平成29年6月1日(木)(第7回)

◎会議に付した案件

日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する件(新しい人権等)

参考人宍戸常寿君、三木由希子君、小山剛君及び小林雅之君から意見を聴取した後、質疑を行った。

(参考人)

東京大学大学院法学政治学研究科教授                      宍戸 常寿君

特定非営利活動法人情報公開クリアリングハウス理事長            三木 由希子君

慶應義塾大学法学部教授                            小山 剛君

東京大学大学総合教育研究センター教授                     小林 雅之君

(参考人に対する質疑者)

船田 元君(自民)

後藤 祐一君(民進)

斉藤 鉄夫君(公明)

赤嶺 政賢君(共産)

足立 康史君(維新)

照屋 寛徳君(社民)

◎宍戸常寿参考人の意見陳述の概要

1.新しい人権の概念

  • 基本的人権とは、個人にとって不可欠で公正な社会の維持発展に重要な権利自由の総体であり、3章は、憲法制定時にそのような人権として必要とされた表現の自由や生存権などを列挙している。  
  • その後の社会変化により基本的人権にふさわしい権利自由が登場した場合は、憲法への追加が考えられるが、法律レベルで、更には裁判所の解釈により憲法レベルで、新しい人権を実現することも可能である。その根拠が13条後段の幸福追求権であり、プライバシーはそのような新しい人権の代表である。

2.プライバシーの概念

  • プライバシー権は、「ひとりで放っておいてもらう権利」として19世紀末のアメリカで主張され、現在では167の国の憲法や人権法で明文で保障されている。他方、アメリカやカナダのように、私生活の保護に関係する規定の解釈でプライバシーを実質的に保障する憲法も存在する。日本国憲法もその一つである。  
  • プライバシー権は、現代では、他人に私生活を暴かれないという消極的な保障を超えて、より積極的な「自己情報コントロール権」として理解されており、個人が誰にどの情報をどの程度まで開示し、その利用を許すかを決めることを通じて有意義な人間関係を結ぶために不可欠な「絆としてのプライバシー」でもある。

3.憲法上のプライバシー

  • 基本的人権は、国家権力の限界を守るよう個人が国家に要求する防御権であり、最高裁は、憲法上プライバシーを肯定しつつ、情報の性質と公権力がそれを取得する必要性等とを衡量してきた。平成20年の最高裁判決は、情報ネットワークシステムが構築される中、プライバシーを適正に取り扱う構造がハード・ソフトの両面で確保されることを憲法上要求するものと言える。  
  • 世界的な傾向として、安全を名目としてプライバシーを安易に侵害するのではなく、両者の最適な実現を図るギリギリの模索が続けられていることを強調したい。安全とプライバシーを多層的に調整することは、立法府の責務である。

4.個人情報保護法とプライバシー

  • 憲法上のプライバシーは、国家権力を制限するとともに、他人の侵害から個人を守る責務を国家に負わせる。私人間でのプライバシーの実現について、我が国の個人情報保護法は、個人情報の有用性も踏まえつつ保護と利活用のバランスを図っている。  
  • 我が国でも、プライバシーとデータ流通の自由を対抗的に捉えるのではなく、本人の実効的なコントロールの確保を通じて、安心してデータを流通させるためのルールが求められている。他方、プロファイリングは誤った評価による差別等の可能性もあるが、直ちに禁止すべきというのではなく、社会的な差別の禁止も含めた検討が求められる。

5.私法上のプライバシー

  • 私人間のプライバシー、特に表現の自由との調整は、昭和39年の宴のあと事件以来、裁判例が積み重ねられてきた。本年1月の最高裁決定では、検索エンジンは情報を媒介するにとどまらず、検索結果を表示するという表現行為をしているとし、プライバシーの利益が上回ることが明らかな場合に削除を認めるとした。この判決には様々な読み方があり、今後の運用や事業者の自主的取組も慎重に見守る必要がある。  
  • プライバシーの保護が、民主主義社会の血液である公共的な議論を狭めることのないよう、問題となる情報ごとの丁寧な議論が必要である。

6.憲法改正とプライバシー

  • 憲法改正の要否それ自体を自己目的化せず、何をどこまで具体的に実現するか、しないかを意識しなければならない。プライバシーの概念は複雑で流動的であるから、とりわけ丁寧な整理が必要である。私生活の平穏の権利とデータ保護の権利を分けて独立に規定することも考えられる。  
  • 憲法上の基本的人権であるプライバシー権は、第一次的には国家権力を限界付け制限するものであり、通信の秘密等も併せて見直す必要がある。また、プライバシーを上回る公益実現のために必要最小限度の制限が許され、そうでなければ違憲であることを明確にする「制限の制限」を織り込むべきである。  
  • 国民の権利自由について国民の代表者が関心を持ち、その制限の妥当性を判断し国民に説明することは、立憲主義の要諦である。国会は、安全とプライバシーをどのように両立させるのか、そのために憲法以外の法令による対応も含め、憲法改正が必要か、どのように改正するのかについて、基本的な事実関係を広く調査・検討すべきである。

◎三木由希子参考人の意見陳述の概要

1.国際的枠組みにおける「知る権利」の位置付け

  • 市民権規約等の国際的枠組みにおいては、表現の自由の中に「情報を受ける権利(知る権利)」を含むことは共通認識である。  
  • 国際社会で主な関心となっているのは、「情報への権利」と公益との比較衡量である。  
  • 「情報を受ける権利」を実現するものとして情報公開法制が世界各国で整備されている。

2.日本における「知る権利」の位置付け

  • 日本では、情報公開条例が1982年に制定されたのが最初であり、「知る権利」の保障や尊重を目的に位置付けた条例もある。  
  • 国では、1995年に情報公開法制の検討に当たり、「知る権利」は規定しない代わりに、「国民主権の理念にのっとり」という表現を用いて、憲法の理念を実現したものとして情報公開制度を位置付けた。しかし、利用者側は、政府の説明責任を求めるよりも自らの知る権利を実現することを目的とするのが現状であり、立法趣旨と利用者の意識は必ずしも一致していない。  
  • 2011年の改正情報公開法案では、開示請求権だけでなく情報提供を含めて広く「知る権利」として位置付けた。  
  • これまでは、「知る権利」を新しい権利として憲法に規定すべきという議論ではなく、21条の表現の自由を中心に現行憲法において「知る権利」が保障されていることを前提とした議論がなされ、法制化されてきている。

3.開示請求権としての「知る権利」の現在

  • 情報を得ることが最終目的ではない。主権者として、政府等が何をしているかを知ることを通じて、より良い選択をするのが「知る権利」の基本にあり、その先により良い社会の実現がなければならない。  
  • 知りたい情報と知ることができる情報には乖離がある。国民の側からは、結果よりもプロセスに関心が及ぶことが多い。  
  • 不開示情報の決定は、常に客観的・合理的になされているわけではないので、「知る権利」が情報公開法に明記されることにより、開示請求権をより具体的に保障するような解釈運用の指針となるという一面もある。  
  • 開示請求権の保障は「機会保障」的であり、請求権を行使しないと情報公開が進まないという限界がある。結果的に情報公開請求をした人の「知る権利」は満たされるが、一般的な「知る権利」が満たされる仕組みになっていない。  
  • 「知る権利」が開示請求権に限定されると、「知る権利」が具体的に保障される一方で、請求した人にしか「知る権利」が保障されないことになる。開示請求権の保障とともに義務的に情報を公開させていく仕組みがなければ消極的な権利保障にとどまるため、政策的展開が必要である。

4.開示請求権制度から見た「知る権利」の前提

  • 開示請求権が実質を備えるためには、情報公開を前提とした政府運営への転換・改革が不可欠である。  
  • 開示請求権や「知る権利」の前提として、公文書が作成・取得されていなければならない。  
  • 活動に関する記録を作成・管理する組織に転換することは、適正な行政運営に前向きに取り組むことでもある。記録がないと行政組織の正当性を証明する手段がない。記録を通じて判断材料を示すことや説明責任を果たすことが求められる。

5.非公開、秘密保護などとの関係

  • 非公開や秘密保護は、政府がアカウンタビリティを回避し、「知る権利」を制約している状態であるため、政府が信頼できることが前提となる。  
  • 非公開・秘密保護と「知る権利」の調整は重要であり、「知る権利」の保障においては、活動の監視あるいは監視活動の検証結果についての積極的な情報公開が必要となってくる。

6.「知る権利」と憲法改正

  • 「知る権利」の法的性格は複合的であり、国会や司法を対象とするかなど、「知る権利」の保障の範囲の議論が重要である。また、「知る権利」によって何を達成・実現するのかについて十分な議論が必要である。

◎小山剛参考人の意見陳述の概要

1.はじめに

  • 本日は、環境権を憲法に明文化することに意味があるかには立ち入らず、環境権を明文化する場合には、どのような体裁の条項が考えられるかについて話したい。  
  • 環境条項の書き方には、複数の方法(権利、国民の責務、国家の責務)及びその組み合わせがあり、また、どれだけ詳しく書くかという問題がある。

2.条項の書き方

  • 諸外国の環境条項の例として、「国民の権利」と「国民の責務」を組み合わせて規定するブルガリア憲法55条、「国家の責務」として規定するドイツ基本法20a条などがある。  
  • 日本国憲法には、@「権利」規定として、国は権利を制限してはならないとする規定(21条1項など)と国に作為を求める権利を有するとする規定(25条1項など)、A「国民の責務」規定(27条1項など)、B「国家の責務」規定類似のもの(25条2項など)が見られる。

3.環境権及び国民の責務条項の限界

  • 現行憲法の解釈として、良好な自然環境を享受する権利としての「環境権」は、13条及び25条によって基礎付け得るとの肯定論が通説である。  
  • 他方、「保護される環境・権利主体の範囲などが不明確であり、裁判で使い物にならない」、「保護対象の環境自体は特定の権利主体に帰属しない一種の公共財であり、理念的主張にとどまる」と批判する消極論も有力である。この批判は、憲法で環境権を明文化した場合にも妥当するのではないか。  
  • 「国民の責務」を書くことについて、国民の日常活動も環境汚染の原因の一つであるとして必要性を説く肯定論がある一方、「勤労の義務」と同様、理念的で実践的意義を持たないのではないかとする消極論がある。

4.国の責務(国家目標規定)

  • 「国家目標規定」は、「市民に権利を与えることなく、国家権力を特定の目標の遂行に向けて法的拘束力をもって義務付ける憲法規範」と定義される。政治的・道義的責任が生ずるに過ぎないプログラム規定と異なり法的拘束力があるため、憲法違反にもなり得る。利点は、@環境保護立法を促進し得る、A行政の環境保護政策を推進する、B国家の環境保全義務を根拠付けることにある。  
  • 他方、国家活動の目標や方向を指し示すにすぎないため、立法による具体化が必要となる。立法府には、手段の選択だけでなく、目標の具体化にも広い裁量の余地が認められるため、違憲となるのは、完全な立法不作為や明らかに不十分な立法など極めて例外的な場合に限られる。  
  • 今の日本では、環境法体系が整備されており、違憲となる場合を観念するのは難しいのではないか。  
  • 「国家目標規定」と「権利規定」には、互換性がある。仮に「権利」という形で書いても、「国家目標規定」として解釈される例があり、その逆もある。例えば最高裁は、生存権規定を「国家目標規定」的に解釈している。条文の書き方はあくまで目安である。

5.詳細な規定と簡潔な規定

  • ドイツのブランデンブルク州憲法は、環境について詳細な規定を持つ。39条1項は「国の責務」と「国民の責務」を、2項は「国民の権利」を規定し、4項は国の環境政策に注文を付けている。目新しいのは8項で、団体訴訟の許容と環境団体の行政手続参加権を規定し、一定の意味がある。  
  • スイス連邦憲法には、「環境」という言葉は10カ所以上出てくるが、2条にスイス連邦の目的として簡潔な規定を置く。  
  • スロヴァキア憲法は、44条1項で環境権を、2項で国民の責務を、4項で国の責務を規定する。5項で「詳細は、法律でこれを定める」とし、結局は法律がないと回らないということになっている。  
  • 憲法で環境について書く場合、併せてどのような法律を整備するかによって、環境保護の実効性は変わる。憲法だけで片付く問題ではない。  
  • いかなる憲法典を望むのかを自覚的に検討することが必要である。  
  • 日本国憲法は、簡潔な憲法である。裁判所の解釈や立法の余地が極めて大きく、その結果、憲法が長持ちするという長所がある。他方、憲法の実効性が裁判所や立法府に委ねられているとも言えるのではないか。

◎小林雅之参考人の意見陳述の概要

1.教育費の負担論

  • 教育費の負担の主体は、公、親、子の3者に大別される。  
  • 教育費の負担方法は、国によって考え方が異なる。スウェーデン等の北欧諸国、ドイツ、フランスは「公的負担」であり、無償原則をとっている。日本や韓国は家族主義で、「親負担」の考え方が強い。アメリカやオーストラリア、近年のイギリスは「本人負担」で、ローンを組んで卒業後に本人が返済する個人主義的な考え方である。

2.教育費の公的負担の根拠

  • 教育の機会均等という公正の理念は実現すべき理念であり、教育費の公的負担の根拠となっているが、世論は教育の格差是正にあまり関心がなく、これだけでは公的負担の説得力のある根拠になりにくい。むしろ、教育の社会経済的効果、格差是正における教育の重要性、人材の浪費の是正、教育の外部効果、少子化の是正等の方が根拠となり得る。

3.教育の社会経済的効果とそのエビデンスを提示する意義

  • 教育によるスキル・技術の向上により生産性が向上することで、個人所得が増加し、社会全体も経済成長する。さらに、教育による所得再分配により経済的格差が縮小し、これが次世代の教育格差の縮小につながるという循環が生まれる。  
  • しかし、教育の社会経済的効果が認められるとしても、教育を受けられない者が存在する「教育格差」があれば、結果として、教育を受けた者と受けられない者で格差が生じる。そのため教育を受ける機会の均等が重要であり、その実現のために教育費の公的負担が必要となる。  
  • 義務教育では教育の外部効果が大きいが、高等教育では小さい。これは、義務教育が無償となっている根拠でもある。一方、高等教育の効果についても、一人当たり約350万円の便益があることを示す試算がある。  
  • また、高卒者が大卒者になることで、生涯に支払う税金が増加するという情報提供をしたところ、大学教育にかかる費用を社会が負担することについて、7%支持が増加したとの例がある。このように、エビデンスを示すことで世論を少しは動かすことができる。

4.教育の無償化とクリアすべき問題

  • 授業料無償にはクリアすべき問題が多い。まず、教育による所得増と経済成長と格差の是正の真偽や授業料無償による家計の消費拡大の真偽、現在の授業料無償や公的補助が低所得層の非大学生から高所得層出身の大学生への所得の逆進的再配分となることへの懸念、もともとの進学希望者にも補助するため格差是正効果が限定的になるとの懸念、といった問題が挙げられる。また、低所得層の進学のためには、授業料無償では不十分で生活費や放棄所得分の補助も必要である。その他、無償化した場合、「税金で教育を受ける」という意識が持てるのかという問題がある。  
  • さらに、公的補助が増えない場合、質が高くないとされている日本の高等教育の現状が固定化するおそれがある。教育再生実行会議による約5兆円の教育投資の提言も未だ実現しておらず、実現した給付型奨学金は数百億円規模という中で、高等教育の無償化は数兆円を必要とするものであり、予算の桁が違う。財源が非常に大きな問題である。また、補助により政府のコントロールが強化する懸念も指摘されている。

5.まとめ(政策的インプリケーション)

  • 日本では教育費の親負担主義が支持されており、憲法改正で高等教育を無償化しようとしても、現状では世論の支持がなく、国民投票で否決される可能性がある。この場合、実質的な無償化は更に遠のく危険性があり、更に検討する必要がある。  
  • 教育の社会経済的効果や外部効果のエビデンスを提示することで、世論も変化する可能性がある。私立大学も無償であるスウェーデンにおいて、教育の家族責任主義から社会責任へ制度転換されたのも昔の話ではない。無償化には山積するこうした問題をクリアする必要がある。

◎参考人に対する質疑者及び主な質疑事項等

船田 元君(自民)

<宍戸参考人に対して>

  • ある男性が、検索エンジンの結果に過去の犯罪歴が出ており、公の利益を超えて個人の利益が侵害されていると訴えた事件で、今年1月、最高裁は、「忘れられる権利」に言及しなかったものの、事実を公表されない法益が情報を検索結果として提供する理由に優越する場合は削除できるとの見解を示した。この見解への評価を伺いたい。  
  • 時の経過とともに「忘れられる権利」は強くなるとの指摘への見解を伺いたい。  
  • 「忘れられる権利」は、EU基本権憲章を参考に何らかの立法措置や憲法の規定を置いた方がよいとの指摘への見解を伺いたい。

<三木参考人に対して>

  • 国会の文書、特に議員立法の過程の資料等を公開することは大事であると考えるが、このような文書を公開するとき、どのような基準、条件を付すべきか。  
  • 新設される国立公文書館が果たす役割について伺いたい。

<小山参考人に対して>

  • 環境権は、憲法に明記すべきと考える。環境権の規定の仕方として、国民の権利・義務とすることや、国家の責務・国家目標とすることが考えられるが、どのような規定の仕方が望ましいか。

<小林参考人に対して>

  • 先ほど、教育無償化を憲法に規定するならばプログラム規定とし、後に財源を補強していくのが大事である旨伺ったが、その点についてもう少し説明願う。

後藤 祐一君(民進)

<小山参考人に対して>

  • 環境基本法には将来世代に対する責任や生物多様性といった憲法13条や25条でカバーしきれないことが規定されており、これを憲法に位置付けた上で国の責務とするべきと考えるが、いかがか。  
  • 25条2項の「公衆衛生」は現代ではやや狭い。これを「環境」に広げる改正について、どう考えるか。  
  • 環境条項が憲法に置かれた場合の立法や世論に与える影響について、どう考えるか。

<小林参考人に対して>

  • 小林参考人は教育無償化に否定的と感じたが、憲法に「経済的理由によって教育を受ける権利が奪われない」と書き込むことについてはどう評価するか。また、これは教育に対する財政支出を増加させる根拠となるか。

<宍戸参考人に対して>

  • EUは情報の第三国への移転に際し、EUと同等の保護水準を求めており、プライバシーの保護を国家目標の形で憲法に規定することは安全を確保する上でも必要と考えるが、いかがか。また、個人情報を保護される権利を明記することによって、プライバシー保護と安全を両立する上でプラスの側面があると考えるが、いかがか。

<三木参考人及び宍戸参考人に対して>

  • 知る権利を憲法に明記することによって、不開示理由を狭める情報公開法の改正や保存期間1年未満の文書の廃棄を禁ずる公文書管理法の改正といった立法が進むか。

<発言>

  • 同性婚や犯罪被害者の人権の問題についても、検討の余地がある。

斉藤 鉄夫君(公明)

<宍戸参考人に対して>

  • 新しい人権を憲法に加えることについて、どのように考えるか。

<小山参考人及び宍戸参考人に対して>

  • 海外調査の際、リスボン大学のゴメス助教授は「憲法に環境問題について書くとすれば、義務だけでよい」と指摘され、小山参考人も「国家目標規定」の形式が望ましいと主張されたが、この点について意見を伺いたい。  
  • 環境の概念は、人間も生態系の中の一部であるという考え方へ変化してきた。このような考え方を含めた環境権について、今後どのように議論していくべきか。

<小林参考人に対して>

  • 高校無償化については、社会全体で負担する前提は成り立っていると思うが、大学に進学しない若者が約半数いる中で、大学における教育費用を社会全体で負担するということは、果たして成立するのか。我が党では、一人一人に着目して支援する方が現実的ではないかという意見が強いが、この点について意見を伺いたい。

<三木参考人に対して>

  • 今年3月、令状なしのGPS捜査を違法とするプライバシー重視の判決が示された。一方で、今年1月、最高裁はインターネット検索サイトで過去の逮捕歴の削除を認めず、プライバシーよりも国民の知る権利に重点を置いた判決が下されたように思う。この二つの最高裁判決をどのように考えるか。

赤嶺 政賢君(共産)

<宍戸参考人及び小山参考人に対して>

  • 憲法尊重擁護義務を負う現職の首相による改憲の期限や具体的項目への言及、さらに、自衛隊明記の必要性について多くの憲法学者等の中には自衛隊を違憲とする議論が今なお存在しているとした発言について、どう考えるか。  
  • 安保法制の下で集団的自衛権の行使が可能となった自衛隊を憲法に明記することになれば、日本社会の軍事化が進むと懸念するが、この点についてどう考えるか。
 

<三木参考人に対して>

  • 森友学園問題、加計学園問題、南スーダンPKO日報問題などがあったが、安倍政権下における一連の公文書の取扱いについて、どう考えるか。

<小林参考人に対して>

  • 9条改正の手段として教育無償化が使われようとしているとの疑念を持つが、現状についてどう考えるか。
   

足立 康史君(維新)

<小林参考人に対して>

  • 小林参考人は、教育無償化を憲法に規定することへの賛否ではなく、無償化自体の困難性を説明したという理解でよいか。  
  • 日本の教育費の親負担から本人負担への移行は、個人主義を積極的に選び取ったというより、家族主義が壊れていく中でやむなく個人が負担を背負っているのではないか。

<発言>

  • 日本維新の会は、日本が福祉国家主義になるべきとは考えておらず、社会保険制度を支えていくためにも経済成長、子どもの貧困対策、少子化対策が必要という考えから教育無償化を提案している。

<小林参考人に対して>

  • 教育無償化は逆進的再配分となるという論点提起があったが、財源を資産形成に成功した高齢世代に求めれば、世代間格差の解消にもつながると考えるが、いかがか。  
  • 放棄所得の指摘については、個人で大学進学の問題を乗り越えるのは困難であることを示しており、逆に無償化をしなければならない理由となり得るのではないか。  
  • 教育無償化は大学の様々な問題の固定化を招くとの意見もあるが、教育機関ではなく利用者を援助することで、教育機関が質を高めるインセンティブを与えることができる。無償化=固定化ではないと考えるがいかがか。  
  • シルバー民主主義と言われる中で、国会が教育への財政支出を大幅に増やすことはできない。むしろ憲法改正の国民投票で国民が政府を縛る形で教育の構造改革を行うのがよいと考えるがいかがか。

照屋 寛徳君(社民)

<宍戸参考人に対して>

  • プライバシー権は13条の幸福追求権と人格権などによって憲法上の権利として確立しており、新しい人権の一つとして明文化する必要はないと考えるが、いかがか。  
  • 自民党憲法改正草案19条の2は、プライバシー権の保障に資するための改憲案ではなく、国民に個人情報不当取得等の禁止義務を課すものと考えるが、いかがか。

<三木参考人に対して>

  • 知る権利は憲法に明文規定がなくとも21条などを根拠に認めることができると考えるが、いかがか。  
  • 個人情報保護法が改正され、個人情報保護を理由に一層匿名社会が進み、取材・報道の自由、国民の知る権利が損なわれるのではないかとする日本新聞協会の声明に対する意見を伺いたい。

<小林参考人に対して>

  • 高等教育無償化は、法律の制定と予算処置で可能と考えるが、いかがか。  
  • 高等教育無償化の改憲を必要とする世論は高いと思うか。  
  • 高等教育無償化実現のためクリアすべき政策課題にはどのようなものがあるか。

<発言>

  • 沖縄では憲法法体系に優先する安保法体系や日米地位協定により、膨大な米軍基地が大気や地下水を汚染し、爆音により県民の環境が重大に阻害されている。