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第192回国会
ウイルス性肝硬変・肝がん患者の療養支援、B型肝炎ウイルス排除治療薬等の研究・開発促進、肝炎ウイルス検診の推進に関する請願

【請願要旨と処理経過(所管省庁における処理要領)】
請願要旨

 我が国のウイルス性肝炎患者・感染者は二百五十万人と推定されており、これまでに多くの人が肝硬変や肝がんで亡くなっている。平成二十一年十二月に成立した肝炎対策基本法を受けて、啓発活動とともに治療及び検診体制の構築と推進が行われ、医療費助成も実施された。しかし、現行の医療費助成は抗ウイルス治療や重症化予防のための検査費用で、主に症状が軽い患者が対象になっている。高齢化・重篤化により精神的・肉体的・経済的に一層負担がふえる肝硬変・肝がん患者が安心して治療を受けられる医療費助成制度の創設が早急に求められている。さらに、C型肝炎については、ほぼ完全にウイルス排除する新薬を使用できるようになったが、B型肝炎についての薬はまだ開発されていない。肝炎ウイルスが排除されない限り、常に肝がん発症の危険性から免れることができない。また、潜在患者・感染者を検診によって治療に結びつけていくことが今後の医療費削減に大きく寄与しこれまで以上に重要度を増している。  ついては、次記事項を措置されたい。 一 ウイルス性肝硬変・肝がん患者に係る医療費助成制度づくりを早急に検討し進めること。 二 既に着手しているB型肝炎ウイルスを排除する治療薬等の研究開発を加速すること。 三 潜在する肝炎患者・感染者の早期発見と適切な治療のため、肝炎ウイルス検診をさらに促進し、陽性者を受診・治療に結びつけるフォローアップ施策に一層力を入れること。

処理経過(所管省庁における処理要領)
【主な所管省庁:厚生労働省】

一 肝炎患者に対する医療費の支援については、抗ウイルス療法により、B型肝炎ウイルス若しくはC型肝炎ウイルス(以下「肝炎ウイルス」という。)を排除又はその増殖を抑制することにより、将来の重篤な病態への進行を予防すること若しくは遅らせることが可能であり、かつ二次感染の予防につながることから、当該療法に対して医療費助成を実施している。  平成二十六年度から、肝炎ウイルスの感染を原因とする慢性肝炎、肝硬変及び肝がんの患者を対象とする定期検査費用の助成を実施しており、それぞれについて、順次対象の拡大を図っている。肝炎対策の推進に関する基本的な指針(平成二十八年厚生労働省告示第二百七十八号。以下「肝炎対策基本指針」という。)においては、肝硬変及び肝がんの患者に対する支援の在り方について、検討を進めることとしている。  更に、平成二十八年度に肝硬変及び肝がんの患者に対する医療の実態について調査を行ったところであり、その結果及び様々な施策の実施状況を踏まえ、肝硬変及び肝がんの患者に係る医療費助成の在り方等を含めて検討してまいりたい。 二 B型肝炎の画期的な治療薬については、「肝炎研究十カ年戦略」に基づき、B型肝炎の創薬実用化研究を重要課題の一つとして推進しており、肝炎対策基本指針では、B型肝炎や肝硬変に対する医薬品や治療法の開発等を今後の取り組むべき課題と位置づけている。  現在、国立研究開発法人日本医療研究開発機構で行われている肝炎等克服実用化研究事業において、B型肝炎ウイルスに係る実験基盤の確立並びに既存薬を応用したB型肝炎の治療薬及びゲノム技術を利用したB型肝炎の治療法の開発が進められている。政府としては、今後、これらの成果をもとに、B型肝炎に対する治療薬及び治療法が実用化に結び付くよう、本事業に対する支援を行ってまいりたい。 三 肝炎対策においては、肝炎の早期発見及び早期治療が重要であると考えている。このため、政府としては、地方公共団体が行う肝炎ウイルス検査及び受検勧奨等の取組の支援を行うとともに、地方公共団体に対しては、土日及び夜間における検査、出張型検査の実施、医療機関への委託検査並びに健診の場の活用等、受検者の利便性に配慮した取組について働きかけてきたところである。更に、平成二十六年度から、陽性者を早期治療につなげ、重症化予防を図る観点から、陽性者のフォローアップとして、肝炎ウイルス検査において陽性と判定された者を対象とする初回精密検査費用の助成並びに肝炎ウイルスの感染を原因とする慢性肝炎、肝硬変及び肝がんの患者を対象とする定期検査費用の助成等を実施している。当該定期検査費用助成については、平成二十九年度には世帯の市町村民税課税年額(所得割)が二十三万五千円未満の者に対する自己負担限度額の軽減を行うなど、これまで順次助成内容を拡充してきている。  また、肝炎総合対策国民運動事業等の普及啓発を通じて、肝炎ウイルス検査の受検及び陽性者の精密検査受診促進の更なる推進を図っている。  今後、個別勧奨や適切な情報提供等を通じて、より効果的な検査及び陽性者のフォローアップの取組を進めてまいりたい。

本請願の受理件数、付託委員会、紹介議員等は、請願情報をご覧ください。
第192回国会 322 ウイルス性肝硬変・肝がん患者の療養支援、B型肝炎ウイルス排除治療薬等の研究・開発促進、肝炎ウイルス検診の推進に関する請願(別ウインドウで表示)



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