平成24年8月2日(木)(第8回)

◎会議に付した案件

1.幹事の辞任及び補欠選任

選任 木村たけつか君(生活)  会派割当基準の変更に伴い選任

補欠選任 大口善徳君(公明)  赤松正雄君(公明)幹事辞任につきその補欠

2.日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する件(日本国憲法の各条章のうち、第四章の論点)

衆議院法制局当局から説明を聴取した後、自由討議を行った。

◎自由討議

●各会派の代表者からの意見表明の概要

鷲尾 英一郎君(民主)

  • 2005年の我が党の「憲法提言」は、統治機構全般についての基本的方向性として、首相主導の政府運営の確立と、国会の行政監視機能の拡充強化を掲げている。
  • 震災復興、原発事故対応等内外の課題が山積する中、我が国の議会政治がねじれ国会を克服できず、機能不全に陥りがちなのは国民にとって不幸なことである。ねじれゆえに物事が決まりにくい状況、総理が一年ごとに交代する状況が、憲法上、どのような問題に起因しているのか、当審査会で検証を進めるべきである。
  • 民主党は、二院制を維持しつつ、予算は衆議院、決算と行政監視は参議院といった両院の役割分担を明確にするという基本的立場に立っている。ただし、最近は党内でも一院制に関する議論が活発化している。
  • 選挙制度については、政治家や政党の利害関係に左右されないよう、その基本的枠組みについて憲法に規定を設けることを提言している。その上で、迅速に決断する政治状況を作り出しやすい選挙制度を検討すべきである。
  • 国会による行政監視機能強化の具体策として、国政調査権を少数でも行使可能とし、議会によるチェック機能を強化することを提言している。
  • 政党については、議会制民主主義を支える重要な役割に鑑み、憲法上に位置付けることを踏まえながら、必要な法整備を図るとしている。特に、政権与党としての意思決定の在り方について憲法論の観点からも検討されるべきである。

柴山 昌彦君(自民)

  • 一院制の問題は党内でも大きな議論があり、一院制を採用すべきとの意見も多く出されたが、選挙制度を含めた詳細な制度設計を踏まえた議論が必要である、参議院による慎重審議の効用を重く見るべきであるとの意見もあった。我が党の憲法改正草案では二院制を維持するとしつつも、今後、二院制の在り方について様々な課題を検討する中で、一院制についても検討することとしている。
  • ねじれ国会下で法案審議が停滞しているとの認識を背景に、衆議院での法律案の再議決要件を「過半数」に引き下げるべきとの意見もあった。一方、参議院の存在の否定につながるとの意見もあり、憲法改正草案では現状を維持することとしたが、一院制の議論と並んで主要なテーマとなるものと考える。
  • 一票の格差の是正は喫緊の課題だが、選挙制度は人口を基本としつつも、行政区画、地勢等の要素も総合的に勘案して定められるものであり、憲法改正草案では、この点を明らかにする規定を加えている。
  • 憲法改正草案では、会期制自体は維持しながらも、国会の活動期間確保のため、通常国会の会期を法律で定めることとし、臨時国会の開会要求があった場合の召集期日を「要求から 20日以内」と定めた。また、本会議の定足数については、議事ではなく、議決時の要件とした。国務大臣の国会出席義務についても要件を緩和した。
  • 政党については、その現代政治における重要性に鑑み、憲法改正草案で新たに憲法上規定を置くとともに、結社の自由との関係をも踏まえ、「政党の政治活動の自由は、保障する」とした。

木村 たけつか君(生活)

  • 議院内閣制をとる我が国では、議員立法の活性化とともに、内閣提出法案をいかに実質的に審議し、修正していくかが本質的課題であり、法案の提出権を国会議員に限定するよりは、内閣提出法案を含めて、国会で法案審議を尽くすための仕組みを構築する必要がある。党議拘束は、国会議員の立法活動を過度に制約するもので適当でない。
  • 我が党は、二院制を前提として議論しており、衆参ともに国民代表であるという現行憲法の基本は維持すべきと考える。ただし、衆参における国民代表の意味や解釈は異なることを踏まえて、衆参の機能分担を明確にすべきである。参議院は衆議院送付案を否決せずに修正する、再考を求める等の慣行の形成や、決算行政監視機能など、参議院に求められる機能の強化をするべきである。
  • 問責決議については、職務行為の適正化への再考といった象徴的意味合いとしての運用を慣行化すべきである。両院協議会については、立法措置や運用の改善により、成案を得やすい仕組みとすべきである。
  • 国会議員の選出方法については、参議院について衆議院と異なる方法を検討すべきである。憲法改正が理想だが、現実的な観点からは立法措置により実現することもあり得る。
  • 通年国会は採用すべきである。憲法を改正して、議員の任期を通じて一つの「議会期」とするのが最善だが、現行憲法の枠内でも会期を長期化することで実質的に通年国会化を実現できる。また、採決時以外の定足数要件を緩和し、本会議・委員会開催の多頻度化を図るべきである。
  • 国政調査権については、行政監視に果たす野党の役割の重要性を踏まえ、少数会派にも行使しやすくする措置が必要である。閣僚の議院出席の義務については、憲法改正により緩和すべきである。
  • 政党については、政権交代により、多様な政党が内閣を形成し、国政を担う時代であるため、公党にふさわしい運営を行うことが必要である。特に、党首を含む党内機関の役割・権限・選定方法及び党内の意思決定手続の明確化は最低限の条件であり、そのため政党法の制定が必要と考える。

大口 善徳君(公明)

  • 現行憲法で二院制を採用している趣旨、すなわち@議会の行動を慎重にして抑制と均衡の機能を果たす、A先議院の審議を補完し再考を促すという観点は依然重要であり、二院制を堅持すべきである。
  • 両院の組織、構成や選挙制度の在り方については、衆参で任期・定数や選出方法、選挙制度を異ならせ、なるべく類似性を排除した形にすべきである。特に、衆議院の選挙制度については、民意の集約のみならず、多様な民意を国政に反映していくことが重要である。また、一票の格差については、投票価値の平等に関わるものであり、現行の衆議院の選挙制度では民意の反映が不十分との指摘も踏まえ、早急に是正を図るべきである。
  • 両院の役割分担について、衆議院は予算審査、参議院は決算審査に重点を置くなどの考え方もあるが、現状でも参議院を中心とする決算審査充実のための取組等が行われている。
  • 法律案の再議決要件が厳しすぎるという意見もあるが、二院制における参議院の役割を念頭に置きながら、慎重に検討すべきである。また、一般の法律案とは別に、歳入法案に限って予算と同様の衆議院の優越規定を設けるべきとの主張もあるが、審議の在り方の改善で対処できないかを含め幅広く議論すべきである。
  • ねじれ国会については、国会審議の停滞、決められない政治といった問題が指摘されているが、与野党合意で法案が修正されて成立する例が多くなっている。国会審議の実質化・活性化を通して、多様な民意を踏まえて議論し、国民のための合意形成を優先させていくという、国会本来の機能を発揮させていくことが重要である。
  • 通年国会を採用すべきとの意見もあるが、憲法改正でなくとも、運用や立法措置により実質的に対処可能である。
  • 閣僚の国会への出席義務については、与野党の良識の下で重要な国際会議への出席を認めるなど、必要に応じて運用上の改善を図ればよく、憲法改正までは必要ない。
  • 政党は、公的存在であると同時に、憲法21条の結社の自由に基づく任意結社であるという性質を持ち、その結成の自由、内部規律の自由等が保障されている。加えて、政党助成法や政党法人格付与法などにおいて、現在でも必要な規律を行う法令は整備されており、政党について憲法に明記する必要性は感じられない。

笠井 亮君(共産)

  • 憲法第 4章は、国民主権原理の下で代表民主制を採用し、議会制民主主義を実現するために、国会の地位等を明らかにした重要な条章であり、これに照らして現実の国会がどうなっているか検証する必要がある。すなわち、国会の役割である立法機能、行政監視機能、国政調査権等が実際に発揮されているかという問題である。
  • 立法機能で大事なことは、法案が国会で徹底審議を尽くされることである。昨今の消費税増税・社会保障一体改革法案は、多くの国民が反対し、また、徹底審議がされないまま、衆議院で採決が強行された。しかも国民に内容が知らされないまま、 3党が密室で合意したことを国会に押しつける形で採決されたもので、国会の立法機能を否定するものである。
  • 行政監視機能は、今こそ発揮するべきである。昨年の福島第一原発事故により国会に独立の事故調査委員会が設置され、報告書が提出された。報告書の提言では原発の規制当局に対する国会の監視を挙げている。その中で原子力に関する常設委員会の設置も提言している。これを正面から受けとめ、検討するべきである。
  • 国政調査権については、日米安保条約に関わる問題にこそ行使されるべきである。 3年前に明らかになった日米間での核密約の全容や今日のオスプレイの配備問題に関わる日米間の取り決めなど明らかにしていくべきである。
  • 決められない政治と言われているが、ねじれ国会が原因ではなく、民意に背く政治が行われていることが問題である。それが行われるのは、小選挙区制によって国会、内閣が虚構の多数で形成されているからである。現行憲法を踏まえ、多様な民意を正確公正に反映できるような選挙制度を構築すべきである。
  • 政党の財源は自助努力によって賄うのが基本である。政党助成金制度により税金に過度に依存した国営政党が生み出されており、この制度は廃止すべきである。

照屋 寛徳君(社民)

  • 二院制を廃止することには明確に反対であり、現行憲法の二院制は堅持すべきである。昨今、国会の意思決定の迅速化等の観点から二院制見直しの議論があるが、それらが二院制廃止の理由にはならない。参議院は、内閣、衆議院に対するチェックアンドバランスを発揮し、異なる制度、異なる時期の選挙によって行政への抑止の役割をより重く担う存在であり、良識の府にふさわしい参議院の機能の発揮が必要である。また、参議院の問責決議案を法的効力を理由に否定することは憲法の理念に反すると考える。
  • 憲法に政党に関する規定を定めるべき、また、政党法を作るべきとの意見があるが、これらは、憲法 21条の結社の自由を侵害するものであり、反対である。現行憲法で政党に関する規定を置かなかったのは、戦前の翼賛政党化の反省を踏まえてのものであり、戦争に道を開く体制作りに歯止めをかけることが求められている。
  • 会期不継続の原則の廃止、通年国会の採用、国務大臣の国会出席義務の緩和のための明文改憲にも反対である。特に国務大臣の国会出席義務の緩和を規定することは、国会を内閣の賛同、追認機関に変えようとするもので、国務大臣の国会出席義務を実質的に免除するものであり、反対である。

柿澤 未途君(みんな)

  • 我が党は 2009年の総選挙前の政権公約で、衆参対等統合による一院制国会の実現を打ち出している。権限がほぼ対等の衆参両院が並立し、ねじれ国会が常態化する中、国会の機能不全は著しい。また、国政選挙が毎年のように行われる結果、安定した政権運営が難しい。時代の変化に即応した法改正を速やかに行うことが困難な現状を打破し、民意に基づく国政の前進を図るためには、一院制を目指すべきである。
  • また、我が党は首相公選制の導入も掲げている。行政府の長を国民が直接選び正統性を与える制度にすることで、立法府と行政府が共に国民の直接の民意に立脚した機関として、相互に均衡と抑制を働かせながら国政を担っていく姿を目指してのものである。
  • 国会の会期は通年であるべきである。法案の中身よりも審議スケジュールを重視した国会運営との印象を持つのは、国会を会期で区切り、会期不継続の原則があるからで、憲法及び国会法を含めた総合的な見直しをすべきである。
  • 閣僚の議院出席義務については、首相や外務大臣は国の対外的代表の機能を果たしていることからも、国会の機能を損なわない限りにおいて見直すべきである。
  • 選挙制度については、法の下の平等に照らし、一票の価値を可能な限り等価とすべきである。地域間格差も法の下の平等に含め、一人一票に基づかない定数配分も許されるという主張もあるが、そのような住所による差別は認められるべきではない。そのような状況が改善されないならば、憲法に一人一票の原則を明記することも必要である。
  • 政党については、国会議員 5人以上という数字のみをもって政党の成立要件とすることが異様であり、数合わせによる政党が成立し、民主主義の観点から不健全な状況を生み出している。少なくとも政党法を制定して、政党要件、権能等を規定すべきである。
  • 現在、一院制を実現する憲法改正原案が、国会法に定められた要件を満たして提出されているにもかかわらず、党の機関承認がないことを理由にたなざらしになっている。この憲法改正原案が審議できるよう道筋をつけるべきである。

平山 泰朗君(国民)

  • 首相が短期間で交代する要因には、憲法の国会の規定が構造的な問題としてあるのではないか。政策の継続性や国際関係の構築のためには、一定期間内閣が存続することが望ましく、そのために、参議院の問責決議の制限や一院制の導入が検討されるべきである。我が党は、衆参ねじれ状態を憲法は想定していなかったのではないかと考え、一院制を目指す立場である。
  • 国会議員の選出方法については、人口比例に基づく平等原則を前提としつつ、地理的状況等も加味した選出方法を検討すべきである。最高裁判所が示した一票の格差を上限に、国会議員の恣意の入らない定数の是正や、選挙区割りの見直しを図るべきである。
  • 現行制度は二院制である以上、衆参の選出方法は、両院の権能の分岐を前提として、選挙制度の明確な区分けを検討すべきである。
  • 通年国会は採用すべきであり、現行制度の中で運用の改善で対応すべきである。
  • 国政調査権については、議院の権限拡充のためにも、国政調査権の発動を少数会派にも認め、行政監視機能を充実させるべきである。また、国会議員の定数削減の中で、国会議員一人一人の権能は拡充されるべきである。
  • 閣僚の議院出席義務については、充実した行政業務のためにも緩和すべきである。
  • 政党については、政党法などの法律に委ねるべきである。政党は、憲法上の存在ではなく、結社の自由その他各法の規定により存在が認められるべきである。

●委員からの意見表明等の概要(発言順)

逢坂 誠二君(民主)

  • 昨年 4月に成立した「国と地方の協議の場に関する法律」により、政策立案当初から国と地方が公式の場で意見交換を行い、協力して政策を作り上げることで、地域の実態に合った政策を実現することが可能となった。
  • 外国には、このような国と地方の協議の場を常設的に国会に設けている例がある。ドイツの連邦参議院、フランスの元老院などでは、自治体の関係者が国会議員となり、自治の問題についてある種の優先権を持って議論を行っている。
  • 我が国でも、国会の場において常設的に地方との関係を話し合う役割をいずれかの院に持たせてはどうか。参議院については地方自治に関する議論の優先権を持たせ、その構成員を自治体から選出することを検討すべきではないか。

石井 登志郎君(民主)

  • 現在は衆参両院において一票の格差が問題とされているが、憲法の制定経緯の中で、参議院の一票の格差までは想定していなかったのではないか。
  • 憲法の中で、衆参両院の位置付けを明確化し、衆議院については一人一票を徹底する一方、参議院については都道府県の意見を反映する制度にすると明示すべきではないか。

畑 浩治君(生活)

  • 二院制の議論の中で、いきなり再議決要件を緩和するのではなく、両院協議会で両院の意思を合致させる方法を模索すべきである。例えば、両院協議会の委員構成は各院の会派構成に比例した構成とし、成案を得るための協議案の議決要件を過半数に変更することなどが必要である。
  • 両院の役割分担について、現在は衆参いずれも国民代表となっており、憲法上違いはない。下院は国民代表、上院は地方代表とすべきである。そうすれば選挙制度も衆参で違うものとしなければならず、参議院は間接選挙にするといったことも必要になってくる。
  • 問責決議案については、参議院には解散制度がないので、その効果は閣僚の辞職に値するものではないという抑制的な運用が必要である。そうすることで、チェックアンドバランスの枠外にある参議院の権威を高めることになる。

大泉 ひろこ君(民主)

  • 終戦後 GHQが日本国憲法の草案を作成した際には一院制としていたが、日本側は二院制を主張して、二院制となった。
  • 二院制を採用する以上、違いを明らかにした方が国民的議論が熟していくことになる。例えば、衆議院は選挙区選出として地域代表とし、参議院は職域代表とすることで、違いが出てくる。また、 6年という長い任期が保障された参議院は、青少年の育成や教育などの問題に長期にわたって取り組むことができ、アップデートな話題を扱う衆議院との違いも出るだろう。

小沢 鋭仁君(民主)

  • 現在、国会法の発議要件を満たした憲法改正原案が衆議院議長に提出されているが、各会派の機関決定がないため、たなざらしになっており、審議ができない状態になっている。議員提出議案の提出に係る各会派の機関承認については、法律や先例にはなく、慣例に過ぎない。
  • 同改正原案は、一院制を実現することを内容としている。現在のように両院で同じことを同じようにやってるのは意味がないし、決められない政治から脱却することが必要である。また、一院制にすることで議員定数を大きく減らすことができる。

緒方 林太郎君(民主)

  • 日本では、内閣提出法案に係る党議拘束が強く、議員提出法案の提出の自由度が低い。これは、日本において、議員活動の自由度が著しく低いことを示している。議員提出法案の提出の自由度を高めるか、あるいは党議拘束を緩めるべきだ。例えば、会派の機関決定がなくても議員提出法案を提出して良いとすることも考えられる。
  • 党議拘束を緩めると与党議員が定足数を満たそうというモチベーションが働かなくなってしまうため、議員に出席を促す追加的な出席の義務を課すことも考えられる。
  • 問責決議案によって政権が揺さぶられる状況や、特例公債法案の審議状況によって予算が執行できないという状況は、本来憲法の想定するところではない。しかし、この問題を立法的に解決することは困難なので、最終的には政党間のコンセンサスで解消していくべきである。
  • 憲法 43条の規定では国会議員は「全国民を代表する」とあるが、参議院を都道府県の代表であるとするなど、何を代表しているのか衆参で明確に分けた上で、役割分担をするべきである。

中谷 元君(自民)

  • 国会議員の定数削減については、人口だけでなく、地方自治体の独立性、地方分権等を考慮すべきではないか。定数を削減すればするほど都市選出の議員が増え、地方の声が薄くなってしまい、都市と地方の格差が拡がることになる。このため、行政区画、地勢等を反映して、国会で議論して議員定数を配分するべきであるが、今回は最高裁で憲法違反との判決が出ている。行政、立法の責任で決定したことを司法が覆す権限はあるのか。また、違憲の判断基準として衆議院では 1対2、参議院では1対 5という目安が言われているが、司法が数字的なことを判断することは、憲法が容認しているのか。

篠原 孝君(民主)

  • 国会議員が国民の代表として活動するに当たり、大きな問題は国民の声が反映されていないことであり、その原因の一つが党議拘束である。諸外国を見ても、個々の議員が自らの判断によって賛成か反対かを決め、国民はこれを次の選挙の際の判断材料としている。党議拘束に違反したら除籍などの厳しい処分をするのは日本くらいである。 2大政党制が確立してきている中で政党が増えた原因は、党議拘束であると考える。議員個人の判断を尊重して採決に臨むことが重要であり、党議拘束は見直すべきである。
  • 選挙制度について人口比のみで考えていくと人口の多い地域の意見に偏ってしまう。参議院については違う方法を考えないと、バランスを失する国になる。

柿澤 未途君(みんな)

  • 一票の価値の不平等は住所地による差別であり、人種や性別による差別同様、認められない。最大限一票の平等を目指しながら技術的な理由により完全な1対1が実現できないことは正当化されても、そもそも平等でなくてもよいという議論は、現状では容認されない。

保利 耕輔君(自民)

  • 我が党が憲法改正草案を作成する際にも、一院制導入の是非について激しい議論があったが、最終的には二院制を維持することとした。私の懸念としては、国会において強行採決が行われることがあるが、一院制のもとで強行採決が行われると、多数党による専制政治、ひいては独裁政治につながっていく可能性があり、参議院が存在する意味は大きいと思う。
  • 参議院の在り方について衆議院において議論するのはいかがかと思うが、参議院は英語では「 House of Councillors」と表記され、衆議院の「House of Representatives」とは意味が違うのではないか。
  • 衆議院に対する抑制機能を前提として、知識・経験のある慎重熟練の士を求めることが参議院に求められている。ここに良識の府ということが言われるわけであり、これは大事な概念である。

緒方 林太郎君(民主)

  • 諸外国の議会の例を見ても、これほどまで国務大臣が国会に拘束されるのは日本だけだ。外国に行くことを職務上求められる大臣が、議会との関係のために外国に行けずに国益を損なうようなことがあってよいか。これを解消するために副大臣が設けられ、かつそれを認証官としたのではなかったか。憲法 63条を余りに厳格に解釈するがゆえに、日本の国益を損なうことがあってはならない。
  • 国政調査権は、議院が行使するものであり、国会法 104条でも、議院又は委員会での決議がない限り発動に至らないこととなっているが、要件を緩めてもよいのではないか。国政調査権は、議院ではなく議員の権限であってほしい。

川越 孝洋君(民主)

  • 国際化と言われるなかで、国務大臣は国会に縛られすぎている。国益を大事にするのであれば、国務大臣はもっと海外で発言するべきだ。今回のオリンピックの開会式に総理大臣が出席できなかったことなどを考えると、日本人は内向きだと言われるのではないか。国務大臣は、世界を飛び回り、国民の代表として国益を守ることが重要だ。

畑 浩治君(生活)

  • 政党の在り方については、少なくとも法律で規定することが重要である。党の決定が、場合によっては国の決定につながるので、その手続が不透明であれば、政党・国政運営への不信を招く。党内の意思決定や役員の選定の在り方、党首の決定の在り方について、その手続的な理念を法律で規定すべきである。
  • 国会での審議に入る前から党議拘束をかけることは、国会での実質的な審議を阻害する。党議拘束をかける時期を法案採決の直前にするなど、民主主義の議論が担保されるような党議拘束の在り方が、各党の共通の慣行となることを望む。

照屋 寛徳君(社民)

  • 沖縄は敗戦後 27年間にわたり、米軍の軍事支配下で憲法が全く適用されない状況を強いられ、結社の自由に対する保障もなかった。労働組合も自由に結成できず、政党活動についても米軍から厳しい規制・弾圧を受けた。
  • 憲法にせよ、法律にせよ、国会で政党に関する規定を設ける場合、どうしても多数派の肯定・許容する内容となり、人数・綱領・規約・運営方法等の点で少数政党に不利な規制が行われかねない。また、旧西ドイツのように現体制に反対する政党が、国家権力により禁止・解散させられ、財産を没収される危険もある。我が党は、憲法に明記するにせよ、個別法を制定するにせよ、政党を規定することには反対である。

笠井 亮君(共産)

  • 政党は、憲法 21条の結社の自由に基づき、国家から監督や規制を受けずに活動する自主的な組織であり、活動は全面的に保障されなければならない。政党は、それぞれ自主的に内部規律や活動の在り方を決めていくものである。党議拘束について我が党では党内で議論を尽くし、その上で決めたことには全員が従うこととしているが、こうしたことは、それぞれの政党が党内で決めるべきものである。内部規律や活動の在り方まで、憲法や法律で規定すると、時の多数党の考えを基準とすることにならざるを得なくなる。