衆議院法制局採用情報

キャリア形成

「子育て中の人に配慮ある職場です」        

衆議院法制局では、仕事と家庭の両立支援制度の活用促進をはじめ、ワーク・ライフ・バランスに配慮した働き方の実現に積極的に取り組んでいます。子育て中の職員に、実際に利用した制度や、仕事と子育ての両立等について聞いてみました。

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子育てと仕事の両立に当たり、どのような制度を利用した?

私には3人の子どもがいますが、その育児のため、男性職員が使える制度はほぼ全て利用してきました。
 まず、出産の際には、「配偶者出産休暇」(注1)及び「育児参加のための休暇」(注2)を取得しました。子どもたちの新生児期には、それぞれ2か月程度の「育児休業」を取得しました。育児休業からの復帰後は「育児時間」(注3)を利用して、勤務時間を短縮していました。
 現在は、「早出遅出勤務」(注4)と「休憩時間の短縮」(注5)を利用しており、勤務時間は他の職員と同じですが、子どもたちを小学校や保育園に送り出した後、少し遅めに出勤しています。

   (注1)配偶者の出産に伴う入院等の付添い等を行う場合の休暇(2日間)

   (注2)配偶者の産前産後期間中に出産に係る子等を養育するための休暇(5日間)

   (注3)子を養育するため1日の勤務時間の一部を勤務しないことを認める制度

   (注4)子の送迎等のため始業・終業時刻を変更することができる制度

   (注5)休憩時間を1時間から30分に短縮することができる制度

家庭ではどのような家事・育児を担当している?

家事・育児の優先順位についての認識を夫婦で共有した上で、明確な分担は決めずに状況に応じて必要なことをやっています。
 主にやっている家事・育児は、家事だと料理や洗濯、育児だと小学校・保育園への送り出し、食事の補助、お風呂等々でしょうか。最近は子どもたちも大きくなってきたので、一緒にサッカーの練習をしたりボードゲームをしたりしています。

子育てと仕事の両立に当たり、心掛けていることは?

職場に家庭の事情を伝えて配慮してもらうとともに、家族にも仕事の状況を伝えて帰宅が遅くなることへの理解をしてもらえるように努めています。
 今年は、当課の法案が5本成立するなど、非常に多忙な業務状況でしたが、ニュースで担当した法案のことが流れた際に「お父さんはこの法律を作るお手伝いをしているんだよ」と説明したり、子どもたちを職場見学(注6)に連れてきたりして、仕事への理解を醸成するように心がけています。

   (注6)夏休みの時期に行われる、職員の家族が職員の執務室等を訪れる衆議院法制局の取組

法制局は子育て中の職員に配慮してくれる職場?

衆議院法制局は、職員の数が少なく、「顔の見える職場」ですので、子育て中であることに限らず、それぞれの個別の事情にもきちんと向き合い、配慮してもらえていると感じています。
 職場の上司や同僚に非常に助けられているという実感があるので、私自身も、自分の子育てが一段落したら、同僚が育児休業や勤務時間の短縮等を取得しやすいような環境にしていきたいと思っています!

「色々な制度を使って最適なWLBを模索しています」

衆議院法制局では、仕事と家庭の両立支援制度の活用促進をはじめ、ワーク・ライフ・バランスに配慮した働き方の実現に積極的に取り組んでいます。子育て中の職員に、実際に利用した制度や、仕事と子育ての両立等について聞いてみました。

回答してくれた人

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子育てと仕事の両立に当たり、どのような制度を利用した?

衆議院法制局では「産前・産後休暇」に加え、子どもが3歳になるまで「育児休業」を取得でき、その期間は自分で選択することができます。私は(仕事の都合ではなく)いわゆる保活の都合で大いに悩んだ末、産休・育休あわせて半年での職場復帰を決めました。
 フルタイム勤務での復帰に当たっては、まだ0歳の子どもと過ごす時間もしっかり確保できるよう、「フレックス勤務」(※)と「育児時間」等の諸制度をフル活用し、実質的には週休3日制とするスタイルをとりました。
 さらに、週1日は「在宅勤務」とすることで、出勤を週3日に絞ることができ、体力面でとてもありがたかったです。
 上司、同僚の理解のもと、1つの案件を課の全員で担当するチーム制の職場だからこそできた働き方だと思います。

   (注)4週間単位で全体の勤務時間数を変えることなく、勤務時間帯を早め(遅らせ)たり、1日の勤務時間を短く(長く)させることができる制度。育児介護等の事情がある職員は、これに加え、週休日を土日に加え1日設けることができる。 なお、週休日の追加の制度については、行政職の国家公務員と同様に、令和7年4月1日以降、育児介護等の事情がない一般の職員にも適用が拡大される予定。

現在の業務内容や働き方は?

出産前と同じく、議員立法の立案等の業務に従事しており、現在は経済産業、環境、原子力分野を担当しています。
 職場復帰から2年以上を経て、「フレックス勤務」や「在宅勤務」の制度の利用は続けつつも、最適なワークライフバランスを模索する日々です。例えば、国会開会中の繁忙期には原則出勤し、特に業務が立て込んでいる日は家族と調整して残業も行う一方、閉会中は出勤日を減らしたりしています。
 異動前の部署(農林水産分野担当)では、農政の憲法といわれる食料・農業・農村基本法を4半世紀ぶりに改正する閣法に対して、4本の修正案を同時並行で立案しました。提出直前はてんやわんやでしたが、農業のあり方についての国会での議論を深め、熟議の上で多数決を行うという、議会制民主主義の本質的なプロセスを支える仕事ができたのではないかと思います。個人的にも、この期間は育児を家族に任せ、久しぶりに正面から思いきり立案に取り組むことができ、大変ながらも充実した時間でした。
 周囲の理解と協力あってのことですが、これからも、子育てと仕事の両立を図りながら、子どもと一緒に成長していきたいと思っています。

「留学経験で「引き出し」が増える!」       

衆議院法制局では、若手職員に対して国内外の大学院等への留学を通じ、高度で専門的な知識を身に付ける場を提供しています。留学経験のある職員に、留学制度や留学先での経験等について聞いてみました。

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どこに留学し、留学先でどのような経験をした?

私は、アメリカのロースクールに2年間留学しました。1年目はニューヨークにあるコロンビアロースクールの修士課程でアメリカの基本的な法律を幅広く学びました。2年目はロサンゼルスにあるUCLAロースクールの修士課程でアメリカの環境法と税法を専攻しました。
 アメリカのロースクールでは、憲法のゼミや環境立法のクリニックで現地学生と議論を交わす等して、米国法体系への理解を深めました。また、学生団体のボランティア活動や学生寮生活を通じて、法制度の背景にある文化や習慣を体験する機会を得ることができました。

希望すれば、誰でも留学に行くことができる?

衆議院法制局では、海外の大学院への留学制度が設けられており、毎年1名は留学に行っています。例年の採用人数が若干名であることを考えると、本人が希望すれば、留学の機会は大いに開かれているといえます。留学先としては、私が留学したアメリカのロースクールのほか、イギリスの大学院で政治学や公共政策を専攻する職員が多い印象があります。また、フランスの大学院に留学した職員もいました。

留学までに、語学研修などのサポートはある?

語学研修については、衆議院事務局のものに参加できます。具体的には、基礎レベルの研修から応用レベルの研修まで、個々人の語学レベルに応じた研修を受講できる制度が整っています。
 また、課長をはじめ同じ課の方々が留学準備を気にかけてくださったり、留学経験のある職員から勉強面や生活面について様々なアドバイスをいただいたりしました。

留学したことが、仕事に生きている?(生かしていきたい?)

留学経験は、今後の法制局での仕事に生きてくると考えています。
 議員からの立案依頼には、諸外国の法制度に着想を得たものも少なくありません。例えば、レジ袋の有料化等をきっかけに、プラスチックごみの問題が注目された際には、アメリカやEUの規制を調べてほしいとの依頼がありました。アメリカ留学によって、このような依頼に最善を尽くすための「引き出し」を増やすことができたのではないかと思います。

My career story T(中堅までのキャリア形成)   

衆議院法制局では、若手の頃から法律を作る仕事に関わる機会がたくさんあります。さらに、立案の経験を踏まえた海外との交流等、法律づくりから派生した多様な経験が待っています。ここでは、現在、法案の審査業務や海外接遇等を担当している職員に、これまでの経験や、仕事のやりがい等について聞いてみました。

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衆議院法制局を志望した理由は?

学生時代に法律を学び、法律の知識を生かせるような仕事がしたいと考えていた際に、衆議院法制局の存在を知りました。国民の代表である国会議員の立法活動をサポートし、社会問題の解決を図るという他ではできない仕事内容に関心を持つとともに、2・3年おきに経験する異動を通じて1府13省庁にまたがる幅広い分野に携わることができる点にも大きな魅力を感じました。

法制局はどのような職場?

入局前は、1日中六法とにらめっこをしながら作業をするイメージを抱いていましたが、入局すると、議員の先生方との打合せや国会審議のサポートをはじめとする「外に出る仕事」が多いことに気が付きました。議員の先生方とともに法律案の中身を練り上げていく過程や、法律案が実際に国会で審議される過程を自分の目で見ることができるところに、この仕事の面白さややりがいがあると思います。
 また、若手のうちから様々な仕事を任せてもらえる職場でもあり、1年目のうちから法律案の原案の作成に携わることができたことがとても印象に残っています。

これまでにどのような法律の立案に携わってきた?

私は、これまでに3つの課で法律案の立案に携わりました。
 一部ではありますが、主な案件として、1つ目の課では学校教育におけるICTの活用を推進するための「学校教育情報化推進法」の制定や東京オリンピックの開閉会式の日程に合わせて3つの祝日を移動させること等を内容とする「ラグビーW杯特措法・オリパラ特措法」の改正に、2つ目の課では新型コロナウイルス感染症への罹患等により外出自粛の対象となり、選挙に行くことができない方に投票機会を確保するための「コロナ患者特例郵便等投票法」の制定に、3つ目の課では国会議員に支給される旧文通費の日割支給を定めるための「歳費法」の改正に携わりました。
 異動を経験する度に全く異なる分野の法律案の立案に携わることができ、非常に勉強になると感じています。

特に印象に残っている業務は?

どの案件も印象に残っていますが、特に印象に残っているのは「日本語教育推進法」の制定に携わったことです。この法律は、日本に居住する外国人の方に対する日本語教育を推進するために、基本理念や日本語教育の推進に関する施策の基本となる事項を定める、いわゆる「理念法」だったのですが、この法律ができたことを踏まえ、政府によって、日本語教育機関の認定制度等を創設するための法律が作られました。議員立法が具体的な政府の施策につながった事例として、非常に印象に残っています。
 立案の参考として、実際に日本語教育を行っている学校に視察に行ったことも、思い出深いです。

若手職員から見た法制局の働きやすさは?

衆議院法制局は、人数が少ない職場である分、職員同士の距離が近く、困ったことや分からないことがあれば部署の垣根を越えて相談できるような環境が整っている、非常に働きやすい職場だと思います。また、国会の開会中は業務が忙しくなることもありますが、閉会中は比較的落ち着いているため、仕事帰りに習い事に通うことができ、プライベートと仕事の両立という面からも働きやすさを感じています。

仕事をする上で心掛けていることは?

当然のことではありますが、1つ1つの案件に誠実に取り組むことです。衆議院法制局は、与野党を問わず、全ての議員の先生方をサポートする組織であり、どの立場にも寄り添うことが求められます。同じ争点について複数の会派から依頼を受けることもあり、「この会派の立場ならどのように考えるか」を常に意識しながら立案することが求められます。どの会派の先生方からも信頼していただけるよう、全ての案件に全力で取り組むことが重要だと考えています。

My career story U(管理職までのキャリア形成)  

衆議院法制局では、法制局内で様々な分野の法律に携わりながら、また、海外留学経験や出向経験も積みながら、キャリアアップを図っていきます。ここでは、現在管理職にある職員に、これまでの経験や仕事のやりがい等について聞いてみました。

回答してくれた人

2000−2004 入局 内閣、安全保障、労働担当

衆議院法制局に入局後最初に配属されたのは、内閣・安全保障等を担当する第一部第一課でした。初めて配属された日、課では完成した条文案に間違いがないかを声に出して読みながら確認する「読み合わせ」と呼ばれる作業をしているところで、「意味が分からないと思うけれど聞いていてください」と言われ、翌日には部長審査と次長審査、翌々日には局長審査を受け、翌月には委員会の質疑を委員会室で間近に見、法案の成立に立ち会うこととなりました。大変なところに来てしまった、という思いもありましたが、先輩方がとても優しく丁寧に教えてくれたので、初めての経験の連続に不安を覚えることはありませんでした。
 その後、特殊法人の改革や人権教育の推進、祝日法の改正などについての立案を担当し、経験を積み始めていた2年目、9.11のテロが起こりました。政府から提出されたテロ対策特措法に対して与野党双方から修正協議に向けた相談がありましたが、採決の前日の深夜に与野党協議が決裂、与党と野党それぞれが修正案を提出することとなりました。徹夜の立案となって、仮眠中の局長に局長審査をお願いし、夜が明けていくのを局長室で見ながら、世界情勢の変化や国政上の重要課題に対応するために国の立法の最前線で仕事をしていることを実感しました。
 その翌年には厚生・労働・環境の担当に異動し、北朝鮮拉致被害者の帰国を受けて、拉致被害者支援法を立案することとなり、その思いを強くしました。

2005 国内留学

2005年には国内留学の機会が与えられ、政策研究大学院大学で知的財産や政策法務について1年間勉強しました。改めてしっかり勉強をする機会としても貴重でしたが、民間企業や全国の地方公共団体から派遣された同級生たちや、世界各国からの留学生たちとの交流も非常に楽しく、視野を広げることができました。

2006−2008 憲法・選挙等担当

日本国憲法の制定から60年の節目には、憲法改正国民投票法の立案に携わることになりました。
 その過程では、改憲に賛成の政党から反対の政党まで、全ての会派が参加して論点整理が重ねられました。それを踏まえて、与党と民主党がそれぞれ法律案を立案して提出し、さらにその法律案についてテーマ別の小委員会を設けるなど充実した委員会審査が行われました。国会での議論の結果、与党と民主党が歩み寄り、それぞれ修正案要綱を発表し、さらに協議が続けられました。最終的には与党と民主党が一致することはなく、与党の併合修正案と民主党の修正案がそれぞれ提出され、与党の併合修正案が可決されることとなったのですが、議員間で真摯に議論を深め、一致できる点とどうしても一致できない点を見出していく1年以上に及ぶ協議を支えつつ、与党案、民主党案、それぞれから提出された修正案の全てを立案することができ、憲法ゼミ出身の私にとって、最も忘れられない立案となりました。

2009 英国留学

衆議院法制局では海外留学を希望する人に積極的に留学を勧めており、入局10年目にイギリスに留学する機会を得ることができました。国際海洋法や武力紛争法、EU法、イギリス憲法など、それまでの人生で最も勉強をした1年間となりました。安全保障を担当していたときから気になっていた海洋法や武力紛争法についての国際ルールを学ぶことができたこと、日本とは全く異なるEUという個々の主権国家を超えた枠組みがどのように動いているのかを知ることができたこと、単一の成文憲法典がないイギリスにおける憲法の仕組みを改めて研究することができたことなど、得るものが非常に大きく充実した留学生活でした。

2011―2012 育休取得後、法制主幹付に

留学から帰国後、二度目の第一部第一課を経て、第一子を出産。子が1歳になるまで育児休業を取得しました。
 育児休業からの復帰後は、法制主幹付となり、局内研修や海外からの研修生の受入れ、法制執務の検討などを担当しました。このとき企画した局内研修は、新人や地方公共団体からの研修員などを対象にした法制執務についての本格的かつ体系的な局内研修として今に続いています。また、海外の様々な国から研修生を受け入れ、日本における立法過程や議員立法の現状、法制度設計の方法、国民に選ばれた議員とそれを補佐する議院法制局のそれぞれの役割と協働の在り方などを伝える経験は、それまでの法制局での経験を振り返り、改めて自らの仕事のあるべき姿について考えるよい機会となりました。

2013 2回目の育休取得

第一子と2歳違いで第二子を出産し、2回目の育児休業を取得しました。生まれたばかりの子の世話だけではなく、言葉を話し始めた上の子ともしっかり向き合って、家族との時間を過ごすことができました。

2015 法務担当

2回目の育児休業から復帰して、第二部第一課で法務の担当となりました。入局から15年を経たこの頃には、課長を補佐して議員との打合せや会議に同行するほか、法律案・修正案の立案の中核となり、関係省庁との調整なども行っていました。
 当時、内閣から刑事訴訟法等改正案(取調べの録音・録画、合意制度、通信傍受の拡大等)が提出され、その与野党修正協議に課長とともに立ち会うこととなりました。法務省も加わって連日修正協議が行われ、最後には与野党の議員のみで、採決前日の夜までぎりぎりの交渉が続きました。修正協議が決裂した場合に備えた野党案も用意していたのですが、最後には与野党で何とか合意に至りました。ほっとしましたが、すぐに翌朝の審議に向けた修正案の立案や局内審査、委員会での質疑対応に追われることになりました。
 また、再犯防止推進法の立案に携わることができたこともよい思い出です。

2016−2017 憲法審査会事務局に出向

憲法改正国民投票法の立案から10年後。同法によって国会に設置された憲法審査会の運営・調査等を担う衆議院憲法審査会事務局に出向することになり、憲法に関する調査を担当しました。
 憲法審査会事務局では、憲法審査会における議論を深めるため、事前に審査会で議論されるテーマに関する調査資料を作成し、審査会メンバーに配付しています。調査資料を作成するときは、議員の問題意識を踏まえつつ、最新の学説や判例、海外における動向を調べ、議員に分かりやすく伝えるにはどうすればよいかを考えます。このほか、審査会で行われた議論を要約して周知したり、海外の憲法事情の調査報告書をまとめたり、各政党における議論を補佐するために資料を作成して政党の会議に出席したりしていました。
 国会の憲法論議を支える調査は、机の上での勉強と違い、責任重大ですが、作成した資料を基に議員間で議論が深められていくのをその場で見ることができる喜びもありました。

2018− 農林水産、労働、総務担当

2年間の事務局への出向の後、管理職として法制局に戻りました。その後これまでに、貨物自動車運送事業法改正、食品ロス削減推進法、棚田地域振興法、家畜伝染病予防法改正、養豚農業振興法改正、防災重点農業用ため池防災工事等推進特措法、労働者協同組合法改正、石綿健康被害救済法改正、各種給付金の差押禁止法などの立案を担当し、これらはいずれも全会一致で成立しました。
 家畜伝染病予防法改正は、諸外国で拡大を続けるアフリカ豚熱が日本でも発生した場合に備えて、政府提出の法案が成立し施行されるまでの緊急の措置として、予防的殺処分を可能にするものでしたが、一刻も早く法制度を準備しなければ間に合わないという議員の緊迫した思いを受け、年末年始返上で立案に当たりました。
 議員との打合せなどで中心となって動くのは課長級の管理職です。議員との信頼関係を築きながら、打合せを重ねて法律案の内容を固めていく作業は、知的な冒険です。苦しい面もありますが、やりがいがあり、楽しく充実した毎日です。また、管理職として、課員が健康に楽しく働けるように課内をマネジメントすることも課長の役割です。課員の皆さんがどのように成長していきたいかを一緒に考え、その成長を間近に見ることができることも、日々の喜びです。

これまでのキャリアを振り返って

2000年の入局以来、このほかにも、環境教育推進法、労働基準法修正、障害者基本法改正、公職選挙法改正、政治資金規正法改正、薬害C型肝炎被害者救済法など、様々な分野の立案に携わり、海外留学や出向など、法制局の外でも経験を積んできました。
 衆議院法制局では、入局直後から課の議論や立案作業に加わることになります。課での議論は、入局年次とは関係なく、それぞれの意見をぶつけ合い、よりよい法制度とするにはどうしたらよいのかを考えます。世の中の変化に対応するために立法する際には、学説や過去の判例を調べても答えが見つかることはほとんどなく、既存の法制度を参考にしつつ、議員とのやりとりを踏まえ、議論を繰り返して新しい仕組みを考えていく必要があるのです。法制局で、あるいは法制局の外で、多様な経験を積みながら成長し、磨いた能力と知識の全てが、次の仕事に生きていきます。

(注)職員の所属は、執筆当時(令和6年12月)のものです。