◎会議に付した案件
日本国憲法に関する件(21世紀の日本のあるべき姿)
上記の件について参考人市村真一君から意見を聴取した後、質疑を行った。
(参考人)
財団法人国際東アジア研究センター所長 市村 真一君
(市村真一参考人に対する質疑者)
◎市村真一参考人の意見陳述の要点
1.世界の地政学的構造(世界の中の日本を見る基本的な視点)
- 「大陸国家」と「海洋国家」の区別と「中核国家」と「周辺国家」の区別が重要である。
- 我が国の国家戦略として、東アジア国家群を束ねて、米国と同盟しつつ、大陸国家中国及びロシアと友好的に対峙しながら、海洋国家諸国の経済・社会・文化の発展を図っていくべきである。
2.世界の三極(北米、西欧、東アジア)構造:東アジア地域統合に我が国が果たす役割
- 中国とのバランスに配慮しつつ、東アジア全体の発展を図り、世界の三極の一つとして東アジア経済圏ないし西太平洋経済圏を作り上げるべきである。
3.核保有国対非核保有国のバランスと核軍縮対核拡散防止条約
- 21世紀におけるエネルギー問題の重要性と我が国のエネルギー安全保障政策
- 地域紛争に起因する核戦争の脅威とそれに備えるための我が国の対応(非核三原則の再検討)
4.先進民族と日本の少子化と道徳頽廃
- 先進国の人口減少及び低開発国での人口爆発並びに世界各国で、今後、進展する人口の老齢化
- 我が国が直面する少子化と道徳頽廃
5.少子化対策の鍵−家庭と地域社会
- 問題解決の鍵:「家族」及び「コミュニティ」
- 我が国の教育改革の必要性
6.アメリカの混迷と中国の混乱の可能性
- 米国の衰退、中国の混乱が予想される中で、我が国が国連の安保理常任理事国入りを果たすべきである。
7.21世紀の世界と日本と日本国憲法
- 政治・経済・社会の体制整備とそのための憲法改正の必要性
- 日本の歴史と伝統にふさわしい国家基本構造の明示
◎市村真一参考人に対する質疑者及び主な質疑事項等
鳩山 邦夫君(自民)
- 参考人は、憲法改正をすべきとの考えだが、いつ頃を目途として行うべきと考えるか。
- 憲法前文の「諸国民の公正と信義に信頼して、……名誉ある地位を占めたいと思う」という文言は、自らは何もせず、他国に任せるという考えと解されるので、これを改めるべきと思うが、いかがか。
- 憲法や教育基本法には、「家族」、「コミュニティ」といった日本の伝統的な概念が欠如しているが、これを改めるべきではないか。
- 憲法9条や集団的自衛権の行使について、参考人はどのような見解か。
- 歴史教育は、近隣諸国への配慮などではなく、日本人固有の歴史観に基づいてなされるべきと思うが、いかがか。
山花 郁夫君(民主)
- 20世紀は戦争の世紀と言われ、その反省として日本国憲法が作られたと思うが、21世紀の日本を考える前提として、日本国憲法が果たしてきた役割をどう考えるか。
- 参考人は、憲法9条の改正を主張するが、専守防衛、非核三原則といった基本原則やPKOの在り方等も再検討すべきという考えか。
- 参考人は、日本の歴史と伝統を重視する立場だが、現在の天皇制についてはどう考えるか。
赤松 正雄君(公明)
- 近い将来、中国の国家体制はどうなると考えるか。また、それによって日本にどのような影響があると考えるか。
- 日米関係は将来的には見直しが必要である。しかし、「自立・日本」として、周辺各国から危険視される可能性があるため、その時期は21世紀冒頭ではなく、もう少し先のことになると思うが、いかがか。
塩田 晋君(自由)
- 中国は軍事力の増強を続け、国家基盤の強化を図っており、近いうちには国家体制の変化は起こらないと考えるが、いかがか。
- 天皇制の在り方についてはどのように考えるか。
山口 富男君(共産)
- ASEANは、東アジア及び東南アジア全域における平和と発展に寄与しうる可能性を有していると考えるが、21世紀のASEANの動向をどう考えるか。
- 憲法9条はアジア諸国の友好の礎となっており、また、核に依存する考え方は世界的に破綻してきていると考えるが、いかがか。
植田 至紀君(社民)
- 日本を21世紀の東アジアにおける「中核国」と位置付ける根拠が薄弱ではないか。
- 万が一に備えて核兵器を装備するということは、世界の世論に反し、平和秩序をむしろ破壊するものではないか。
- 戦後教育の問題は、他文化及び基本的人権の尊重の精神が十分に教えられてこなかったことにあると考えるが、いかがか。また、道徳の頽廃は、憲法や教育基本法の改正に直接結び付かないのではないか。
近藤 基彦君(21クラブ)
- アメリカの影響力は、いつまで持続すると考えるか。
- アメリカとの関係より、中国との関係を重視すべきという主張もあるが、これについてどのように考えるか。
- 21世紀を展望するに当たって、インドを始めとする南アジア諸国と日本との関係を視野に入れる必要があるのではないか。
松浪 健四郎君(保守)
- 21世紀におけるイスラム諸国の動向について、どのように考えるか。
- 21世紀においては、環境破壊が深刻化し、あらゆる国益に優先して対処すべき問題となると考えるが、いかがか。
- 南アジア諸国及び中近東諸国からエネルギーを確保するに当たっては、アメリカよりむしろ日本が積極的な役割を果たすべきと考えるが、いかがか。