答弁本文情報
平成元年四月二十八日受領答弁第一八号
内閣衆質一一四第一八号
平成元年四月二十八日
衆議院議長 原 健三郎 殿
衆議院議員寺前巖君提出医薬品副作用の被害防止に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員寺前巖君提出医薬品副作用の被害防止に関する質問に対する答弁書
一の1について
外国臨床試験データの受入措置については、専門家からなる「外国の臨床試験データの評価に関する研究班」の報告を踏まえ、試験の不必要な重複を避ける観点から行ったものである。
受入れに当たっては、人種、環境因子及び医療実態の差を考慮し、吸収・分布・代謝・排泄に関する試験、投与量設定に関する試験及び比較臨床試験のデータについては、国内で実施された試験によるものを必要としている。
また、外国で実施された臨床試験のデータを受け入れる場合であっても、生データが確認できることを受入れの要件としており、データの信頼性を確保しているところである。
マオン錠については、武田薬品工業株式会社が自主的に行った毒性試験の一部において異常所見が認められたので、最終的な試験結果が出るまで同社の判断で販売を中止したものであると承知している。
我が国では、昭和四十二年に医薬品副作用モニター制度を創設し、昭和六十三年度末現在では千五十七のモニター病院から副作用情報の収集を行っている。
本制度により収集される副作用情報は、諸外国に比べ、患者の背景、症状の経過等についてより詳細な情報を伴う、質の高いものとなっており、これらの副作用情報に基づき種々の安全対策を講ずることにより、医薬品の安全性の確保を図ってきているところである。
さらに現在、より多くの副作用情報を収集するため、関係団体に対し本制度への積極的な参加を呼びかけ、モニター病院数の増加を図るとともに、副作用情報の収集システムの見直しについての検討を行っている。
現在、厚生省では、未知の副作用については、軽微なものも含め、すべての副作用について報告を求めている。
また、既知の副作用についても、重篤なものの報告を求めているほか、発生数、発生頻度、発生条件等副作用の発生傾向が著しく変化したことを示す研究報告の提出を求めている。
今後とも、これらにより、安全対策上必要な情報収集を行っていくこととしている。
収集された副作用情報については、データベース化を進めてきているところである。その公開の方法については、プライバシーの保護、諸外国の状況等を踏まえて検討をしていくべきものと考えている。
「医薬品副作用情報」及び「医薬品副作用モニター報告の概要」は、モニター病院等へ直接配布するほか、医学薬学関係雑誌に掲載し、副作用情報の伝達に努めている。
「ドクターレター」の配布に当たっては、関係業者に伝達状況の報告を行わせる等により伝達の徹底を図っている。
また、これらの情報については、(社)日本医師会、(社)日本薬剤師会、関係学会等の関係団体に対しても、会員への伝達を依頼しているところである。
今後とも関係団体との連携を一層密にする等により、医師、薬剤師への情報提供の徹底を図っていきたいと考えている。
「厚生省医薬品情報」は、従来より、必要に応じ発行してきたところである。その内容については今後とも一層の充実に努めてまいりたい。