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第203回国会
腎疾患総合対策の早期確立に関する請願

【請願要旨と処理経過(所管省庁における処理要領)】
請願要旨

 我が国の腎疾患患者は一千三百万人を超えると言われている。腎臓病は沈黙の病とも言われ、早期発見が大変難しく、一旦発症すると長期にわたり根気強い治療が必要となる。さらに、腎臓病は重症化しやすく、末期腎不全まで至ると生命を維持するためには人工透析治療を続けるか腎臓移植をするしか方法はない。そのような腎臓病患者を一人でも少なくし国民が健康な毎日を送るためには、腎臓病を発症してからの対策、医療ではなく、発症を予防するための施策が重要である。また、発症したとしても医療と施策によりその重症化をとどめることが必要である。近年、糖尿病の合併症として腎不全を発症する患者も増加しているが、腎臓病はもちろん糖尿病も決して生活習慣だけから発症する病気ではない。発症の原因を患者個人の責任にするだけでは腎臓病患者はなくならない。広く国民的課題として、国を挙げた取組が必要である。一方、腎臓病患者の高齢化は著しく、通院を初め療養生活に課題が山積している。これは超高齢社会である我が国において、全ての高齢者にも共通する問題でもあり、患者がよりよい生活を送れる社会の実現は、国民が安心で充実した毎日を送れる社会の実現にもつながる。  ついては、国民が腎疾患から守られる日が早く達成されるよう、次記事項を措置されたい。 一 腎臓病の早期発見と重症化予防に向けた総合的な対策が進むように努めること。 二 腎臓病患者が必要な介護支援を受けられる介護保険制度になるよう検討すること。 三 透析患者で通院困難な患者の通院を保障する体制と必要なときに入所・入居できる施設を公的に整備するように努めること。 四 広域で大災害が発生しても人工透析治療を受けることができるよう国、地方自治体が連携した災害対策への取り組みに努めること。 五 腎移植の推進及び再生医療の研究が進むように努めること。

処理経過(所管省庁における処理要領)
【主な所管省庁:厚生労働省】

一 腎疾患対策を総合的に実施するため、平成三十年七月に取りまとめた「腎疾患対策検討会報告書」を踏まえ、令和三年度予算において、都道府県等における患者等一般向けの講演会等の開催や医療関係者を対象とした研修の実施等に係る補助事業費を計上し、慢性腎臓病に関する正しい知識の普及と対策に必要な人材育成等を推進するとともに、慢性腎臓病診療連携体制を構築するためのモデル事業を引き続き実施する。   また、腎疾患政策研究事業において、令和二年度から慢性腎臓病患者に特有の健康課題に適合した多職種連携による生活・食事指導等の実証研究を開始しており、腎疾患実用化研究事業においては、慢性腎臓病の早期発見、早期治療、重症化予防等を目的とする研究の推進を図っているところである。 二 介護保険は、要介護認定又は要支援認定(以下「要介護認定等」という。)により要介護者又は要支援者(以下「要介護者等」という。)であると認められた介護保険の被保険者に対して、介護サービスに係る保険給付を行うものである。このため、要介護認定等により要介護者等と認められた腎臓病患者は、必要な介護サービスを受けることが可能である。 三 透析患者に対する通院の支援として、要介護認定等や障害福祉サービスの支給決定を受けた透析患者は、居宅から医療機関に通院する際の介助等のサービスを受けることが可能である。   施設の整備については、高齢者に関しては、都道府県に設置した地域医療介護総合確保基金により、地域密着型特別養護老人ホーム等の地域密着型サービスの施設の整備に必要な経費等の支援を行っており、また、障害者及び障害児(以下「障害者等」という。)に関しては、社会福祉施設等施設整備費補助金により、障害者等の障害福祉サービス等の基盤整備に必要な経費の一部を補助しており、必要な整備を着実に進めていく。 四 災害時における人工透析の提供体制については、「厚生労働省防災業務計画」(平成十三年二月十四日厚生労働省発総第十一号)に定めるとともに、東日本大震災の教訓を踏まえ、公益社団法人日本透析医会災害時情報ネットワークシステムの機能強化に対する補助を行い、災害時の透析患者の受入体制の充実を図った。令和二年七月豪雨による災害等においては、同ネットワークシステムを通じ、国、地方公共団体及び公益社団法人日本透析医会が連携して、人工透析の提供体制の確保に努めた。   また、腎疾患政策研究事業において、令和二年度から慢性腎臓病患者(透析患者等を含む。)に特有の健康課題に適合した災害時診療体制の確保に資する研究を開始した。   引き続き、地方公共団体及び公益社団法人日本透析医会と連携するとともに、腎疾患政策研究事業を通じて得られた知見を踏まえ、災害時の透析患者の受入体制の整備に取り組んでまいりたい。 五 腎臓移植を含めた移植医療の推進に向け、国民への普及啓発に加え、令和三年度予算において、臓器提供施設の整備及び連携体制の構築のため、選択肢提示の実施(臓器提供意思の確認)や院内マニュアルの整備等に取り組むとともに、臓器提供事例が多い施設が、当該事例が少ない施設に対して研修等を行う事業を支援するための経費を引き続き計上した。   また、再生医療については、令和三年度予算において、実用化に近い臨床研究を重点的に支援する経費等を計上し、研究体制の充実を図っている。   再生医療の研究の推進に資するよう、引き続き、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)及び再生医療等の安全性の確保等に関する法律(平成二十五年法律第八十五号)の規定に基づき、制度の円滑な運用に努めてまいりたい。

本請願の受理件数、付託委員会、紹介議員等は、請願情報をご覧ください。
第203回国会 204 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願 (別ウインドウで表示)



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