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第198回国会
ウイルス性の肝がん・重度肝硬変患者への支援と治療薬開発、肝炎ウイルス検診促進に関する請願

【請願要旨と処理経過(所管省庁における処理要領)】
請願要旨

 平成三十年十二月から、ウイルス性の肝がん・重度肝硬変患者に対する医療費助成が実施された。しかし、助成の条件に該当する推定人数は少なく、重症者の多くは療養病床にいる。肝がん・重度肝硬変患者が安心して治療や社会復帰ができるよう、新たな医療費助成の拡充が必要である。重度肝硬変は現在対症療法に限られている。また、B型肝炎はウイルスを排除できる薬がない。肝炎ウイルスが排除されない限り、肝がん発症の危険性から免れることはできない。さらに、B型肝炎とC型肝炎は効果が高く副作用のない治療薬が開発されているが、肝炎ウイルスの感染を知らない潜在キャリアや感染を知りながら継続的に受診をしていないキャリアがおり、受検・受診・受療に結びつけていくことが大切である。  ついては、次記事項を措置されたい。 一 新たに始まったウイルス性の肝がん・重度肝硬変患者に対する医療費助成の実態調査を実施し、その結果を踏まえて拡充を検討すること。 二 肝がん・重度肝硬変の治療薬・治療法の開発と適用を一層促進すること。 三 B型肝炎ウイルスを排除する治療薬の開発と適用を一層促進すること。 四 潜在する感染者の検診と陽性者を受診・受療に結びつける施策を一層促進すること。

処理経過(所管省庁における処理要領)
【主な所管省庁:厚生労働省】

一 肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業については、平成三十一年二月に全都道府県で事業を開始したところであり、まずは、本事業における指定医療機関の増加及び確保並びに患者への更なる本事業の周知に積極的に取り組むことにより、本事業の利用促進を図ってまいりたい。 二 政府においては、肝炎対策の推進に関する基本的な指針(平成二十八年厚生労働省告示第二百七十八号。以下「基本指針」という。)に基づき、肝炎医療をはじめとする研究の総合的な推進を図っている。  肝硬変については、基本指針で、肝硬変等に対する医薬品や治療法の開発等を今後の取り組むべき課題と位置付けており、「肝炎研究十カ年戦略」(平成二十三年十二月二十六日策定)に基づき、肝硬変の病態やQOL改善に関する治療薬・治療法を開発する研究を推進し、実用化に向けた支援を行っている。  また、肝がんについても、「がん研究十か年戦略」(平成二十六年三月三十一日策定)に基づき、肝がんも含めたがんに対する新規薬剤を開発するための研究や、新たな標準治療の創設及び早期の実用化に向けた研究を行っている。 三 B型肝炎の画期的な治療薬については、基本指針で、B型肝炎や肝硬変に対する医薬品や治療法の開発等を今後の取り組むべき課題と位置付けており、「肝炎研究十カ年戦略」に基づき、B型肝炎の創薬実用化研究を推進している。  これまでのB型肝炎の創薬実用化研究において、B型肝炎ウイルスに係る実験基盤の確立並びに既存薬を応用したB型肝炎の治療薬及びゲノム技術を利用したB型肝炎の治療法の開発が進められており、これらの成果により、B型肝炎に対する治療薬の開発や治療法の実用化に結び付くよう、引き続き研究に対する支援を行ってまいりたい。 四 肝炎対策においては、肝炎の早期発見及び早期治療が重要であると考えている。このため、政府としては、地方公共団体において行われる肝炎ウイルス検査及び受検勧奨、職域での検査促進等の取組の支援を行うとともに、肝炎総合対策国民運動事業等による普及啓発を通じて、肝炎ウイルス検査の受検及び陽性者の受診促進の更なる推進を図っている。また、地方公共団体に対し、土日及び夜間における検査及び出張型検査の実施、医療機関への委託検査、健康診査の場の活用等の受検者の利便性に配慮した取組を行うよう働きかけてきた。  さらに、平成二十六年度から、陽性者を早期治療につなげ、重症化予防を図る観点から、陽性者のフォローアップを実施するとともに、肝炎ウイルス検査において陽性と判定された者を対象とする初回精密検査費用の助成並びに肝炎ウイルスの感染を原因とする慢性肝炎、肝硬変及び肝がんの患者を対象とする定期検査費用の助成を実施している。初回精密検査費用の助成については、令和元年度から、対象者に職域の肝炎ウイルス検査において陽性と判断された者を追加している。定期検査費用の助成については、平成二十七年度には助成回数を年一回から年二回に増やし、平成二十八年度には対象者を高所得以外の世帯の者に拡大し、平成二十九年度には一定以下の所得の世帯の者の自己負担額の軽減を図り、平成三十年度には助成を受けるために必要な医師の診断書の提出の省略を図る等、支援の充実に向けた取組を行っている。  加えて、肝炎ウイルスによる肝炎の早期治療の促進のため、抗ウイルス治療に係る医療費助成を行っている。平成三十一年三月からは、C型重度肝硬変のインターフェロンフリー治療を医療費助成の対象に追加したところである。

本請願の受理件数、付託委員会、紹介議員等は、請願情報をご覧ください。
第198回国会 974 ウイルス性の肝がん・重度肝硬変患者への支援と治療薬開発、肝炎ウイルス検診促進に関する請願(別ウインドウで表示)



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