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平成十五年九月二十九日提出
質問第一八号

手腕振動による健康障害の予防と手腕振動の許容基準に関する質問主意書

提出者  小沢和秋




手腕振動による健康障害の予防と手腕振動の許容基準に関する質問主意書


 わが国において、林業労働者に端を発した手腕振動(機械振動)が原因である健康障害が知られて久しい。しかし、平成十五年四月に告示された「第十次労働災害防止計画」においても「(中略)振動障害については、建設業を中心として労災認定者数が、年間七百人を上回っている」と、いまだ多発している現状にある。
 周知のとおり、手腕振動(機械振動)の研究・調査・対策は国際共同の枠組みですすめられており、手腕振動(機械振動)に関する規制、許容基準も日本産業衛生学会、ISOなどからの勧告、国際基準として示されているところである。
 わが国においても、手腕振動(機械振動)による健康障害の予防という国際的な動向の中、第十次労働災害防止計画において、「騒音障害及び振動障害の減少を図るため、騒音障害防止対策及び振動障害防止対策の実効性が確保されるよう見直しを検討し、必要な措置を講じる。(中略)さく岩機、ピックハンマー等建設作業用の機器により騒音障害、振動障害が多発している現状に鑑み、機器を使用する事業者が機器の購入に際し低騒音・低振動のものを選択しやすくするため、騒音・振動発生機器について製造者による騒音・振動レベルの表示の導入を図る」としている。この計画を真に振動障害の予防に寄与させるため、政府の緊急の具体化が求められている。
 よって、次のとおり質問する。

(一)
 現在、建設現場等で使用されている振動機器は、国際的に見ても健康障害をひきおこす振動レベルの機器であることが、多くの研究者・医師から指摘されているが、その現状認識を明らかにされたい。
 さらに、現在行なわれている二時間規制の指導の中でも多くの振動障害被災者が発生している現状をどう認識されているかも明らかにされたい。
(二)
 手腕振動(機械振動)の測定方法・評価方法について、わが国の工業規格(JISC一五一一・手持ち工具振動レベル計、JISB四九〇〇・手持ち動力工具の工具振動レベルの測定方法)は、国際基準であるISO五三四九とは、算出する物理量(単位)、周波数補正特性などで異なっている。現在国際的に整合性のある測定方法、評価方法が関係する業界団体からも求められていると認識しているがいかがか。
(三)
 ECにおいては、機械指令(八九・三九二・EEC)によって、一九九五年一月からCEマークが義務づけられ、ハンドルの振動加速度が二・五以上の製品には振動加速度値を表示する事となっている。第十次労働災害防止計画で述べられている「振動レベルの表示」を具体化するにあたり、EUでの基準が検討の素材としての一定の基準になると思われるが、その考え方を示されたい。さらに、この表示は、機器本体に限らず、カタログにも表示されるべきと考えるがいかがか。
(四)
 手腕振動(機械振動)による健康障害の予防を論ずる時、振動暴露と健康障害の関係を科学的に明らかにする必要がある。日本産業衛生学会では、手腕振動の暴露量と健康障害の関係を「許容濃度等の勧告」として明らかにしている。さらに、ISO五三四九では振動障害に特徴的なレイノー現象の「十%の発症率になる振動暴露時間」を示すなど、振動暴露と健康障害との関係は国内的、国際的にも明らかにされている。
 したがって、わが国でも手腕振動(機械振動)と健康障害を明らかにした「許容基準」を設ける必要があると考えるが、その必要性と緊急性についての認識を明らかにされたい。
(五)
 EUでは二十年以上の議論を経て、二〇〇二年六月二十二日「物理的要因(振動)から生じる危険に対する労働者の暴露に関する安全衛生の最低必要条件」(二〇〇二・四四・EU)を制定した。指令は、一日・八時間・週四十時間の労働を基準に、一日の振動暴露の基準を「暴露限界値」と「暴露対策値」として定めている。暴露限界値は、労働者が暴露されてはならない値で、この値を超えている場合は、原因を明らかにし、再び同じ事が起こらないように防護・予防の措置を直ちに講じなければならないとしている。手腕振動による健康障害が知られて久しいわが国で、さらに手腕振動と健康障害の調査・研究の先進国であるわが国がこのような基準や法規制を持たない事は、極めて遺憾である。このような手腕振動による健康障害を予防するため抜本的な法規制が必要と考えるがいかがか。
(六)
 わが国で、手腕振動(機械振動)による健康障害の予防対策を論ずる時、新機器の導入、現場での予防対策など企業において新たな経費が生じることになることは明らかである。特にわが国のように中小・零細企業がその割合の多くを占める現状の中では、経費の問題で新施策への移行に困難が生じることは想像に難くない。新施策移行に伴っては、国の責任で何らかの援護(援助)制度を創設する必要があると考えるがいかがか。

 右質問する。



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