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第195回国会
難病・長期慢性疾病・小児慢性特定疾病対策の総合的な推進に関する請願

【請願要旨と処理経過(所管省庁における処理要領)】
請願要旨

 二〇一五年一月に施行された難病の患者に対する医療等に関する法律(以下、難病法)によって、我が国の難病対策は、法的根拠を持つ総合的対策として新しく出発した。これにより、障害者施策や就労支援など少しずつ施策の改善が始まっているものの、難病患者の障害が見えづらいことから、一層の周知を初めまだまだ多くの課題が山積している。  ついては、次記事項を措置されたい。 一 難病法第四条に基づく基本方針の早期実現、研究の促進、治療法の開発、指定難病対象疾病の拡大及び周知を進めること。 二 長期にわたって治療を必要とする難病や長期慢性疾患患者の医療費負担の軽減を図るために、長期療養給付制度の導入と高額療養費制度のさらなる見直しを検討すること。 三 難病や長期慢性疾患を持つ子供たちや家族への支援、成人期対策の充実を図ること。 四 全国どこに住んでいても我が国の進んだ医療を受けることができるよう、地域医療と専門医療の連携と充実を図るとともに、医師、看護師、専門スタッフの不足による地域医療の格差の解消を急ぐこと。 五 全国難病センター(仮称)の設置等により、都道府県難病相談支援センターの充実や一層の連携、患者・家族団体活動への支援、難病問題の国民への周知等を充実させること。

処理経過(所管省庁における処理要領)
【主な所管省庁:厚生労働省】

一 基本方針の実現については、平成二十七年九月に、難病の患者に対する医療等に関する法律(平成二十六年法律第五十号。以下「難病法」という。)第四条第一項の規定に基づき、難病の患者に対する医療等の総合的な推進を図るための基本的な方針(平成二十七年厚生労働省告示第三百七十五号。以下「難病基本方針」という。)を定めており、引き続き、難病の患者に対する良質かつ適切な医療の確保、難病の患者の療養生活の質の維持向上等を図ってまいりたい。  研究の促進については、平成三十年度予算において、約百億円を計上しており、引き続き、厚生労働科学研究費補助金等の難治性疾患政策研究事業及び難治性疾患実用化研究事業により、診断基準及び治療法の確立を推進してまいりたい。  難病法第五条に基づく指定難病の対象となる疾病の拡大については、難病法施行時の百十疾病から、平成三十年四月に三百三十一疾病まで拡大したところである。また、指定難病の周知については、ポスターの作成、リーフレットの配布、政府広報等を行っており、引き続き、広く国民に情報提供してまいりたい。 二 難病法の成立により、長期にわたり療養を必要とする疾病に対する医療費助成制度が確立し、平成二十七年一月から施行されている。  また、高額療養費制度については、負担能力に応じた負担を求める観点から、平成二十七年一月から所得区分を細分化し、所得が相対的に低い者の自己負担限度額を引き下げる等の措置を講じたところである。なお、平成二十九年八月から段階的に行った七十歳以上の自己負担限度額の見直し等に当たっても、所得の低い者の自己負担限度額を据え置くことや継続的に療養を受ける者の自己負担が増えないよう外来療養に係る年間の自己負担限度額を創設する等の配慮を行っている。 三 慢性的な疾病を抱える児童及びその家族の負担軽減並びに長期療養をしている児童の自立を図るため、平成二十七年一月から、小児慢性特定疾病児童等自立支援事業を実施している。  また、児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第二十一条の五の規定に基づき、平成二十七年十月に、小児慢性特定疾病その他の疾病にかかっていることにより長期にわたり療養を必要とする児童等の健全な育成に係る施策の推進を図るための基本的な方針(平成二十七年厚生労働省告示第四百三十一号)を策定し、小児から成人への移行期医療支援体制を構築するため、平成二十九年十月に都道府県向けの移行期医療に係るガイドを策定したところである。さらに、都道府県の移行期医療支援体制を整備するための移行期医療支援体制整備事業を平成三十年度予算に計上したところであり、今後も、慢性的な疾病を抱える児童等の健全な育成に係る施策の一層の推進に向けて必要な施策を実施してまいりたい。難病及び慢性疾患等の障害のある幼児、児童及び生徒に対しては、教育基本法(平成十八年法律第百二十号)及び障害者基本法(昭和四十五年法律第八十四号)の趣旨を踏まえ、特別支援学校及び特別支援学級等において一人一人の障害の状態や教育的ニーズ等に応じた教育を行うなど、特別支援教育の充実に向けた取組を進めており、病院等に入院又は通院して治療を受けている児童生徒に対しては、平成三十年度において、平等な教育機会を確保するため、関係機関が連携して支援する体制の構築方法に関する調査研究を行う、入院児童生徒等への教育保障体制整備事業等を実施している。 四 難病の医療提供体制については、難病基本方針を踏まえ、平成二十八年十月に、厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会において「難病の医療提供体制の在り方について(報告書)」をとりまとめ、平成二十九年四月に「都道府県における地域の実情に応じた難病の医療提供体制の構築について」(平成二十九年四月十四日健難発〇四一四第三号厚生労働省健康局難病対策課長通知)を発出し、都道府県において地域の実情に応じた難病の医療提供体制を構築するに当たって参考とするための「難病の医療提供体制の構築に係る手引き」を示している。これらを踏まえ、都道府県において、新たな難病の医療提供体制が構築されるよう取り組んでまいりたい。  医師の確保については、平成二十年度以降、医学部入学定員を臨時的に増員し、平成三十年度は九千四百十九名としているほか、医師が不足している地域の病院に対する支援等を行っているところである。  看護師等の確保については、これまでも、離職する看護師等について都道府県ナースセンターへの届出制度を活用した再就業の支援等の対応を行っているところである。  また、医師・看護職員等の医療従事者の需給の見通しや、その確保策、地域偏在対策等について検討するため、平成二十七年十二月より「医療従事者の需給に関する検討会」を開催し、同検討会での議論等を踏まえ、医師偏在対策等を内容とする「医療法及び医師法の一部を改正する法律案」を第百九十六回通常国会に提出し、同国会において成立、平成三十年七月二十五日に公布されたところである。引き続き医療従事者の偏在の解消に取り組んでまいりたい。  また、消費税増収分を活用した地域医療介護総合確保基金(医療分)については、平成三十年度予算において、公費九百三十四億円を確保している。各都道府県における医療従事者等の確保及び養成に資するため、地域の実情に応じて本基金を活用していただくこととしている。 五 難病の患者の療養生活の質の維持向上を図るため、難病患者等に対する必要な情報提供及び地域交流会等の活動に対する支援を行う難病相談支援センター事業を含む療養生活環境整備事業を難病法に位置付け、取組を推進しているところである。また、各都道府県に設置された難病相談支援センターの活動を支援するため、同センターに勤務する職員等を対象とした特定疾患医療従事者研修事業等の全国的な実施等に取り組んでいるところである。  今後も、同研修事業を行うとともに、難病相談支援センターにおける相談事例等の情報を共有するためのネットワークを活用し、都道府県と難病相談支援センターとの連携強化及び相互支援に取り組んでまいりたい。

本請願の受理件数、付託委員会、紹介議員等は、請願情報をご覧ください。
第195回国会 70 難病・長期慢性疾病・小児慢性特定疾病対策の総合的な推進に関する請願(別ウインドウで表示)



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