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令和七年八月一日提出
質問第一五号

皇位継承資格を女子・女系に拡大することの意義に関する質問主意書

提出者  たがや 亮




皇位継承資格を女子・女系に拡大することの意義に関する質問主意書


 本年六月十七日に私が提出した「皇位継承問題の議論を広く国民に委ねることに関する質問主意書」に対し、同月二十七日に石破茂内閣が閣議決定した政府の答弁書では、令和三年十二月二十二日に取りまとめられた「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者会議の報告について、「政府としては、有識者会議の報告を尊重している」との見解が何度も示されていた。
 概して、内閣総理大臣が特定の問題について諮問して検討を求める有識者会議については、提出された報告についてこれを尊重し政府の方針の基本的な土台とされることが通例のようである。
 一方で、皇位継承の安定については、既に一九九〇年代から懸念されそのあり方について検討が始まっていたとされ、皇族数が減少傾向となり特に女子皇族の数が圧倒的多数になってきた上、社会的な少子化をも反映して皇位継承者が極端に減少する事態について、小泉純一郎氏が総理大臣の時に諮問した皇室典範に関する有識者会議は、平成十七年十一月二十四日に報告書を取りまとめた。
 そこでは「基本的な視点」として、「象徴天皇にふさわしい継承制度の在り方につき、@国民の理解と支持を得られるものであること、A伝統を踏まえたものであること、B制度として安定したものであること」を挙げている。
 そして、「安定的で望ましい皇位継承のための方策」として、「1 皇位継承資格 ○女子・女系への拡大は、社会の変化の中で象徴天皇制を安定的に維持する上で、大きな意義 ○女性天皇・女性皇族の配偶者確保には、適切な環境整備が必要」「2 皇位継承順位 ○「長子優先」又は「兄弟姉妹間男子優先」が適当 ○その中では、幼少の頃から、将来の天皇として国民が期待を込めて成長を見守ることができるような安定性という意味で、出生順に順位が決まる長子優先が適当」「3 皇族の範囲 ○継承資格の拡大に伴い、女子が婚姻後も皇族にとどまることが必要 ○皇位継承資格者の存在を安定的に確保するため、世数限定とせず、永世皇族制を前提とし、皇籍離脱制度の弾力的運用により規模を調整することが適当」とされている。
 本年五月十五日付で読売新聞が発表した「皇統の存続を最優先に 憲法の「世襲」大原則」と題した読売新聞社提言の一連の内容は、基本的に前記平成十七年十一月二十四日の有識者会議報告とほぼ一致するもので、既に二十年経った報告がいまだ議論の基本的課題を提起したものであることを伺わせる。そして、一連の報道の後、五月十九日付読売新聞紙面で羽毛田信吾元宮内庁長官は、「問題の本質はもはや「男系か女系か」ではなく、「天皇制をいかに存続させるか」にある」「男系で皇統をつないできた歴史は大切だという議論がある。江戸時代までの天皇の半数近くが側室との間の「非嫡出」だったという歴史もまたある。現在の皇室典範は側室を否定し、皇統を皇后との間の「嫡出」に限定した。少子化の流れを直視すれば、構造的な欠陥を認めざるを得ない状況」と述べ、現在の男系男子継承の在り方の限界を指摘し女性、女系天皇容認の検討へ進まざるを得ない現状を示唆している。その上で、「男系か女系かで二分される論点も民意にそって集約されるのが自然だ」としている。以上を踏まえて、質問する。

一 現在の政府の立場は、皇位継承問題について令和三年十二月二十二日に取りまとめられた有識者会議の報告は尊重するが、平成十七年十一月二十四日に取りまとめられた有識者会議の報告は尊重しないというものなのか。後者については、引き続き内閣官房のホームページに概要が掲載されているが、これは今後とも皇位継承の安定に関する方策を検討するための指針の一つとしていくという意味においてのことなのか、別の目的があってのことなのか。
二 前記の羽毛田信吾元宮内庁長官が述べた「現在の皇室典範は側室を否定し、皇統を皇后との間の「嫡出」に限定した。少子化の流れを直視すれば、構造的な欠陥を認めざるを得ない状況」という認識に対して、首相はどのように受け止めるか。「構造的な欠陥」とは何で、そうであるならそれをどう改めることが有効だと考えるのか。
三 本年五月十五日付読売新聞の提言では「女性天皇、女系天皇の容認」を皇統の存続を最優先に考えていく際に検討すべき課題として提起しているが、これは平成十七年十一月二十四日に取りまとめられた有識者会議報告にある皇位継承資格を「女子・女系への拡大は、社会の変化の中で象徴天皇制を安定的に維持する上で大きな意義」とされた結論と重なるものであり、今日的課題で在り続けていると考える。皇位継承の安定に向けて女性天皇、女系天皇の容認を検討の俎上から排除するのは適切ではないと思われるが、政府はどう考えるか。
 
 右質問する。

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