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答弁本文情報

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昭和六十年七月二十三日受領
答弁第四〇号

  内閣衆質一〇二第四〇号
    昭和六十年七月二十三日
内閣総理大臣 中曽根康弘

         衆議院議長 坂田道太 殿

衆議院議員大出俊君提出大韓航空機の領空侵犯及び撃墜事件の全貌を解明することを政府に要求した国会決議に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員大出俊君提出大韓航空機の領空侵犯及び撃墜事件の全貌を解明することを政府に要求した国会決議に関する質問に対する答弁書



一及び三について

 政府は、事件発生後直ちに国連安全保障理事会緊急特別会合の開催を求め、真相究明を訴えるとともに、これまで種々の機会に、ソ連に対して事件の真相究明を求めてきている。
 また、政府は、昭和五十八年九月の衆・参両院における決議の趣旨を踏まえ、事件の真相究明については、事件の性質上中立的な国際機関により行われることが適当であり、これに対しできる限りの協力をするとの立場から、国際民間航空機関(ICAO)の場で、真相究明のためあらゆる努力をしてきている。具体的には、次のとおり対処してきている。
(一) 昭和五十八年九月に開催されたICAO理事会特別会合において、我が国は、事件の真相究明を強く訴え、事件の事実調査をICAO事務局長に指示する決議の採択のため努力した。
(二) この決議に基づき昭和五十八年十月来日したICAO調査団に対し、我が国は、資料提供等積極的に協力し、ICAO事務局長から同年十二月ICAO理事会に対し事件に関する調査報告書が提出された。
(三) 政府は、その後もICAO理事会において、真相究明のための努力が継続されるよう、また、ソ連が事件に関する十分な情報を提供するよう求めてきている。
 なお、政府は、右に述べた対処振りについて、随時、国会等の場で説明してきている。
 また、政府は、事件の真相究明のための調査・研究を民間の航空技術専門家に委嘱したことはない。

二について

 御指摘のような経費について積算することは困難である。

四及び五について

 本件に関するレーダー記録は、三沢の防空管制指令所で総合処理されたものであり、各レーダーサイトごとの探知状況は示されていない。

六について

 自衛隊のレーダー記録上、大韓航空機のものと思われる航跡が捕捉されたのは、午前三時十二分である。同記録上、午前三時十二分における大韓航空機の位置は、北緯四十七度四十分、東経百四十三度四十五分であり、稚内、網走及び根室の各レーダーサイトから同位置までの平面的直線距離は、それぞれ約三百キロメートル、約四百キロメートル及び約五百キロメートルである。
 また、同記録上、大韓航空機のものと思われる航跡が消滅したのは、午前三時二十九分であ
る。同記録上、午前三時二十九分における大韓航空機の位置は、北緯四十六度三十分、東経百四十一度十五分であり、稚内、網走及び根室の各レーダーサイトから同位置までの平面的直線距離は、それぞれ約百三十キロメートル、約三百六十キロメートル及び約四百九十キロメートルである。

七について

 大韓航空機のトランスポンダーの応答波一三〇〇は、自衛隊のレーダーが同機の航跡を捕捉した際に付随して受信したものであるが、同応答波を受信していた時刻等は、記録上明らかではない。

八及び九について

 自衛隊の各レーダーサイトで具体的にいかなるレーダーが装備・運用されているかについては、事柄の性質上公表することは差し控えたい。

十について

 レーダーの設置地点の海抜は、レーダーの探知距離に関係する事柄であるので、公表することは差し控えたい。

十一、十二、三十四及び三十五について

 防衛庁は業務の遂行に伴つて得られたレーダー記録と「昭和五十八年九月一日大韓航空機を要撃したソ連機の交信記録」(以下「ソ連機の交信記録」という。)を公表したが、その後、ソ連が大韓航空機の撃墜の事実を認めるに至り、政府としては自衛隊の活動が事件の真相究明のために大いに貢献したと考えている。
 なお、事件の重大性にかんがみ、自衛隊のレーダー記録の公表についてはできる限りの配慮をしてきたところであるが、更に記録の細部について説明することは、レーダーの性能を明らかにすることになり、我が国の防衛上支障を生じることになりかねないので差し控えたい。

十三から十八までについて

(一) 御指摘の昭和四十三年七月一日現在の在職者名等は次のとおりである。

昭和四十三年七月一日現在の在職者名等



(二) 御指摘の昭和五十八年九月一日現在の在職者名等は次のとおりであるが、自衛隊における当日の具体的な部隊運用の状況については、公表を差し控えたい。

昭和五十八年九月一日現在の在職者名等



(三) なお、情報業務に従事する者の氏名等については、事柄の性質上公表することは差し控えたい。

十九及び二十について

 「象のおり」と通称されているアンテナ部一式は、東千歳通信所においては約十六億円で、美保通信所においては約十三億円でそれぞれ整備された。
 各通信所ごとの整備費について積算することは困難である。

二十一について

 昭和五十八年九月一日現在、陸上幕僚監部調査部調査第二課調査別室に所属する通信施設は、北海道稚内市、根室市、千歳市、新潟県新発田市、埼玉県入間郡大井町、鳥取県境港市、福岡県朝倉郡夜須町及び鹿児島県大島郡喜界町に各々所在していた。

二十二について

 陸上幕僚監部第二部別室として発足した昭和三十三年度から昭和五十七年度までの陸上幕僚監部調査部調査第二課調査別室の整備費総額は、約百六十億円である。

二十三及び二十四について

 昭和五十八年九月一日現在、航空自衛隊には通信傍受施設は存在しなかつた。

二十五について

 上品山航空路監視レーダー及び横津岳航空路監視レーダーは、いずれも、株式会社東芝により製造されたものであり、それぞれ、昭和五十一年三月及び昭和五十二年十二月に運用を開始している。
 両航空路監視レーダーの覆域は、いずれも、最大約三百七十キロメートルである。

二十六及び二十七について

 ソ連機の交信記録中、午前三時九分に「目標は方向を変えた。」という交信があることは承知しているが、午前三時十二分以前の大韓航空機の航跡については承知していない。

二十八から三十までについて

 大韓航空機が人為的操作により下降したか否か及び同機が虚偽の報告を行つていたか否かについては、機体が回収されず、また、パイロットが死亡している等のため、断定できない。

三十一から三十三までについて

 大韓航空〇〇七便からの東京国際対空通信局への通信については、各英単語ごとの具体的な周波数は把握していない。
 大韓航空〇〇七便と東京国際対空通信局との間の交信及び大韓航空〇一五便と東京国際対空通信局との間の交信については、いずれも、航空機側の通話者が常に同一人物であつたか否か判別し得ていない。

 右答弁する。




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