本案は、我が国における伝染性海綿状脳症の発生が、国民に牛肉の安全性に対する不信感を生じさせ、牛の生産者や牛肉に関係する事業者に深刻な被害をもたらしている状況にかんがみ、安全な牛肉を安定的に供給する体制を確立するための緊急措置を定めるものであり、その主な内容は次のとおりである。
一 目的
この法律は、安全な牛肉を安定的に供給する体制を確立するため、伝染性海綿状脳症の予防、国の助成等に関する緊急措置を定め、もって国民の健康の保護並びに肉用牛生産及び酪農、牛肉に係る製造、加工、流通及び販売の事業、飲食店営業等の健全な発展を図ることを目的とすること。
二 感染牛等の買入れ及び焼却
1 国は、感染牛(伝染性海綿状脳症にかかっている牛)及び特定牛(感染牛である疑いがあるものとして政令で定める要件に該当する牛等)を買い入れ、焼却するものとすること。なお、それぞれの買入価格は、感染牛又は特定牛でない牛の価格を基準として定めるものとすること。
2 国は、牛肉骨粉等(牛の部位を乾燥させて粉末にしたもの等)及び平成13年10月18日前に国内において解体されたことが確認された牛の牛肉を買い入れ、焼却するものとすること。なお、それぞれの買入価格は、国内において感染牛の発生が確認される前の価格を基準として定めるものとすること。
三 特飼牛の買入れ
国は、特飼牛(搾乳・繁殖の用に供されなくなった牛)の所有者からその買入れを求められたときは、これを買い入れ、収容、と殺その他の必要な措置を講ずるものとすること。なお、買入価格は、国内において感染牛の発生が確認される前の特飼牛の価格を基準として定めるものとすること。
四 伝染性海綿状脳症に関する牛の検査
国は、伝染性海綿状脳症に関する牛の死亡時等の牛の検査が確実に実施されるよう必要な措置を講ずるものとすること。
五 経営安定のための助成
国は、平成13年度及び14年度において、国内において感染牛の発生が確認されたことにより経営が不安定になっている牛の生産者、牛肉に係る製造、加工、流通又は販売の事業を行う者、飲食店営業者等であって政令で定めるものに対し、その経営の安定を図るために必要な助成を行うものとすること。
六 施行期日等
この法律は、公布の日から起算して20日を経過した日から施行するものとし、平成19年3月31日限り、その効力を失うものとすること。
本案の改正点は、次のとおりである。
一 国会による行政の監視及び立法に関する機能の充実強化に資するため、各議院の委員会において委員の4分の1以上から要請があった場合には、委員会は、原則として、内閣又は官公署に対する報告及び記録の提出要求を行うものとするよう規定を整備すること。
二 この法律は、第155回国会の召集の日から施行すること。
本案は、東南海・南海地震が発生した場合において国民の生命、身体及び財産に重大な被害を及ぼすおそれがあることにかんがみ、東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進を図るための対策に関し、特別の措置を講じようとするものであり、その主な内容は次のとおりである。
一 内閣総理大臣は、中央防災会議に諮問し、東南海・南海地震が発生した場合に著しい地震災害が生ずるおそれがあるため、地震防災対策を推進する必要がある地域を、東南海・南海地震防災対策推進地域(以下「推進地域」という。)として指定するものとすること。
二 中央防災会議は、推進地域の指定があったときは、東南海・南海地震防災対策推進基本計画を作成し、及びその実施を推進しなければならないものとすること。
三 推進地域の指定があったときは、指定行政機関の長、指定公共機関等は防災業務計画において、地方防災会議等は地域防災計画において、避難地、避難路及び消防用施設等の整備に関する事項並びに津波からの防護及び円滑な避難の確保に関する事項等を定めなければならないものとすること。
四 推進地域内の病院、劇場及び百貨店等その他不特定かつ多数の者が出入りする施設等を管理し、又は運営する者は、あらかじめ、当該施設又は事業ごとに、津波からの円滑な避難の確保に関する事項等を定めた対策計画を作成し、都府県知事に届け出なければならないものとすること。
五 国は、東南海・南海地震に関する観測及び測量のための施設等の整備に努めなければならないものとすること。
六 国及び地方公共団体は、推進地域において、避難地、避難路、消防用施設その他東南海・南海地震に関し地震防災上緊急に整備すべき施設等の整備等に努めなければならないものとすること。
七 国は、東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進のため必要な財政上及び金融上の配慮をするものとすること。
八 この法律は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること。
本案は、国民主導の国政の実現に資するため、政治主導の政策決定の在り方に関する基本理念を定めるとともに、行政機関の職員の国会議員等への接触の制限、国会の立法機能及び行政監視機能の強化その他の措置を講ずるものであり、その主な内容は次のとおりである。
一 目的
この法律は、国政が国民の厳粛な信託によるものであって、国政における意思決定が全国民の代表である国会議員により責任をもってなされるべきものであることにかんがみ、政治主導の政策決定の在り方に関する基本理念を定めるとともに、行政機関の職員の国会議員等への接触の制限、国会の立法機能及び行政監視機能の強化その他の措置を講ずることにより、国民主導の国政の実現に資することを目的とすること。
二 定義
1 この法律において「国会議員等」とは、次に掲げる者をいうこと。
(一) 国会議員
(二) 公設秘書その他国会議員に使用される者で当該国会議員の政治活動を補佐するもの
(三) 政党の役員及び職員
2 この法律において「行政機関の職員」とは、一般職の国家公務員及び防衛庁の職員をいうこと。
三 基本理念
1 政府における政策に関する企画、立案及び決定は、原則として、内閣総理大臣その他の国務大臣、副大臣(副長官を含む。)、大臣政務官(長官政務官を含む。)及び国会議員から任命された内閣官房副長官(以下「国務大臣等」という。)が行い、行政機関の職員は、必要な情報の提供等によってこれを補佐するものとすること。
2 政府からの国会議員等に対する情報の提供等は、原則として、国務大臣等が行い、行政機関の職員は、国会における国政の審議に係る国会議員等の活動に関与してはならないものとすること。
四 行政機関の職員の国会議員等への接触の制限
1 行政機関の職員は、他の法令に別段の定めがある場合を除き、国会議員等と面会し、政党における会議その他国会議員等が出席する会議に出席し、その他国会議員等に接触する行為をしてはならないこと。
2 行政機関の職員が1に違反したと認めるときは、当該職員の任命権者は、国家公務員法又は自衛隊法に基づく懲戒処分を行うものとすること。
五 国会議員等からの行政機関に対する照会等
1 国会議員等からの行政機関に対する照会又は意見の申出は、当該行政機関の国務大臣等に対し、書面をもって行われなければならないものとすること。
2 1の照会又は意見の申出に対する回答は、当該国務大臣等から書面をもって行われなければならないものとすること。
六 大臣政務官の増員等
1 別に法律で定めるところにより、各行政機関に置かれる大臣政務官を増員し、それぞれ10人程度とするものとすること。
2 大臣政務官は、大臣政務官の給与を受けず、国会議員として受ける待遇以外の待遇を受けないものとすること。
七 地方公共団体の施策
地方公共団体は、四から六までに基づく国の施策に準じて、一般職の地方公務員の当該地方公共団体の議会の議員等との接触の制限に係る施策を講ずるものとすること。
八 国会立法調査院の設置等
1 国会の立法機能及び行政監視機能の強化に資するため、衆議院調査局、衆議院法制局、参議院の調査室、参議院法制局及び国立国会図書館調査及び立法考査局を統合し、国会立法調査院とするものとすること。
2 国会立法調査院は、国会に置くものとし、立法に関する企画及び立案、行政監視その他の国政に関する調査等について、各議院及びその委員会並びに国会議員を補佐する機能を担うものとすること。
3 国会立法調査院の長は、両議院の議長の監督の下に、国会立法調査院の事務を統理するものとし、その管理及び運営については、両議院の議院運営委員会が審査するものとすること。
4 国会立法調査院は、官公署に対し資料の提出、意見の開陳、説明その他の必要な協力を求めることができるものとし、官公署は、その求めに応じるよう努めなければならないものとすること。この場合において、官公署が求めに応じないときは、国会立法調査院は、その旨を当該官公署に関する事項を所管する両議院の委員会に報告するものとすること。
5 我が国及び外国の立法、議会制度その他の諸制度等に関する基礎的かつ総合的な調査研究等を行わせるため、国会立法調査院に、総合立法研究所を置くものとすること。
九 少数会派による会計検査の要請等
1 会計検査院に対する会計検査の要請
各議院の委員会は、その委員の4分の1以上から、会計検査院に対して国会法第105条の規定により会計検査及びその結果の報告を求めるよう要請があったときは、その要請の日から3日を経過した日に、同条の規定により会計検査及びその結果の報告を求めるものとすること。ただし、その要請の日から3日以内に、委員会において同条の規定による会計検査及びその結果の報告を求めないものと議決したときは、この限りでないこと。
2 官公署等に対する報告又は記録の提出の要求に係る措置
別に法律で定めるところにより、国会法第104条第1項の規定による委員会からの内閣又は官公署に対する報告又は記録の提出の要求について、1に定める措置と同様の措置を講ずるものとすること。
十 附則
この法律は、公布の日から施行すること。ただし、四から七まで(六を除く。)は六の1に規定する法律の施行の日から、九の1は第155回国会の召集の日から施行すること。
本案の改正点は、次のとおりである。
一 内閣法制局設置法は、廃止すること。
二 その他関係法律の整備を行うこと。
三 この法律は、平成15年4月1日から施行すること。
本案は、金融市場における公正かつ自由な競争の必要性並びに国民生活における郵便の役務の重要性及び住民に身近な拠点としての郵便局の地域社会における役割にかんがみ、郵便貯金事業及び簡易生命保険事業の民営化並びに郵便の役務の日本全国における公平な提供の確保及び郵便局の経営の弾力化を内容とする郵政事業の改革の基本方針等について定めることにより、我が国の市場経済の健全な発展及び住民の利便の維持増進を図ろうとするもので、その主な内容は次のとおりである。
一 国の責務
国は、この法律に定める基本方針に従い必要な施策を総合的かつ計画的に実施し、郵政事業(総務省設置法第4条第79号に規定する郵政事業をいう。以下同じ。)の改革を確実かつ円滑に遂行しなければならないこと。
二 郵政事業の改革の基本方針
1 国は、郵便貯金事業(郵便為替事業及び郵便振替事業を含む。以下同じ。)及び簡易生命保険事業について、平成27年3月31日までに、それぞれの事業の経営を適正な規模に分割するとともに、その経営組織を株式会社とし、当該株式会社をこれらと同種の事業を営む者と同一の規制に服させるものとすること。
2 国は、郵便貯金事業及び簡易生命保険事業の改革を実行するに当たっては、当該改革後の郵便貯金事業及び簡易生命保険事業の経営の健全性の確保並びに当該改革が他の金融機関の経営、郵便貯金の預金者、簡易生命保険の保険契約者及び郵政事業に従事する職員の雇用に与える影響について十分に配慮するものとすること。
3 国は、郵便事業については、1の株式会社の設立の日後において、国民生活に不可欠な郵便の役務があまねく日本全国において公平に提供されることを確保しつつ、地域住民の利便の増進に資する業務を郵便事業の経営に支障のない範囲内で行うことができるものとすることその他郵便局の経営の弾力化のために必要な措置を講ずるものとすること。
三 施行期日
この法律は、公布の日から施行すること。
本案は、税務行政における国民の権利利益の保護に資するため、税務行政の運営について、基本理念を明らかにし、及び基本方針を策定することとするとともに、国税に関する法律の規定による質問又は検査の事前通知制度を定める等の措置を講じようとするものであり、その主な内容は次のとおりである。
一 目的の改正
国税通則法の目的を、国税についての基本的な事項及び共通的な事項を定め、税法の体系的な構成を整備し、かつ、国税に関する法律関係を明確にするとともに、税務行政の運営における公正の確保と透明性の向上を図り、もって国民の納税義務の適正かつ円滑な履行及び国民の権利利益の保護に資することとする。
二 税務行政運営の基本理念
1 税務行政の運営は、国民の納税義務の適正かつ円滑な履行が確保されるよう、公正を旨として行われなければならないこととする。
2 国税当局は、税務行政に関する国民の理解を得るため、必要な情報の提供を行うとともに、税務行政に関する国民の意見、苦情等に誠実に対処しなければならないこととする。
3 国税当局は、その職務の執行に当たっては、国民のプライバシーを尊重しなければならないこととするとともに、国民の権利利益の保護に常に配慮し、国民が納税に関して行った手続は、誠実に行われたものとして、これを尊重することを旨としなければならないこととする。
三 税務行政運営の基本方針
国税庁長官は、税務行政運営の基本理念にのっとり、税務行政の運営の基本となる方針を定め、これを公表しなければならないこととする。
四 質問又は検査の事前通知
国税に関する法律の規定による質問又は検査をしようとする場合には、その14日前までに、その相手方に対し、調査を必要とする主たる理由、質問事項又は検査物件、質問又は検査の日時及び場所等を書面により通知しなければならないこととする。ただし、検査物件の隠滅等調査目的の達成が著しく困難になると認めるに足りる相当な理由がある場合は、この限りでないこととする。
五 施行期日
この法律は、公布の日から起算して3月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとする。
要旨は、総務委員会第155回国会参照。