本案は、大学等の教育研究活動等の充実を図るため、大学の学部等の設置について一定の事項を行うときは認可を受けることを要しないもの等とするとともに、大学等に対する勧告等の制度及び大学等の認証評価制度を設け、あわせて、専門職大学院制度を設ける等のため、所要の改正を行うもので、その主な内容は次のとおりである。
一 公立又は私立の大学等に係る認可事項の見直し
公立又は私立の大学及び高等専門学校並びに放送大学学園の設置する大学(以下「公立又は私立の大学等」という。)を設置する者は、当該大学が授与する学位の種類及び分野の変更を伴わない学部の設置等を行う場合には、認可を要しないこととし、あらかじめ、文部科学大臣に届け出ることとすること。
二 法令違反状態の大学等の改善
文部科学大臣は、公立又は私立の大学等が、設備、授業等について法令の規定に違反していると認めるときは、当該学校に対し、必要な措置をとるべきことを勧告することができることとし、勧告によってもなお状況が改善されない場合には、その変更を命じ、なお改善されない場合には、勧告に係る組織の廃止を命ずることができることとすること。
三 専門職大学院制度の創設
大学院の目的として、高度専門職業人の養成を明確にするとともに、大学院のうち、高度専門職業人の養成を目的とするものは、専門職大学院とし、その課程を修了した者に対し、文部科学大臣の定める学位を授与するものとすること。
四 認証評価制度の創設
大学は、当該大学の教育研究等の状況について自ら点検及び評価を行い、その結果を公表するとともに、定期的に、文部科学大臣の認証を受けた者(以下「認証評価機関」という。)による評価(以下「認証評価」という。)を受けるものとするとともに、専門職大学院を置く大学は、当該専門職大学院の教育研究の状況について、定期的に、認証評価を受けるものとすること。
五 審議会等への諮問
文部科学大臣は、法令の規定に違反していると認められる公立又は私立の大学等に対し命令等を行うとき、又は認証評価機関の認証等を行うときは、審議会等に諮問しなければならないこととすること。
六 この法律は、平成15年4月1日から施行すること。ただし、認証評価に係る改正規定は、平成16年4月1日から施行すること。
政府及び関係者は、本法施行に当たり、次の事項について配慮すべきである。
一 今後、大学の教育研究の質的向上については、大学関係者の自主的・自律的な取組みが一層求められることにかんがみ、大学関係者に対し、本法の趣旨・制度の内容等について十分周知し、その理解と自主的な努力を促していくこと。また、大学・大学院の教育研究機能の改善・充実に一層努めること。
二 大学の法令違反状態が生じないよう努めるとともに、大学における違法状態の是正措置を講じるに当たっては、その基準を明確にし、公正性、妥当性及び透明性の確保に努めること。
三 第3者評価の実施に当たっては、大学の個性・理念を損なうことのないよう、公正、妥当かつ透明性のある評価を確保するとともに、すべての大学が適正に評価を受けることができるよう、認証評価機関の整備充実に配慮すること。また、評価が与える社会的影響を認識しつつ、評価の在り方についても必要に応じ見直しを行うこと。
四 専門職大学院については、社会の変化に対応して求められる多様な分野における高度で専門的な知識と能力を有する人材が育成されるよう十分配慮すること。その設置・運営に当たっては、大学の自主性・自律性が確保されるよう努めること。また、多くの者がその機会を得られるよう、奨学金等の支援制度の充実に努めること。
要旨は、第153回国会参照。
本案は、地方公共団体に対して、その設置する小中学校等の校舎等に係る耐震診断の実施及びその結果等の公表を義務づけるとともに、当該校舎等の改築又は補強の速やかな実施及びこれに要する経費に対する国の負担又は補助の割合の特例等について定めることにより、当該校舎等に関する地震防災上必要な整備の促進を図ることを目的とするもので、その主な内容は次のとおりである。
一 地方公共団体は、その設置する小中学校等の校舎等で、現行の耐震設計基準(昭和56年制定)の施行前に建築されたものについて、耐震診断の実施及びその結果等の公表をしなければならないこととすること。
二 地方公共団体は、その設置する小中学校等の校舎等のうち、耐震診断の結果に基づき地震防災上改築又は補強を要する校舎等であると認められるもの(以下「要整備校舎等」という。)について、速やかにその改築又は補強を実施するよう努めなければならないこととすること。
三 国は耐震診断の実施に要する経費について、その全部を補助するものとすること。
四 地方公共団体が実施する要整備校舎等の改築又は補強に要する経費に対する国の負担又は補助の割合は、当該改築又は補強に関する法令の規定にかかわらず、次のとおりとする。
1 改築に要する経費 2分の1
2 補強に要する経費 2分の1(政令で定める基準に該当する地方公共団体が実施するものにあっては、3分の2)
3 補強のうち、小中学校等の木造以外の校舎の補強に要する経費 3分の2
五 地方公共団体が要整備校舎等の改築又は補強に要する経費に充てるため起こす地方債については、法令の範囲内において、資金事情及び当該地方公共団体の財政状況が許す限り、特別の配慮をするものとすること。
六 国及び地方公共団体は、この法律の趣旨を参酌し、私立の小中学校等の校舎等について、地震に対する安全性の向上が図られるよう配慮するものとすること。
七 この法律は、平成15年4月1日から施行し、平成20年3月31日限り、その効力を失うこと。
八 その他必要な措置等を定めること。