平成25年4月11日(木)(第5回)

◎会議に付した案件

日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する件(日本国憲法の各条章のうち、第六章の論点)

衆議院法制局当局から説明を聴取した後、自由討議を行った。

◎自由討議

●各会派の代表者からの意見表明の概要

大塚 拓君(自民)

  • 違憲審査制の改善策については、憲法裁判所の設置や最高裁判所の機構改革に関して党内でも議論があるが、現時点では明確な方針はなく、今後も議論を深めていきたい。
  • 裁判官の報酬減額に関しては、これまでにも一般職国家公務員の給与引下げに合わせて裁判官の報酬も減額されてきており、憲法の条文と現実の運用が乖離している。また、分限や懲戒の場合でも裁判官の報酬を減額できないという問題もある。裁判官の独立を害しない範囲での報酬の減額措置は認められるべきであり、こうした憲法上の疑義を払拭するため、我が党の憲法改正草案では、分限又は懲戒による場合、一般の公務員の例による場合には報酬の減額が可能となるよう規定した。
  • 最高裁判所裁判官の国民審査制度は形骸化しており、その方法を改めるべきである。我が党の憲法改正草案では、立法上の工夫の余地が生じるように、具体的な国民審査の方法は、憲法で定めずに法律で定めることとした。
  • 下級審裁判官の任期については、 10年では長すぎるとの指摘もあり、我が党の憲法改正草案では、法律で定めることとした。
  • 我が党の憲法改正草案では、国防軍の設置に関連し、軍事機密の保護や迅速な実施の必要性等から、国防軍に軍事審判所を置くこととした。この審判所の設置は、裁判所へ上訴する権利の保障を前提としている。

三日月 大造君(民主)

  • 第 6章の表題にある「司法」という文言は、第4章「国会」、第 5章「内閣」のように機関に着目するならば、「裁判所」とすべきではないか。
  • 我が党は、違憲審査機能の強化や憲法秩序維持機能の拡充の観点から、違憲立法審査を専門に行う憲法裁判所の設置を検討するものとしている。憲法裁判所の設置によって、法の支配を貫徹させること、付随的違憲審査制の限界を脱して最高裁判所に憲法の番人としての積極的な役割を担わせること、司法権の行政権監視の機能を高めること、憲法解釈の政治的恣意性を排することなどを目指すものである。
  • 他方、憲法裁判所を設置した場合、政治上の争いが裁判所に持ち込まれる「裁判の政治化」や、憲法裁判所の判例を念頭において立法過程が営まれる「政治の裁判化」を招き、議会制民主主義が軽視されるおそれがあること、国会が制定した法律について抽象的違憲審査を行うことが、国会の地位や権能に重大な制約を加えることになるおそれがあることなどが指摘されている。それらを踏まえて、違憲審査制の強化・拡充の観点から、憲法裁判所の設置などについて広範に議論・検討していくことが必要である。

新原 秀人君(維新)

  • 行政事件や軍事規律違反事件といった専門性のある事件については、「行政裁判所」や「軍事裁判所」などを、最高裁判所の系列に属する特別の下級裁判所として設けること、また、いわゆる非訟事件については、簡易な手続で公権的な判断がなされる事件類型であることから、独立性が保障された裁判所ではなく、特別の審判所を設けるなどして対応することを、それぞれ検討している。
  • 最高裁判所裁判官の国民審査制度は形骸化しているため、見直しが必要と考えており、その任命を国会承認とすることなども検討している。
  • 裁判官の身分保障については、裁判官の独立を害しない範囲での報酬減額を明文で認める方向で検討している。
  • 地方裁判所においても行政活動の違憲性を判断している現状について党内で議論があり、その対処として憲法裁判所を設置する案も出ている。この場合、憲法裁判所と最高裁判所の関係の在り方や、従来の三審制ではなく一回限りの判断となることが憲法判断の在り方としてふさわしいかといった課題がある。
  • 国民の司法参加について、憲法に明記する方向で検討している。具体的な方策は、裁判員制度の是非を含めて議論していきたい。

浜地 雅一君(公明)

  • 砂川事件に関し、当時の最高裁判所長官が上告審の見通しを米側に伝達していたとの報道があったが、これが事実だとすれば、司法の役割を逸脱し、国民の信頼を失墜させるものである。
  • 憲法判断に対する司法の消極的な態度や、内閣法制局による有権的な憲法解釈に対する批判はあるが、憲法裁判所の導入については、裁判の政治化の懸念があることから、慎重な立場である。まずは、最高裁判所裁判官の任命の透明性確保、裁判官の増員などにより現行制度の運用改善を図り、なお最高裁判所の憲法判断が消極的なままならば、最高裁判所に憲法部を設置する案、特別高等裁判所の設置案などを検討すべきである。
  • 最高裁判所裁判官の任命については、国民の意思が反映されるような任命諮問委員会を設置すべきである。内閣の任命権との関係については、諮問委員会の意見を尊重する形にすれば、憲法 79条には違反しない。
  • 最高裁判所裁判官に対する国民審査は、形骸化しており、裁判官が関与した判決に関する情報を積極的に公開することが必要である。裁判官の再任について、国会の同意人事にすべきとの意見もあるが、司法の独立の観点からは行き過ぎであり、反対である。
  • 裁判官の報酬の減額については、財政が厳しい中、国家運営に関わる者全員が身を切るという点では必要な議論である。
  • 国民の司法参加については、裁判員制度が定着しているが、犯罪被害者の二次的被害に配慮すべきであり、憲法には、国民の司法参加を明記するとともに、犯罪被害者の人権についても憲法上の人権として保護する必要がある。

畠中 光成君(みんな)

  • 地域主権型道州制における司法の在り方についての検討は必要だが、仮に憲法改正を行うとしても基本的には現行憲法第 6章の趣旨を引き継ぐ形で問題ないと考える。
  • 三権分立の在り方の問題の一つに、委任立法の増加や行政活動の活発化による国民生活への介入など、行政権の肥大化の問題がある。憲法 76条2項では、行政機関による終審裁判を禁止しているが、終審でない公正取引委員会の審決などの行政機関による準司法手続は認められている。このような機関の国会同意人事の審議時間が短いことは、行政権の肥大化を助長させる。また、最高裁判所が憲法判断に消極的だったことにより、憲法解釈が事実上、行政の一部である内閣法制局に委ねられていることも同様である。
  • 内閣による最高裁判所裁判官の指名・任命手続について、現行制度は必ずしも透明性や客観性があるとはいえず、国会同意人事のような制度を設けることも一考に値する。
  • 最高裁判所裁判官の国民審査制度は、国民に十分な情報が提示されておらず、形骸化しており、審査公報の在り方を見直すなど緊張感を持つことのできる制度にすべきである。
  • 一票の較差に関し、最高裁判所から違憲状態との判決を受けながら同じ制度の下で選挙を行ったことは、過去に例がなく、立法府による司法府軽視の結果である。憲法改正の前に、民主主義の根幹に関わる重要な問題の解決が法改正で可能なのであるから、立法府が結論を出さないのは怠慢であり、早々に結論を出すべきである。

笠井 亮君(共産)

  • 第 6章で重要なのは、司法権の独立の原則を規定したこと、国民による司法の民主的統制を規定したこと、違憲審査制を採用したことである。第 6章の規定に照らし、司法権の独立が現実に果たされてきたかについて、問題点を指摘する。
  • 1957年に砂川事件で跳躍上告を受けた最高裁判所の長官が、日米安保条約を違憲と判断した一審判決の破棄に向け、米国と密談をしていた事実が明らかになった。最高裁判所は、砂川事件判決以降、日米安保条約や在日米軍基地に関する判決において、米国や日本政府を擁護する立場をとるか、統治行為論で司法判断を放棄するなど、米国追従の姿勢で職務を執行してきた。
  • 公務員の労働基本権に関しても、政令 201号事件では、最高裁判所はGHQにより押し付けられた公務員の政治的活動の制限を求める政令 201号は、28条に反しないとの判決を下した。その後、公務員の労働基本権を部分的に認める判決も下したものの、 70年代には再び、認めない方向へと逆戻りした。
  • 政治に加えて、最高裁判所も、憲法をないがしろにし、日米安保条約を最優先する姿勢をとってきたという現実は、およそ主権国家の統治体制と言えるものではない。
  • また、生存権を定めた25条は、個々の国民に具体的権利を付与するものではないとするプログラム規定説を展開するなど、人権に関する最高裁判所の判断にもこうした姿勢は貫かれている。 最高裁判所における法令違憲判決は極めて少なく、精神的自由を規制する法律について違憲判断がなされたことはない。これらの背景には、最高裁判所裁判官の任命の政治的利用や、司法官僚制による裁判官の統制等がある。これらを排し、裁判官の独立を定めた憲法の規定が名実ともに徹底される必要がある。

鈴木 克昌君(生活)

  • 司法消極主義により最高裁判所が憲法保障に係る役割を果たしていない、また、付随的違憲審査制の下では最高裁判所に「憲法の番人」としての積極的な役割を期待できないとの指摘から、憲法裁判所の設置を憲法に明記すべきとの意見がある。一方で、憲法裁判所制度の導入については、デメリットとして「裁判の政治化」、「政治の裁判化」の問題が指摘されており、また、その権限の在り方、裁判官の任命方法など検討すべき事項は多い。我が党は未だ結論を得る状況にはないが、導入の必要性を含め党内で議論を深めていきたい。
  • 裁判官の報酬の減額禁止規定は、裁判官に対するあらゆる不当な干渉や圧力を排除し、職権の独立を確保するため必要であるとされるものの、実際には一般職公務員と併せて幾度も減額支給措置が実施されている。同規定は、報酬の引下げが特定の裁判官に対する圧迫となる可能性のない場合までをも一律に禁じる趣旨ではないと考えており、明文改憲によってこの疑念を払拭するべきである。
  • 裁判官の弾劾制度は十分に機能しているかどうか、弾劾裁判所の在り方について検討が必要である。

●委員からの発言の概要(発言順)

中谷 元君(自民)

  • 憲法は、選挙の平等原則を定めているが、選挙区は人口比のみで決められるほど単純ではない。選挙に関する事項は憲法自身が明文で法律に委ねている。選挙制度が憲法に適合するか否かの判断は、第一義的には国会に委ねられていると考えるのが本来の姿ではないか。
  • 付随的違憲審査制の下では、選挙区割が全体として違憲であることを理由に、選挙が無効とされても、その効力が及ぶのは訴訟の対象となっている選挙区のみとなる。憲法問題を一回的・終局的に解決させるため、抽象的な法令の違憲審査が可能であり、その判決が一般的効力をもつ憲法裁判所の設置について、真剣に検討すべきである。

古川 元久君(民主)

  • 内閣法制局のチェックが厳しすぎる内閣提出法律案よりも、国民の意見をくみ上げられる議員立法活動の積極化が必要と考えるが、その裏腹として、成立した議員立法が憲法に適合しているか審査する違憲審査機能の強化が重大な課題である。
  • 我が党では、違憲立法審査を専門に行う憲法裁判所の設置等を検討すべきとしているが、現状において裁判官が抱える案件過多などの問題を解決しつつ、迅速に違憲審査ができるようにすべきである。

船田 元君(自民)

  • いわゆる司法消極主義や、多忙を理由とする最高裁判所による違憲審査の回避によって、政府の一部局にすぎない内閣法制局が憲法を有権的に解釈し、国会の議論を左右するという異常な状態を生んでいる。違憲審査を抽象的な分野にも拡大し、積極的な司法判断が行われる状況を作るためには、憲法裁判所の設置や、最高裁判所憲法部の設置などによって、憲法判断を行う部署を独立させる必要がある。
  • 憲法裁判所を設置する場合には、裁判官の人選の在り方が重要な要素となる。従来の職業裁判官だけでなく、政治経験者など幅広い分野から集める必要がある。

高木 宏壽君(自民)

  • 現状では、最高裁判所裁判官の一部は職業裁判官以外から選ばれているが、これは憲法判断について広い視野からの考察が期待されているからである。しかし、大法廷が開かれる回数が少なく、職業裁判官以外の裁判官が活躍する場が狭くなっている。これでは、司法消極主義からの脱却は期待できないのではないか。
  • 司法権が憲法保持の最後の砦であることに鑑みれば、現行の司法審査の様式は不十分であり、憲法裁判所の新設、少なくとも最高裁判所憲法部の設置などを行う必要がある。

山口 壯君(民主)

  • 最高裁判所が憲法判断の回避をしてきたことを考えると、憲法裁判所を設ければ解決するというよりも、裁判所自体の在り方の問題ではないか。憲法裁判所の設置は慎重に考えるべきではないか。

笠井 亮君(共産)

  • これまで最高裁判所が憲法判断を避けてきた根本には、最高裁判所裁判官任命の政治的利用や、司法官僚制による裁判官の統制があり、これらを解決することなく憲法裁判所を設けたとしても、合憲判決が重ねられるだけである。憲法調査会においても、地方公聴会の陳述人や参考人の多数が、憲法裁判所の導入について消極的な意見を述べている。違憲判断が進まないのは運用上の問題であり、現行憲法の欠陥ではない。
  • 国会の中に司法の判断が正しいかどうかを検証する裁判所を設けることは、司法権の独立の侵害である。
  • 違憲審査の活性化で言えば、憲法 76条3項を名実ともに実行することと、裁判官の人事を国民の目に届くものにすることが必要である。

土屋 正忠君(自民)

  • 行政職や立法職の場合は、その行為に対して、適切な批判や国民の審判により、然るべき処置が取られるが、裁判官はどのような判決を出しても問題とされることはほとんどない。弾劾裁判の過去の事例を見ても、裁判官が出した判決の中身によってその地位を失った例はない。裁判官の身分保障が固すぎることによって、意外な下級審判決が出ることになるのではないか。
  • 先般の一票の較差に関する違憲判決について、国民感覚を十分に反映しているのか疑問である。国民感情を反映できる憲法判断をするため、憲法裁判所を設置すべきである。

大島 敦君(民主)

  • 憲法裁判所の裁判官の任命について慎重に議論する必要があり、人選についての合意を得ないと、憲法裁判所の設置に踏み込むのは難しいのではないか。
  • 内閣の人事権で一番重いのは最高裁判所裁判官の任命である。現状では任命には国会の関与もなく、内閣が決めることができる。この点について議論を深めるべきである。

武正 公一君(民主)

  • 違憲立法審査権の強化は必要であり、憲法裁判所の設置をはじめとする広範な議論が求められている。現行憲法下で最高裁判所に憲法部を設けることも選択肢として考えられる。
  • 司法消極主義の転換が求められている現状を踏まえ、今回の一票の
  • 較差に関する違憲判決は、国会議員にとって非常に衝撃があったと思う。同判決が司法消極主義を転換する判断であったとすれば、国会としても真摯に受け止める必要がある。

斉藤 鉄夫君(公明)

  • 憲法裁判所の設置については慎重でなければならない。法律の体系は完璧でないために、裁判官によって結論が違うこともある。憲法裁判所の違憲審査によって最終的な結論が出されることとするよりも、個別的な事件についての判例を重ねる中で、司法としての方向性が出てくる方が適当ではないか。

船田 元君(自民)

  • 一般職国家公務員の給与引下げに伴う裁判官の報酬減額は、社会常識的に見ても認められるし、裁判官の職権の独立性を侵すものでもない。このような減額措置については、誤解を与えない形で憲法上明文化されるべきである。
  • 最高裁判所裁判官の国民審査制度は、形骸化しているとはいえ、国民が司法に参加する重要なルートの一つであり、かつ、憲法改正国民投票と並んで投票という形で国民が意思表明を行う貴重な機会であるため、より有効に機能させるべきである。裁判官に関する情報提供の状況を改善し、国民の関心を高める工夫が必要である。
  • 裁判員制度については、国民の司法参加の制度として定着してきたと考える。国民のリーガルマインドをさらに助長するために、憲法上も明記して、制度の確立を図るべきである。

畠中 光成君(みんな)

  • 最高裁判所裁判官の国民審査制度が形骸化している原因として、現在の審査公報における各裁判官の情報提示が画一的になっていることがあげられる。また、審査を総選挙と同日に行うことにより、国民審査に国民の関心が向かなくなっている面もあり、検討が必要である。

高鳥 修一君(自民)

  • 一票の較差など国会の組織に対する違憲判断を裁判所が下すことが可能なのは、権力分立、法の支配から導き出される司法権の独立の考えに由来するものであろうが、それが行き過ぎると司法府の無謬性が前提となってしまう。こうした行き過ぎをチェックできるのは、主権者たる国民だけである。したがって、裁判官は国民の厳正な審判を受けるべきである。
  • 現状の国民審査制度は形骸化しており、これに代わる制度を法令に定める旨を憲法に規定すべきである。また、国民審査は、国政選挙とは別に、分かりやすい情報に基づいて、国民の意思が明確になる方法で行われるべきである。

古川 元久君(民主)

  • 違憲審査機能の強化と同時に、最高裁判所裁判官の国民審査に実効性を持たせる必要がある。そのためには、総選挙と同時ではなく別の形で行う必要があり、憲法改正を含めた検討が必要ではないか。

小池 政就君(みんな)

  • 下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名により内閣が任命するが、閉じられたコミュニティの中で指名され、また、再任権も握られている。このようにして任命される裁判官が下す判決には公平性が担保されるのか疑義が残るのではないか。また、道州制の観点から、このような中央集権的な任命方法は再考すべきではないか。

中谷 元君(自民)

  • 裁判官は、万引きや盗撮といった、一般の公務員であれば組織内部での懲戒処分で済まされる事由であっても、弾劾裁判という重い手続が踏まれる。これは、裁判官の身分が憲法によって保障されていることによるものであるが、このような事由であれば、裁判官であっても、司法の内部管理の範疇で処分できる規定を置くことにより、弾劾裁判に持ち込まなくても済むような体系を作るべきではないか。
  • 裁判官は、罷免されると法曹資格までも失うが、情状酌量の余地がある場合には、身分の剥奪以外に法曹資格までは剥奪しないこととするなど、段階的な制裁も可能となるような改正を行ってはどうか。

大島 敦君(民主)

  • 昨年、国家公務員の給与を削減した際に裁判官の報酬を引き下げた。当時の国家公務員給与臨時特例法案の修正に携わった者として、政府側は最高裁判所から意見を聴いて内閣提出法律案として提出したということを指摘したい。

笠井 亮君(共産)

  • 裁判官の報酬減額は、国家公務員の給与と横並びなら司法権の独立性を害さないとの理屈から強行されてきたが、時の政権が政策実現の手段として裁判官の報酬を引き下げることは、司法の独立を侵すものである。また、最高裁判所自身がこれを肯定する答弁を繰り返してきたのは問題だ。
  • 最高裁判所裁判官の任命の在り方については、真に国民の意思が反映されるよう、憲法の運用上の問題として、内閣の恣意的な人事を排して任命の民主化を図るべきである。また、国民審査の問題については、裁判官の様々な判決に対する態度を積極的に広報するのが大事であると同時に、投票そのものの改善も必要である。

武正 公一君(民主)

  • 裁判官の身分保障については、立法府として、三権分立を担保する観点から、弾劾裁判所、訴追委員会の両者を含めてそれらの在り方、扱う案件、その対応など議論するべきである。
  • ・最高裁判所裁判官の国民審査については見直しが必要である。
  • ・最高裁判所長官が砂川事件の裁判の見通しを米国公使に伝えたことが米国の公文書で明らかになったことは遺憾である。外交文書の公開ルールを徹底して欲しい。
  • ・法曹養成制度検討会議の中間とりまとめにおいて、3000人の年間目標法曹養成人数を見直すとの発表がなされた。米国からの年次改革要望書による制度改革であったが、国民感情、文化の違いからこの目標数が適当であったか、国会も厳しく検証するべきである。

斉藤 鉄夫君(公明)

  • 司法制度改革は事前調整型社会から事後監視・救済型社会への転換という流れの中で行われており、この方向で改革していかなければならない。司法改革そのものの流れを止めてはいけない。
  • 法科大学院については、法学部出身以外の様々なバックグラウンドを持つ人も法曹社会を担うというものであったが、今や他の分野からの受験生が少なくなっている。知識・人材集約型の社会を目指す方向性は重要と考えており、議論が必要である。

三日月 大造君(民主)

  • 最高裁判所裁判官の国民審査は、国民が司法に関心を持たなければならないという自覚を持つためにも、総選挙と別の機会に行うとの案に賛成する。
  • 国民からの訴追請求に基づき、国会議員からなる訴追委員会で審議し、国会議員からなる弾劾裁判所において弁護人を付した形で裁判を行い罷免するかどうかを決める権限は、弱めることなく確保すべきだ。立法府として、訴追委員会や弾劾裁判の在り方について不断に見直していくとの意見を支持する。

中谷 元君(自民)

  • 間違った判決を下した裁判官に対する懲戒制度は必要である。立法府としては、裁判官の懲戒を求める声の受け皿として、司法の判断を評価できるよう訴追委員会の在り方について検討し、体制を充実させることが必要だ。司法内部に裁判官の行為に関する意見の受付機関を設けることや、懲戒制度の在り方について検討する必要がある。

篠原 孝君(民主)

  • TPPに、一企業が国家を訴え、世界銀行傘下の国際投資紛争仲裁センターで裁判を行うことを可能とする、 ISDS条項が盛り込まれようとしている。この制度は、我が国の司法権を侵すものであり、阻止しなければならない。 TPPについては、こうした司法の観点からも検討されるべきである。

大島 敦君(民主)

  • 最高裁判所裁判官の国民審査は、費用面を勘案しても、国民の関心を高める観点から、総選挙とは別の機会に行われるべきである。
  • 最高裁判所裁判官の任命について、これまでの政権は極めて慎重に任命を行ってきているが、時の内閣により政治的に利用されることのないよう、国会同意人事でなく内閣の任命でよいのか、任命権の所在に関して、議論を深める必要がある。