占領、そこにおける占領行政、中立国船舶の臨検、敵性船舶のだ捕等を行うことを含むものであり、このような意味の交戦権が否認されていると解している。
 他方、我が国は、自衛権の行使に当たつては、我が国を防衛するため必要最小限度の実力を行使することが当然に認められていると解しているが、実際上、その実力の行使の態様がいかなるものになるかについては、具体的な状況に応じて異なると考えられるから、一概に述べることは困難である。
 なお、国際法上も、交戦権は、通常、右に述べたような意味に解されている。

四について

 「有事」という言葉は、法令上の用語ではなく、その意味は必ずしも一義的であるわけではないと思うが、国の防衛に関連して使用される場合には、一般的には自衛隊法第七十六条の規定により防衛出動が命ぜられるような事態をいうことが多いと考えられる。
 なお、自衛隊法第七十六条の防衛出動に関連する法律の条文としては、例えば、防衛庁設置法第二十六条及び第六十二条、自衛隊法第二十二条、第三十六条、第四十五条、第七十条、第七十七条、第八十条、第八十六条、第八十八条、第九十二条、第百三条、第百四条及び第百七条などがある。

 右答弁する。




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