平成26年4月24日(木)(第4回)

◎会議に付した案件

日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案(船田元君外7名提出、衆法第14号)

1.上記案に関し、選挙権年齢・成年年齢の18歳引下げに係る諸課題等について、政府参考人から説明を聴取した後、上記案について、政府参考人及び衆議院法制局当局に質疑を行った。

(政府等に対する質疑者)

船田  元君(自民)

武正 公一君(民主)

小沢 鋭仁君(維新)

斉藤 鉄夫君(公明)

三谷 英弘君(みんな)

畠中 光成君(結い)

笠井  亮君(共産)

鈴木 克昌君(生活)

2.上記案について、提出者船田元君(自民)、中谷元君(自民)、北側一雄君(公明)、枝野幸男君(民主)、馬場伸幸君(維新)、三谷英弘君(みんな)、畠中光成君(結い)及び鈴木克昌君(生活)に質疑を行った。

(提出者に対する質疑者)

山下 貴司君(自民)

長妻  昭君(民主)

西野 弘一君(維新)

斉藤 鉄夫君(公明)

中島 克仁君(みんな)

椎名  毅君(結い)

笠井  亮君(共産)

小宮山泰子君(生活)

3.参考人から意見を聴取することに、協議決定した。

◎政府参考人からの説明聴取の概要

総務省の説明の概要(選挙権年齢の引下げに関する検討状況について)

  • 平成19年5月の憲法改正国民投票法成立後、同法附則3条1項を踏まえ、公職選挙法、成年年齢を定める民法その他の法令の年齢条項について検討が行われてきたが、今日まで、これらについて必要な法制上の措置を講ずるに至っていない。
  • 選挙権年齢の引下げについては、総務省としては、仮に、民法の成年年齢や少年法の適用対象年齢とずれが生じると、社会的・経済的に自立しうる主体と認められない者である民法上の未成年者、原則として刑事責任を問われず保護処分とされる少年法上の少年に対し、政治への参加資格である選挙権を認めることとなることから、選挙権年齢はこれらと一致することが適当と考えると説明をしてきた。
  • 諸外国においても、選挙権年齢、民法上の成年年齢及び刑事手続において少年として取り扱われなくなる年齢は、例えばG8では原則として一致している。
  • 仮に、選挙権年齢と少年法の適用対象年齢にずれが生じた場合には、実務的には、18、19歳の者が選挙犯罪等の犯罪を犯しても、原則として保護処分となり、公民権停止の対象とならない点について、20歳以上の者との均衡を失することとなり、この点をどう整理するかが論点となる。
  • 選挙権年齢の引下げについては、今後、各党各会派において議論が行われるものと承知しているが、総務省としては、立法府において結論が出された場合には、それに基づき、適切に対応してまいりたい。

法務省の説明の概要(民法の成年年齢の引下げについての法務省における検討状況について)

  • 民法の成年年齢の引下げについては、国民投票法附則3条を踏まえ、法務大臣から法制審議会に諮問され、平成21年10月、法務大臣に対する答申がされている。
  • 法制審議会の答申は、特段の弊害がない限り、選挙権年齢と成年年齢の一致が望ましいとした上で、国民投票法の投票権年齢が18歳と定められたことに伴い、公職選挙法の選挙権年齢が18歳に引き下げられるのであれば、民法の成年年齢を18歳に引き下げるのが適当であるとしている。また、同答申は、引下げの法整備を行うには、若年者の自立を促すような施策や消費者被害の拡大のおそれ等の問題点の解決に資する施策が実現されることが必要であるとしている。
  • 政府においては、消費者保護施策の充実や消費者関係教育等、これまで成年年齢の引下げに向けた環境整備に取り組んできたところであり、法務省としても、関係省庁と連携を図りつつ、法教育の充実等、民法の成年年齢の引下げに向けた環境整備に努めてきた。
  • 公職選挙法の選挙権年齢と民法の成年年齢の関係は、民法の成年年齢が、@親の同意なく一人で契約をすることができる年齢及びA親権に服する年齢を何歳までとすべきかという観点から定められているのに対し、選挙権年齢は、何歳から国政選挙に参加させるかという観点から定められており、立法趣旨は異なる。
  • したがって、民法の成年年齢と選挙権年齢は理論的に一致する必要はなく、民法の成年年齢を引き下げなくとも、選挙権年齢を引き下げることが可能であることに、学説上の異論はない。諸外国においても、私法上の成年年齢より低く選挙権年齢を定めている例や、現在は同一の年齢となっていても選挙権年齢の引下げが先行している例がある。
  • 法務省としては、選挙権年齢と民法の成年年齢とは、必ずしも一致する必要はなく、選挙権年齢の引下げによって、両者に差異が生じたとしても、特段の問題は生じないと考えている。
  • 民法の成年年齢の引下げについては、関係施策の充実に加え、成年年齢の引下げに向けた国民意識が醸成されることが必要になるが、今後、公職選挙法の選挙権年齢が成年年齢に先行して引き下げられることになれば、成年年齢引下げに向けた国民の意識が醸成されることになり、引下げに向けた環境整備がより一層促進されるのではないか。
  • 法務省としては、憲法審査会での議論の状況や、各党間のプロジェクトチームにおける選挙権年齢の引下げに向けた検討状況等を注視しながら、引き続き、成年年齢の引下げに向けた環境整備に努めていきたい。

法務省の説明の概要(少年法の適用対象年齢の在り方についての法務省における検討状況について)

  • 法務省においては、現在、満20歳未満となっている少年法の適用対象年齢を満18歳未満に改める必要があるか否かについて検討を行ってきた結果、公職選挙法の選挙権年齢が満18歳以上に引き下げられたとしても、それが直ちに少年法の適用対象年齢を満18歳未満に引き下げなければならないわけではないと考える。
  • 少年法上の少年については、家庭裁判所が必要と認めた場合には保護観察や少年院送致などの保護処分ではなく、刑罰を科すことができることから、少年法の適用対象年齢を満18歳未満に引き下げるか否かの問題は、現在、保護処分と刑事処分の双方が可能である18、19歳の若年者を一律に刑事処分の対象とし、保護処分を科し得なくすることが刑事司法の観点から適切か否かという観点から検討すべき問題であると考える。
  • この点について、現時点において、これらの者に対する保護処分の必要性が失われたと評価すべき事情は認められず、少年法の適用対象年齢を引き下げなければならないわけではないと考える。
  • 公職選挙法の選挙権年齢は満18歳以上、少年法の適用対象年齢は満20歳未満という状況になったとしても、法務省としては、公職選挙法と少年法との間に不整合が生じるとはいえないと考える。
  • そのような状況では、18、19歳の者が選挙違反を犯した場合に保護処分の対象となり公民権停止・連座の対象にならない場合が生じることが問題であるとの指摘がある。
  • 法務省としては、選挙違反を犯した18、19歳の者が保護処分となった場合にも公民権停止・連座の対象となる必要があると公職選挙法上の政策判断として認められるのであれば、一定の保護処分を受けた者についても公民権停止・連座の対象とするなどの公職選挙法上の措置を講ずれば足りると考える。
  • 選挙違反を犯した18、19歳の者が刑事処分ではなく保護処分となる可能性があることを理由に、少年法の適用対象年齢を必然的に引き下げる必要があるとは考えていない。
  • 今後憲法審査会における議論の状況を踏まえ、必要に応じて検討を行っていきたい。

文部科学省の説明の概要(学校における憲法教育や政治教育について)

  • 憲法教育・政治教育は学習指導要領に基づいて実施されており、現行の要領には、小学校においては、国民生活の安定・向上を図るために大切な政治の働き、憲法の基本的な考え方に基づく我が国の民主政治等が、中学校においては、憲法に基づいて行われる政治の意義、憲法の三大原則、国会を中心とする民主政治の仕組みや議会制民主主義の意義、民主政治の推進と国民の政治参加、選挙の意義等が、高等学校においては、憲法に定める政治の在り方と国民生活とのかかわりや政治参加の重要性、政治機構の概観、望ましい政治の在り方と主権者としての政治参加の在り方等について定められている。
  • 今後の学習指導要領に基づいた憲法教育・政治教育の取組としては、教育関係者への国民投票法の趣旨の周知、また、関係省庁と連携して、社会参画に関する実践的・体験的な学習の支援と情報発信(模擬投票、模擬選挙、ディベート等)といったものを行っていきたいと考えている。
  • 次期学習指導要領の改訂に向けた議論が今年度から中央教育審議会で始まる見込みだが、例えば、高等学校の新科目として「公共」(仮称)を設置する検討など、憲法教育・政治教育の充実に向けた検討を進めたいと考えている。

消費者庁の説明の概要(若年層に対する消費者教育について)

  • 消費者教育の推進に関する法律に基づき昨年6月に閣議決定された「消費者教育の推進に関する基本的な方針」において、成年年齢の引下げに関しては、「消費者被害等の状況や、成年年齢の引下げに向けた環境整備の観点等から、高等学校段階までに、契約に関する基本的な考え方や契約に伴う責任、消費者市民社会の形成に参画することの重要性などについて理解させ、社会において消費者として主体的に判断し責任を持って行動できるような能力を育む」ことが示されている。
  • 消費者庁においては、基本方針に加え、幼児期から高齢者までの発達段階ごとに消費者教育の目標を示しており、消費者教育ポータルサイトも活用して各地域での消費者教育の実践例を収集・提供するなどして、地方自治体での取組を支援している。

◎政府等に対する質疑者及び主な質疑事項等

船田 元君(自民)

<発言>

  • 「3つの宿題」のうち、18歳の問題については、本改正案施行後4年間は国民投票の投票権年齢を20歳とし、5年目以降自動的に18歳に引き下げることとしている。また、改正案附則において、選挙権年齢等も速やかに18歳に引き下げること、さらには8党合意で、2年以内に選挙権年齢を18歳に引き下げることを目指して各党間でプロジェクトチームを立ち上げること、選挙権年齢が4年を待たずに引き下がった場合には、投票権年齢も同時に18歳に引き下げることを決めた。この合意に賛同した政党に所属する議員は、衆参いずれも9割以上を占め、国会の意思とも言えるものである。政府においても、これをしっかりと受け止め、全力で対応していただきたい。

<政府参考人に対して>

  • 国民投票の投票人名簿と公職選挙法の選挙人名簿は対象者が違うので別々に調製するとされているが、現状においてそれができているか。仮に投票権年齢が18歳で選挙権年齢が20歳とずれが生じた場合も、別々に調製されている名簿を実行することは可能か、総務省に伺いたい。
  • 選挙権年齢を18歳に引き下げる場合、一定の周知期間が必要であると考えるが、現段階において、どの程度の周知期間が必要であると考えているか。
  • 法制審議会の答申では、「18歳に引き下げることが適当」とある一方、若年者の自立や消費者被害の拡大防止の施策が十分行われていることが必要とあるが、両者は関連付けられているのか。それとも、重点は18歳に引き下げることにあり、若年者の自立等の施策が行われていることが望ましいということであって、必ずしも関連していないのか、法務省の見解を伺いたい。
  • 成年年齢の引下げに伴う法務省の関連法令についての検討状況について伺う。
  • 選挙権年齢が引き下げられた場合の少年法の扱いについて、法務省の見解を伺いたい。
  • 文部科学省の学習指導要領は非常に抽象的な表現にとどまっていることからその改訂が必要だが、次回の学習指導要領までの期間は長く、中間的にも改訂が必要であると考えるが、文部科学省の見解を伺いたい。
  • 成年年齢が引き下げられた場合の消費者教育については非常に重要であると考えるが、消費者教育充実に向けての決意を消費者庁に伺いたい。

武正 公一君(民主)

<政府参考人に対して>

  • 「選挙違反を犯した18、19歳の者について、公職選挙法上の措置を講じれば、少年法の適用年齢を18歳に必然的に引き下げる必要はない」旨の法務省の見解について、総務省はどのように考えるか。
  • 今回の改正案及び確認書により、投票権年齢は遅くとも4年以内に18歳に引き下げられ、投票権年齢と選挙権年齢との均衡等を勘案した必要な法制上の措置が講じられることとなる。総務省にはより一層の取組が求められると思うが、いかがか。
  • 「現時点において、18、19歳の者に対する保護処分の必要性が失われたと評価すべき事情は認められず、少年法の適用年齢を引き下げなければならないわけではない」旨の法務省の見解は、いつ取りまとめられ、いつ各省会議、あるいは総務省へ通知されたか。
  • 平成21年10月の法制審議会答申では、成年年齢の18歳への引下げを適当としつつも、そのためには、消費者被害の拡大等の問題等若年者の自立を促す施策の実現が必要であるとされた。法務省に、当該施策の進展状況を伺いたい。
  • 日本は、戦時中の学徒動員等について政府が詳細を把握していないなど、歴史の検証が不十分である。歴史教育の充実に関する学習指導要領の見直しと、幅広い政治教育の取組について、文部科学省の見解を伺いたい。
  • 政治的中立についてだが、先日の参考人質疑において、同僚議員から「学校行事にどのような政治家を呼ぶかは、学校の運営者の判断に委ねられている」旨の指摘があった。この指摘についての文部科学省の所見を伺いたい。また、これは、公立学校であると私立学校であるとを問わないとの理解でよいか。
  • 今回の改正案の成立により憲法改正の国民的議論を惹起していく中で、憲法改正の議論には歴史の検証が欠かせないと考えている。この点についての内閣官房の所見を伺いたい。
  • 自治体において、各種団体による催事への後援について政治的中立を理由に断る事例が増えており、その中でも憲法をテーマにしたものを断る例が多いようだ。憲法改正の国民的議論が惹起されようとする中、これに逆行する動きのようにも見受けられるが、総務省の考えを聞きたい。

<発言>

  • 政治的中立が求められるから、学校は政治家を行事に呼ばない、自治体は催事を後援しないという動きは、いかがなものか。「政治的中立」の捉え方は、憲法審査会に課された課題であり、また政府においても検討されたい。

<政府参考人に対して>

  • 消費者教育推進法で自治体に設置の努力義務が課せられた消費者教育推進地域協議会の設置件数、同協議会が定める消費者教育推進計画の策定件数はどのくらいか。また、高齢者、障害者のほか、若年層の消費者問題への取組について、消費者庁の所見を伺いたい。

小沢 鋭仁君(維新)

<発言>

  • 「3つの宿題」について国による法制上の措置が講じられてこなかったことは、国の不作為であり、国会に身を置く立場として反省するとともに、政府も重く受け止めるべきである。憲法審査会始動後、当時与党筆頭幹事として「3つの宿題」の先行処理を提案したが、却下された経緯がある。その後、維新に移って国民投票法改正案の起草に携わり、維新単独で提出した。そうした中で自公案もまとまり、今日に至ったことは感無量である。
  • 我が党は、年齢問題は、世界標準という観点からも、直ちに無条件に18歳に引き下げるべきという立場である。

<政府参考人に対して>

  • 年齢条項の見直しに伴う法制上の措置の検討状況の具体的数値を伺いたい。また年齢問題について法務省と総務省の意見の相違に対し、内閣官房はどのような取組を行っているか。
  • 法務省は法制審議会で検討し、一応の結論を得ている。他方、総務省における検討体制はどのようになっているのか。
  • 法制審議会の答申では、成年年齢の引下げは国会の動向を見極めるなどとし、結論を留保しているが、法務省は、よりすっきりした結論を出せないのか。
  • 法制審議会の答申では、近年の若者の特徴として精神的・社会的自立の遅れを指摘する一方、18歳引下げが望ましいとの結論となっているが、どのような論理によるものか。

<発言>

  • 我が党と他の各党も条件なしの18歳引下げを主張している。国民投票権年齢と選挙権年齢が違っていると様々な問題が起こると考えられるが、できる限り早く憲法審査会において「3つの宿題」の不作為を解決し、一日も早く18歳引下げを決め、新しい時代を迎えたいと思う。

斉藤 鉄夫君(公明)

<政府参考人に対して>

  • 年齢条項の見直しに関するこれまでの政府の検討の経緯、特に、憲法審査会でも議論となった昨年6月以降の検討状況について、内閣官房に伺いたい。
  • 政府の方針が定まらないのは、総務省と法務省の対立があるからだと思われるが、具体的な対立点はどこにあるのか、総務省及び法務省に伺いたい。
  • 今回の改正案及び8党合意による確認書では、選挙権年齢の引下げが先行することになると思われるが、総務省はこれまでの見解を軌道修正するのか。
  • 公職選挙法の改正はこれまで議員立法によって行われてきたが、今回の選挙権年齢の引下げも議員立法によって行われると思われる。そのような法整備が行われた場合に、総務省はそれを前提に法を執行するということでよいか。
  • 谷垣法務大臣が民法の成年年齢の18歳以上への引下げに向けて検討を進めるとの考えを表明しているが、法務省としての考えを伺いたい。
  • 選挙権年齢の先行引下げであっても、少年法の適用年齢との齟齬はできるだけ短期間であることが望ましい。少年法の適用年齢の引下げに関する考え方について、法務省の見解を伺いたい。
  • 今後、年齢検討条項の見直しに関する検討委員会における早急な取りまとめに向けて、内閣官房の決意を伺いたい。
  • 改正案成立後は、憲法教育をどのように充実させていくのか、文部科学省の考えを伺いたい。

三谷 英弘君(みんな)

<発言>

  • 選挙権年齢を18歳に引き下げると、高校3年生も有権者となるので、今まで以上に学校における政治教育の充実が必要となる。これまでの政治教育が特定の思想に偏っていたことが、政治に触れようとしない教育という最近の傾向を生んだのだろう。

<政府参考人に対して>

  • 先日の参考人質疑でも、高校で政治に触れる機会の重要性が説かれていた。そこで、政治的中立性を保持した上での、政治に触れる、政治的な議論をさせる機会の確保について、文部科学省の見解を伺いたい。

<発言>

  • 模擬選挙の実施などは、政治に触れ合うよい機会になると思うが、一方で、高校のようなクローズドな環境では、政治信条の吐露がいじめにつながることもあり得る。投票の秘密の重要性などについても、あわせて学べるようにしてはどうか。

<政府参考人に対して>

  • 総務省は、18歳選挙権が未だに実現しない最大の問題点は何であると考えるか。また、選挙権年齢と少年法の適用年齢の一致は必要ないとの法務省の見解について、どのように考えるか。

<発言>

  • 同じ犯罪行為であっても、少年と成人とで処分が異なるのは当然のことだ。総務省が、選挙権年齢と少年法の適用年齢の一致について殊更にこだわるのは、法務省が少年法の適用年齢を引き下げないのを理由に、総務省は選挙権年齢を引き下げずに済むと考えているからではないか。

<政府参考人に対して>

  • 法務省は、成年年齢を18歳に引き下げられない最大の懸案は何であると考えるか。
  • 成年年齢の引下げは社会的に極めて大きな影響があるため環境の整備が必須であるとのことだが、未成年者が婚姻をすれば成年と擬制する制度が既にあるではないか。これらの整合性について、法務省はどのように考えているか。
  • 婚姻による成年擬制について、未成年者が婚姻を自ら判断することによって財産管理能力が認められる、ということが民法の建付けであるとするならば、何らかの判断をした未成年者については何らかの行為能力を認めるという立法をすることは、理論上は可能であると法務省は考えるか。

畠中 光成君(結い)

<政府参考人に対して>

  • 「年齢条項の見直しに関する検討委員会」で取りまとめられた成年年齢引下げに伴う対象法令の検討状況によれば、法制上の措置が検討中の法律が10件となり少ない。要は、立法府の強い意思があれば、すぐに引下げは実現できると考えるが、内閣官房の見解を伺いたい。

<発言>

  • 年齢引下げの実現については立法府の意思が重要だ。8党合意の確認書及び本改正案の共同提出を行ったことにより、立法府の引下げ実現の意思は明確である。

<政府参考人に対して>

  • 民法上の未成年者に対し、国民投票権や選挙権を認めることについての見解を伺いたい。
  • 選挙権年齢を18歳に引き下げることについて、公職選挙法と少年法との関係で、選挙運動等に影響が出ないよう、法制上どのような措置が考えられるか。
  • 2年後に行われる参議院選挙等の国政選挙において、選挙権年齢引下げに関わる周知期間はどの程度必要だと考えるか。

<発言>

  • 選挙権年齢の引下げについては、各党プロジェクトチームでも期限を区切って動かしていかないといけない。
  • 18歳の年齢引下げについては、国会で議論されているほどには十分国民に周知されていないように感じる。国民に対する周知こそ、一番の環境整備だと思うので我々も提案していくが、政府もしっかりと取組を行うようお願いしたい。

<政府参考人に対して>

  • 公務員や教職員の地位利用について、仮に罰則を設けられなくても、構成要件の範囲を定めることができるかについて見解を伺いたい。

<発言>

  • 罰則を設けた方が範囲を明確にしやすいと考えるので、今後の検討課題として取り組んでいきたい。
  • 我が党は、国政重要問題国民投票制度の創設として、憲法改正以外の一般的国民投票制度について提案している。今回の改正案でも、検討条項を設けることにより議論を進めることができた。

<衆議院法制局当局に対して>

  • 諮問的国民投票制度は間接民主制に反するものではなく、むしろ欧州では積極的に活用されている状況について伺いたい。

笠井 亮君(共産)

<発言>

  • 我が党は、改憲手続法とは関わりなく、18歳選挙権の一刻も早い実現を主張してきた。

<政府参考人に対して>

  • 18歳選挙権は未だに実現していないが、総務省は、その端的な理由は何であると考えるか。また、法案提出者は改憲手続法制定後の「様々な政治情勢の変化」を理由に挙げているが、政府はこの間、「政治情勢」の様子見をしていたということか。
  • 選挙権年齢の引下げについて、総務省は冒頭説明において「立法府において結論が出された場合には、それに基づき適切に対処する」旨を述べていた。しかし、18歳選挙権については、これまでも改憲手続法附則3条によって立法府の結論が示されていた。この間の政府の取組姿勢が問われると思うのだが、総務省の見解を伺いたい。
  • 法体系全体の整合性についての政府内の検討が遅れた旨を総務省は言うが、それでは、今回の改定案・8党の確認書がそれぞれ「速やかに」「2年以内を目指す」とした選挙権年齢の引下げについては、法案成立後に政府内で行われる整合性・合理性の検討の見通しはどうか、今度はすぐにできるのか、総務省の考えを伺いたい。
  • 改憲手続法附則3条は、3年以内の選挙権年齢・成年年齢の引下げを義務付けていたと思うのだが、それにもかかわらず、成年年齢引下げに関する法制審議会への諮問が、引き下げる「べきか否か」を問う表現になったのはなぜか。法務省に伺いたい。

<発言>

  • 改憲手続法附則3条には選挙権年齢の引下げの方向性が明示されているが、成年年齢についてはそこまで示されていない旨を法務省は言うが、それは附則の読み方を誤っている。法制定時の議論はそのようなものではなかった。

<政府参考人に対して>

  • 法務省は、成年年齢の18歳への引下げが未だに実現していない端的な理由は何であると考えるか。
  • 成年年齢の引下げに向けた環境の未整備を法務省は理由にするが、今回の改定案が「速やかに」とし、法案提出者が「4年以内を目指す」とした成年年齢の引下げについて、それに見合うような見通しを持てるか、法務省に伺いたい。
  • 附則3条による法制上の措置の中心的な検討対象は公職選挙法、民法及び少年法であるが、これらについてどのような取組がなされてきたか内閣官房に伺いたい。
  • 改定案の附則や8党の確認書には、年齢引下げについて、2年間でとか4年間で措置するとあるが、これまでも実現しなかったという中で、今後の検討の段取りについての見通しをどのように考えているか、内閣官房に伺いたい。

<発言>

  • 投票権年齢については、7年前の法制定時の当初自公案では20歳とされ、併合修正案で18歳に引き下げられたが、法施行までの3年間で選挙権年齢も18歳に合わせることとされていた。今回の改定案では、投票権年齢を4年間は20歳に戻し、選挙権年齢の引下げは「検討」することとされている。引下げの確実な保証がないにもかかわらず、改憲手続を動かせるようにするという目的のみで成立させようとしている今回の改定案は、廃案にすべきである。

鈴木 克昌君(生活)

<発言>

  • 我が党は、憲法とは、国家以前の普遍的理念である基本的人権の尊重を貫徹するために、統治権を制約する、国家権力を縛る意味での立憲主義の考え方を基本としている。同時に憲法は、国家の在り方や国法、秩序を定める最高規範として安定性が認められる性質のものである。従って国民主権、基本的人権の尊重、平和主義、国際協調という四大原則を堅持すべきであると考える。

<政府参考人に対して>

  • 今回の改正は国の形を変える可能性があるため、憲法教育が大きな問題となってくる。これまで以上に中高生に対する憲法教育、政治教育の充実が必要だが、先般の参考人質疑における若者の政治参加を推進する活動をしている二人の意見を踏まえ、文部科学省は具体的にどのような取組を考えているか。
  • 具体的に次期学習指導要領の中でどのような改訂を行う考えか。また改正国民投票法成立後、どのような形で中立性を担保するか。
  • 我が党は、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義、国際協調という憲法の四大原則が堅持されていかなければならないということを前提に、共同提案に参加した。四大原則が教育の中できちんと担保される必要について伺いたい。
  • 我が国では、都市部と地方とで同じような形で教育ができるかと指摘したが、全国一律で公平に実施されるかについて、見解を伺いたい。
  • 総務省は今まで選挙権年齢引下げに向け、これまでどのような議論を行ってきたのか、成年年齢との関係で、法務省とどのような議論を行ってきたのか。また、選挙権年齢引下げの方向が見えてきた中で、今後具体的にどのような取組を行う考えか。
  • 法務省は、成年年齢引下げの方向性が出された中で、今後具体的にどのような取組みを行う考えか。
  • 昨年6月の憲法審査会において、法務省は、消費者教育の充実及び若年者の総合的支援に向けた取組の効果が実際にあらわれ、国民の間に浸透するのにはある程度の時間を要する旨を答弁しているが、現段階ではどの程度の時間を要すると考えるか。
  • 8党合意により、選挙権年齢は早期に18歳引下げを目指すことが確認され、今改正案では成年年齢等の引下げも附則に定められた。選挙権年齢が成年年齢に先行して引き下げられる事態も考えられるが、そうした場合には、実務上どのような問題があるか。

◎提出者に対する質疑者及び主な質疑事項等

山下 貴司君(自民)

<提出者に対して>

  • 8党の確認書には、「選挙権年齢については、改正法施行後2年以内に18歳に引き下げることを目指し」とあるが、これは選挙権年齢の引下げを、民法の成年年齢や少年法の適用年齢の引下げより先行させる趣旨か。
  • 選挙権年齢の引下げを単体で見た場合、検討すべき論点については、どのようなものを考えているのか。
  • 本改正案が今国会で成立し、確認書にあるとおり選挙権年齢が2年以内に引き下げられた場合、次の参議院議員選挙あるいは衆議院議員選挙から適用されることになるのか。

<発言>

  • 18歳選挙権が早期に実現するならば、学校教育における公正中立な憲法教育、政治教育の在り方を議論することは喫緊の課題である。

<提出者に対して>

  • 本改正案100条の2と人事院規則に定める「政治的行為」との関係を分かりやすく説明してほしい。どのような「政治的行為」が憲法改正国民投票では許されることになるのか。
  • 本改正案附則4項には、「組織により行われる勧誘運動、署名運動及び示威運動の公務員による企画、主宰及び指導並びにこれらに類する行為に対する規制の在り方について検討を加える」とあるが、この趣旨はどのようなものか。
  • 憲法改正国民投票に際して、特定の政党や内閣に対する支持・反対をあわせた内容のビラを配り、デモを先導し、署名運動を行った場合は本改正案ではどうなるか。

<発言>

  • 本改正案は憲法96条に定める改正手続を整備する法案であるが、単なる手続法ではない。憲法について直接意思を表明する機会を奪われていた国民にようやくその意思を表明する手続を整備するもので、早期の成立を願う。

長妻 昭君(民主)

<発言>

  • 本改正案の成立によって、はじめて現実に憲法改正国民投票が実施できることとなる。すなわち、「憲法改正」が現実的な政治テーマとなることを意味するものであり、その意味において日本人の憲法観を変える画期的な法案と評価し得るものである。
  • これまでは憲法を議論しても変えられない、変わらないという発想があった部分もある。その意味ではパラダイムが大きく変わって、憲法は、国会が意思を持てば変えることができる、手続も整ったということである。
  • スケジュール的な話をすれば、本改正案は6月には成立する見込みだと思っている。仮に今年の6月末に憲法改正の発議をすれば、最短で9月初めには国民投票ができることになる。

<提出者に対して>

  • 安倍政権は、憲法改正の手続が整うにも関わらず、従来憲法9条によって否定されてきた集団的自衛権の行使を、憲法改正ではなく憲法解釈の変更によって容認しようとしている。本改正案が6月中には成立する見込みであるという前提に立った上で、集団的自衛権行使容認について、憲法改正と解釈変更のどちらが適切と考えるか、あわせてその理由も示されたい。
  • 憲法改正の発議をする前に、国会でどの程度の時間をかけて審議・議論すべきと考えるか。それは、テーマによって異なるというのならば、集団的自衛権についてであればどうか。

西野 弘一君(維新)

<発言>

  • 現行憲法の制定から70年経っても改正手続法が整備されていなかったが、我が党が昨年5月、独自に国民投票法改正案を提出したことがきっかけとなり、今回の共同提出に至ったと自負している。

<提出者に対して>

  • 本改正案が成立すれば、他の法整備が遅れても憲法改正のための国民投票が実施できる環境が整うのか。
  • 公務員の国民投票運動に対して、一定の制限が必要と考える理由を伺いたい。また、民主党は、同運動についてできるだけ自由にすべきと主張しているが、その理由を伺いたい。
  • 政治参画する権利と政治に関する判断能力は別々に考えるべきであり、投票権年齢が他の年齢よりも先行して引き下がることには問題はないと考える。2年以内の選挙権年齢引下げを目指した各党間のプロジェクトチーム設置について合意されているが、その準備状況を伺いたい。

<発言>

  • 我が党は結党から1年半であるが、党憲法調査会を25回も開催し、独自の憲法改正草案を発表できるように準備を進めている。国民投票法改正案が成立したからといって、議論を休憩させるのではなく、憲法審査会において引き続き憲法議論を進めるようお願いしたい。

斉藤 鉄夫君(公明)

<提出者に対して>

  • 今回、この改正案を7党共同で提出できたこと、また、8党で確認書を交わすことができたことの意義は非常に大きいと思うが、提出者の見解を伺いたい。
  • 今回、改正案を提出するに当たって、選挙権年齢については、改正法施行後2年以内に18歳に引き下げることを目指し、各党間でプロジェクトチームを設置することが合意された。この各党合意に従い、選挙権年齢が引き下げられた場合、公職選挙法の選挙権年齢と民法の成年年齢との間にズレが生じることも想定される。これについて、憲法上は問題ないと考えるが、提出者の見解を確認する。
  • 各党合意にある選挙権年齢の引下げに係る各党間プロジェクトチームの構成について、例えば実効性を期すために、憲法担当者だけでなく、選挙部会・総務部会担当者も加えるなど、提出者において現段階でのメンバー構成について考えはあるか。
  • 投票権者や選挙権者の年齢要件を18歳以上とした場合、同じ高校3年生で投票権・選挙権の有無が生じるが、教育現場が混乱するのではないかという意見があるがどう考えるか。
  • 改正法附則4項の組織的な勧誘運動の公務員による企画等に関する検討条項について、万が一必要な法制上の措置がなされない場合でも憲法改正国民投票は実施できるのか確認したい。
  • この改正案が成立すると、憲法改正案が発議できることとなり、国民投票の土俵が整うことになるが、今後どのように憲法論議を進めていきたいと考えているか。
  • 現行法の国会質疑の際、国民投票の仕方については、「憲法案文全体について賛否を問うのではなく、一つ一つの項目、若しくはまとまりのある条文について賛否の投票を行う、1回の投票において、多くて3〜4項目」ということを確認したが、改めてこのような投票方法であることを確認する。

中島 克仁君(みんな)

<提出者に対して>

  • 選挙権年齢の18歳引下げについて、提案者としてどう考えるか。
  • 民法の成年年齢の18歳引下げについては、どう考えるか。
  • 成年年齢を引き下げると、それまで未成年として取り扱われてきた者の保護に欠けるという指摘もあるが、その点についてどのように考えるか。
  • 政府の中でも、法務省は特に成年年齢引下げに消極的な見解を示しているようであるが、この点についてどう考えるか。
  • 参考人の意見の中には、兵役の義務と参政権とがセットとして扱われてきたという意見もあったが、参政権とセットとして認識すべきはどのような義務と考えるか。
  • 民法の成年年齢及び少年法の適用対象年齢が20歳のままでも、投票権年齢を18歳へ引き下げるべきと考えるか。
  • 成年年齢や選挙権年齢が18歳に引き下げられることとなると、教育現場の混乱等も危惧される。また、昨今国政選挙や地方選挙の投票率が低下しており、やはり政治参加に関する教育の重要性が高まってくると考えるが、今後どうあるべきか、見解を伺う。

<発言>

  • 政治誘導という意味ではなく、昨今の低投票率を解決するため、我が党は政治参加教育の推進のための議員立法を提出したいと考えている。

<提出者に対して>

  • 中学校、高等学校において、学生に生の政治に触れさせることと、政治的に偏った教育を行うことを分けることは可能と考えるか。
  • 公務員や教育者による「国民投票運動での地位利用」について、罰則を設けるべきではないかとの見解についてどう考えるか。

椎名 毅君(結い)

<提出者に対して>

  • 我が党は、若年層の権利を確保していくために18歳に関する経過措置規定を早急に削除すべきと考えているが、本改正案では、100条の2で公務員の政治的行為の制限に対する重大な例外が設けられる一方、18歳投票権については相変わらず4年先送りとされている。なぜ若年層への投票権の緩和をせず、公務員の国民投票運動だけ緩和したのか。特に、公務員の政治的活動の自由と国民投票運動の自由とを明確に分けて規定した理由は何か、諸外国の法制も含めて教えていただきたい。
  • 教育公務員が学校の施設を使用して事実上の選挙運動を行っている例も散見されるところだが、現行法103条2項の地位利用禁止と改正案100条の2との適用関係を確認したい。教育公務員は、「影響力又は便益を利用しない国民投票運動」なら行い得るという意味か。
  • 例えば、教育者が学校のファックスを使って国民投票に関する勧誘行為を行ったり、教員間の打ち合わせと称して国民投票に関する勧誘行為を行うことは否定されるという理解でよいか。また、本改正案により4年後に投票権年齢が18歳に引き下げられた場合、教育公務員が授業又は授業外の活動を通じて18歳の高校生に対して国民投票に関する勧誘行為を行うことは否定されるという理解でよいか。
  • 教育者などの地位利用については、罰則を設けるべきであると考える。この点に関しての所見と、地位利用に対する罰則についての検討の方向性について意見をいただきたい。
  • 選挙権年齢等の引下げについては「国民投票の投票権を有する者の年齢と選挙権を有する者の年齢との均衡等を勘案し」と規定されているが、選挙権年齢を引き下げるという意味だと考えてよいか。投票権年齢を20歳にしようという方向で「均衡を勘案」されるということが懸念されるため、確認したい。

<発言>

  • 国際的に見ても、選挙権年齢と投票権年齢を18歳に設定するのがスタンダードである。若年層の権利を保障するためにも、18歳にしていくことが重要であり、可及的速やかに選挙権年齢を18歳に引き下げるという対応をしていただきたい。

笠井 亮君(共産)

<提出者に対して>

  • 枝野議員は2014年4月17日の憲法審査会で、本改定案では4年後に自動的に選挙権年齢と成年年齢が18歳となると述べていたがその趣旨如何。
  • 現行法審議の際に、国民投票は人を選ぶ選挙とは異なるのだから、できるだけ多くの国民が国民投票に関わることができるようにすべきだという議論があったが、この考えは変わっていないのか。
  • 年齢問題全体における成年年齢の位置付けや、成年年齢、選挙権年齢、投票権年齢の関係について現行法の提出者は、どのような説明をしていたか。

<発言>

  • 7年前の議論では、選挙権年齢は成年年齢に合わせて定められたという経過があるので、成年年齢に合わせて選挙権年齢、投票権年齢を定める方が国民に理解を得ることができるという意見があった。しかし、それでは政府の検討というハードルがあるので、(年齢引下げは)順次と、考え方が変わってきているのではないか。

<提出者に対して>

  • 現行法では、選挙権年齢等の引下げは投票権年齢引下げの前提であったはずなのに、なぜ本改定案では投票権年齢と選挙権年齢の引下げのリンクを外すことができるのか。
  • 本改定案では成年年齢の扱いが明らかに後退している。本改定案における成年年齢等に対する考え方は現行法と変わったのか。
  • 現行法では、年齢条項引下げ等は法施行後3年以内と期限を区切っていたのに、本改定案ではなぜ期限を定めなかったのか。確認書に「選挙権年齢の引下げは2年後に」とあるのに、なぜ改定案に盛り込まなかったのか。

<発言>

  • 現行法は3年以内という年限を決めながら、法制上の措置ができなかったため、手続法を動かすことができなかった。本改定案では、年齢条項に関する考え方を変えて、法制上の措置を講ずることが出来なかったとしても、手続法を動かすことができるようにした。これは、改憲先にありきの御都合主義ではないか。

<提出者に対して>

  • 裁判官等の4職種の国民投票運動を禁止する理由として、前回の質疑で北側議員は国民投票運動を直接取り締まるあるいはこれをジャッジする者であるからと述べていたが、これは現行法制定時にも分かっていたことではないか。2007年の併合修正案では禁止の対象ではなくなったことをどう説明するのか。
  • 裁判官等の4職種の国民投票運動を禁止することは「より多くの国民が国民投票に関わることができるように」との趣旨を根本的に変えるということではないか。
  • 枝野議員はかつての民主党案では特定公務員の項目が入っていなかったにもかかわらず、前回の憲法審査会で特定公務員の範囲が拡大されたことを評価すると述べていたが、なぜ評価できるのか。
  • 本改定案100条の2について、公務員も、純粋の勧誘や意見表明に限ってできるとされているが、これは「純粋な」という点で現行法でもできるという理解でよいか。そうだとすると、国家公務員については新たな措置をとっていないということか。

<発言>

  • 国家公務員について新たな措置を講じず、地方公務員も「公の投票」の部分から国民投票を外すだけで、国民投票運動の自由が広がったというのは誇大ではないか。

<提出者に対して>

  • 7年前の民主党案では、国民投票において国家公務員の規制は全面適用除外とされていたのに、地方公務員だけを外すとした本改定案になぜ賛同できるのか。
  • 2007年に枝野議員は、公務の中立性については、職務専念義務や信用失墜の規定で対処できると述べ、現行法附則11条を批判していたが、今日はそれらで対処出来なくなったということか。
  • 本改定案の附則4項のように、公務員の組織を使った活動の規制を規定した法律は他にあるのか。ないのであれば、改憲手続法に他の法律に見られない、国民の権利に規制を加えることになる。そのような検討はやめるべきではないか。
  • 2007年に枝野議員は、現行法附則11条に関して公務員の政治活動の自由に関する根幹部分を先送りすることは論理的に成り立たないと述べていたが、本改定案も「組織」の部分は検討条項として先送りされており、これでは議論が尽くされたとは言えないのではないか。

小宮山 泰子君(生活)

<発言>

  • 年齢引下げについて、我が党は年限を区切って法制上の措置を講ずるべきと主張してきた。その結果、附則には年限を明記できなかったが、選挙権年齢については、2年以内の引下げを目指して各党間でプロジェクトチームを設置すること等が8党合意に盛り込まれた。

<提出者に対して>

  • 先日の参考人の意見に対する所見とともに、選挙権年齢等の引下げに係る今後の議論の進め方及び年齢引下げの効果について提出者の考えを伺いたい。
  • 公務員の政治的行為について、我が党の主張を受け、「国民投票運動を行う公務員に萎縮的効果を与えないように政府に配慮を求める」旨が8党合意に盛り込まれた。これに対しては、参考人から不安視する意見もあったが、この合意の趣旨を確認したい。

<発言>

  • 国民主権の下、国民一人一人が自分の意思で考え、行動することが制限されないよう、国民投票運動を行うに当たっては、萎縮的効果を与えないようにされるべきだと考えており、この合意は意義深いものである。

<提出者に対して>

  • 一般的国民投票制度の導入について、我が党は憲法改正以外の国民投票について、より前向きな検討条項を置くことを主張し、このことは、改正法附則に改めて規定し直されている。この再規定の理由及び同制度導入に向けた具体的な議論の進め方を伺いたい。

<発言>

  • 先日の本会議で自民党若手議員から「忙しい官房長官を呼びつけて何事だ」という趣旨の不規則発言があった。このことは、憲法63条の趣旨に照らしても残念であり、遺憾の意を表明する。