質問本文情報
平成十五年四月十八日提出質問第五八号
感染症対策に関する質問主意書
提出者 川田悦子
感染症対策に関する質問主意書
今年二月下旬、上海、香港からハノイに到着した中国系米国人が、原因不明の重症急性呼吸器症候群で三月一三日に死亡して以来、新型肺炎の重症急性呼吸器症候群(以下「SARS」という)が香港と中国広東省を中心に世界的に広がりつつある。国際化が進み、海外への渡航者および海外からの入国者が増えているわが国においては、SARSに限らず、今後新しい感染症が蔓延する可能性がある。
ところが、現在の厚生労働省および医療・診察機関はかならずしも新感染症に適切かつ迅速に対応できる体制にはなっていない。また、新感染症に対する医療スタッフの知識・経験不足から、患者が診療・治療体制に不安を抱いているというのが実情である。
よって、次のとおり質問する。
二 現在わが国には、特定感染症指定医療機関、第一種感染症指定医療機関等の感染症指定医療機関があるが、新感染症に迅速かつ適切に対応するためには、医療・診察機関のいっそうの充実を図り、都道府県と一体となってこれまで以上に研究・治療体制および医療・診察体制を強化するべきであると考えるが、政府の見解はどうか。
三 二で、政府がこれまで以上に研究・治療体制および医療・診察体制を強化するべきであるという見解であるのであれば、どのような計画等を策定するつもりがあるか。
四 一九九九年に新しい感染症に対処すべく新感染症法が施行されたが、それに基づいた施策(研究体制・治療体制)は不十分であると考えるが、政府はどう考えているのか、その見解を問う。
今後SARSに限らず新しい感染症がわが国において流行・蔓延するおそれがあるが、わが国の厚生労働省における新感染症対策の体制はかならずしも十分とは言えず、今後人員の増員も含めて新感染症対策の体制を拡充する必要があると考えるが、政府の見解はどうか。
五 薬害エイズでは、政府の情報の隠蔽と医療機関の診療拒否、さらに政府によるセンセーショナルなマスコミ報道への誘導が激しく差別・偏見を引き起こしたのは周知のことである。
今回SARSが世界的な広がりを見せるなか、国民が不安に感じていることは、正確な情報が公開されているのかどうかという点と診療拒否等によって適切な検査・治療が受けられないのではないかということである。診療拒否は患者の健康・生命に危険を及ぼすだけでなく、国民に対して誤った意識を植え付け、差別・偏見を生む可能性もある。患者が発生した場合に患者の健康・生命を守り、差別・偏見を生まないためには、各医療・診察機関に感染症に関する情報の周知徹底を図ることによって診療拒否等、患者の受診行為の妨げになるようなことがないようにすることに加えて、国民に対しても、ホームページ等による情報の公表だけではなく、積極的にあらゆるチャンネルを通じて迅速かつ十分な情報を提供することが重要であると考えるが、政府の見解はどうか。
右質問する。