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答弁本文情報

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昭和五十八年二月十五日受領
答弁第四号
(質問の 四)

  内閣衆質九八第四号
    昭和五十八年二月十五日
内閣総理大臣 中曽根康弘

         衆議院議長 福田 一 殿

衆議院議員草川昭三君提出新しい交通事態に対応する交通安全対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員草川昭三君提出新しい交通事態に対応する交通安全対策に関する質問に対する答弁書



一について

 現在の道路交通は、各種車両が混在して走行している状況にあり、特に自転車、原動機付自転車等については、身近な交通手段として、今後とも幅広く利用されていくものと認識している。このような道路交通の実態に即し、歩行者やそれぞれの車両が安全で円滑に通行できる道路交通環境を整備する必要があると考えている。
 これまでもこのような観点から道路交通環境の整備に努めてきたところであるが、現下の厳しい交通情勢に対処するため、更にその整備等の施策を積極的に推進してまいりたい。

二について

 現在の運転免許制度は、今日の交通社会において運転者としてふさわしい者に広く門戸を開き、また、これらの者に対する運転者教育を充実することにより、交通の安全の確保を図つているものである。
 いわゆる自動二輪車免許の段階的取得に関する指導は、最近の自動二輪車に係る交通事故の増加にかんがみ、自動二輪車免許を取得しようとする者に、比較的運転が容易な小型自動二輪車の走行経験を積ませた上で、高性能の自動二輪車を運転させようとするものである。この指導は、自動二輪車運転者の教育の充実に資し、かつ、交通事故防止上の効果も期待できるものであると考えている。

三について

 初心運転者の養成機関である指定自動車教習所の教習は、道路交通の実情に的確に対応していることが必要である。この点にかんがみ、その内容や手法については、常に広く関係者の意見を聴きながら検討を加えているところである。
 また、現在定められている教習の内容及び時限数は、いずれも現今の道路交通情勢の下では必要不可欠なものであると考えるが、教習期間については、運営の合理化を行うことにより教習生の負担の軽減が図られるよう指定自動車教習所等を指導してまいりたい。
 なお、いわゆる合宿教習については、教習内容等が適切さを欠くことのないよう指導してまいりたい。

四について

1及び2 交運安全教育は、心身の発達段階等に応じ、生涯にわたつて計画的、継続的に行われることが大切である。
  幼児の交通安全教育については、交通安全に必要な習慣や態度を身に付けさせることを主なねらいとして、幼稚園や保育所等における教育・保育、家庭における幼児の保護と教育及び地域組織による指導を通じてその充実に努めているところである。
  学校における交通安全教育については、児童、生徒の心身の発達段階や地域の実情に応じて、安全に行動できる態度や能力を養い、健全な社会人の育成を図ることをねらいとして、学校の教育活動全体を通じて、計画的、組織的に行うこととされており、指導資料の作成、教員の指導力の向上等を通じてその改善充実に努めているところである。
  また、家庭、地域、職場における交通安全教育についても、地域の実情等に応じ、母親、子供、老人、運転者等に対し正しい交通ルールとマナーの実践を習慣づけること等を主なねらいとして、各種民間交通安全組織等の活動に対して積極的な指導協力を行うとともに、社会教育施設等における交通安全のための諸活動を積極的に推進しているところである。

3 学校における交通安全教育については、安全指導の手引等の指導資料を作成し、これらの趣旨の徹底を図つているほか、毎年度安全研究学校を設定して、重点的に安全指導の在り方について調査研究を行い、その成果の活用により安全指導の充実を期するとともに、必要な教材に関する調査研究を実施するなど安全指導の徹底に努めている。
  また、教員についても、従来から毎年度行つている学校安全研究協議会のほか、昭和五十七年度から新たに交通安全教育指導者養成講座を開設し、指導者である教員の資質の向上に努めているところであり、今後とも学校における交通安全教育の一層の改善充実を図つていくこととしている。

4 学校教育は、知、徳、体の調和のとれた人間性豊かな児童、生徒の育成を目指して行われており、学校における交通安全教育は、自他の生命の尊重という基本理念に立つて、身近な交通環境における様々な危険に気付いて的確な判断の下に安全に行動できる態度や能力を養うとともに、交通社会の一員として、その責任を自覚し、自己の安全のみならず、他の人々や社会の安全に貢献できる健全な社会人を育成することを目指しているところである。

5 二輪車の運転に関するいわゆる「三ない運動」のような規制については、現在の交通環境等を踏まえ、学校として、その実情に応じて交通事故を未然に防ぐために、また、生命を大切にすることの意義を認識させるためにこれを行うことは、現実的な対応としてやむを得ない措置であると考える。
  しかし、生徒及びその父母の十分な理解なしに、一律にこうした措置がとられることは、教育上好ましいことではなく、「三ない運動」のような規制を行う場合には、生徒やその父母に対してその教育上の意義を十分周知させ、その理解を得るという配慮が肝要であると考える。
  なお、高等学校においては、生徒自らが交通社会の一員としての責任を自覚し、良き社会人として必要な資質を身に付けることを目指し、交通安全教育の一層の充実に努めているところであり、前述のような規制を行つている場合においても、交通安全教育を徹底するよう、学校設置者に対し指導しているところである。

五について

 細街路等の生活道路においては、通過交通を排除し、歩行者等の安全と生活環境の保全を図るとともに、地域住民に係る自動車の通行と歩行者等の安全な通行との両者を確保し得る道路交通環境の整備を図ることが必要である。
 このため、都市内の住宅地域等を中心に生活ゾーン規制を実施するとともに、「コミュニティ道路」の整備及び居住環境整備事業を推進しているところであるが、今後とも生活道路における交通安全対策を一層推進してまいりたい。

(1)及び(2) 自転車と原動機付自転車の併用信号灯や併用道路を設けることについては、交通安全の見地等から慎重に検討しなければならないと考えている。

(3) 二輪車運転者の視認性を高める服装当の着用については、今後ともその普及促進に努めてまいりたい。

(4) 二輪車の昼間点灯については、現在一部の府県で試験実施しているところであるが、その効果の有無等を見定めた上で、実施の可否について検討を進めてまいりたい。

六について

1 二輪車の通行禁止規制等は、交通規制区域内等の交通事故の防止、又は、騒音等の交通公害の防止の観点から行つているところである。
  このような交通規制の実施に当たつては、区域、道路の区間、時間帯等を限定して必要な範囲内で行い、業務上等やむを得ない車両については通行許可証を発行するなどの配慮に努めているところであるが、今後とも交通事故の発生状況等を勘案し、その適切な実施を図つてまいりたい。

2 都市部における駐車禁止規制は、交通事故、交通渋滞の防止を図り、併せて自動車交通量の抑制にも資することを目的に実施しているところであるが、業務上の駐車需要の多い場所等については、パーキング・メーターを設置するなど必要最小限の駐車需要を満たす措置を講じている。
  今後とも駐車実態と駐車による交通の障害等の発生状況を踏まえ、関係者の協力も得つつ所要の対策を推進してまいりたい。

 右答弁する。




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