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平成十六年五月十三日提出
質問第九六号

今国会提出の著作権法の一部を改正する法律案に於ける暫定措置廃止後の法律の運用に関する質問主意書

 提出者
 川内博史    近藤昭一




今国会提出の著作権法の一部を改正する法律案に於ける暫定措置廃止後の法律の運用に関する質問主意書


 本年三月五日提出の「著作権法の一部を改正する法律案」(以下「法案」という。)に於いて、著作権法附則第四条の二(以下「附則」という。)を廃止するとのことであるが、同附則に於いて当分の間、第二十六条の三(貸与権)を適用しないとされている「書籍又は雑誌(主として楽譜により構成されているものを除く。)」の利用形態について、本年一月十四日公表の「文化審議会著作権分科会報告書」(以下「報告書」という。)に於いても何ら明示されておらず、附則廃止後の利用に係る状況の変化が詳かとならない事例が少なからず見受けられるところである。前記の事実を踏まえ、本法案に於いて附則を廃止した際の個々の事例に於ける法の適用について質問する。なお、同様の文言が並ぶ場合でも項目ごとに平易な文章で答弁されたい。

一 図書館法(昭和二十五年法律第百十八号)第二条第二項にいう「私立図書館」もしくは第二十九条の「図書館と同種の施設」は、同法第二十八条により「入館料その他図書館資料の利用に対する対価を徴収することができる」ものと定められているが、本条の「対価」を徴収する場合は著作権法第三十八条第四項の「営利を目的とせず、かつ、その複製物の貸与を受ける者から料金を受けない場合」の要件(以下「著作権法第三十八条第四項の要件」という。)に該当しないものとみなされ、附則廃止後はその設立・運営趣旨の如何に関わらず、権利者ないし権利者より権利行使を委託された事業者(以下「権利者等」という。)による書籍又は雑誌を貸与により公衆に提供する行為(以下「貸与」という。)への規制が及ぶこととなるのか。
二 私立の学校法人がその付属施設として図書館を運営している場合、生徒から授業料を徴収して図書館の運営費用に充てる行為は著作権法第三十八条第四項の要件のうち「その複製物の貸与を受ける者から料金を受けない場合」に該当せず、附則廃止後は権利者等による貸与への規制が及ぶこととなるのか。また、本年四月より株式会社による学校経営が特区制度により実施されているところであるが、当該学校組織の付属施設として設置される図書館は著作権法第三十八条第四項の要件のうち「営利を目的にせず」に該当せず、附則廃止後は権利者等による貸与への規制が及ぶこととなるのか。
三 鉄道会社の中には乗客の利用に資するため駅に図書館法第二十九条の「図書館と同種の施設」である「文庫」を設置し、書籍又は雑誌を無償で貸与している事例が見られるが、当該行為は、営利を目的とした会社組織が乗客の増進を目的として設置したものであり、著作権法第三十八条第四項の要件をいずれも満たさないものとして、附則廃止後は権利者等による貸与への規制が及ぶこととなるのか。他方、類似の行為を地方自治体の教育委員会等が市営交通機関の駅に於いて実施した場合は、著作権法第三十八条第四項の要件をいずれも満たすものとみなされ、附則廃止後も権利者等による貸与への規制は及ばないこととなるのか。
四 大手スーパーマーケットの中には児童の利用に資するため図書館法第二十九条の「図書館と同種の施設」としての文庫を店内に設置している事例も見られるが、運営主体が株式会社であることにより著作権法第三十八条第四項の要件に該当しないものとみなされ、その設立・運営趣旨の如何に関わらず附則廃止後は権利者等による貸与への規制が及ぶこととなるのか。また、こうした形態によって児童への書籍又は雑誌を貸与により提供する行為を著作権法に於いて禁止する権利を付与することは子どもの読書活動の推進に関する法律(平成十三年法律第百五十四号)第三条(国の責務)に反し、権利者等が附則廃止後に本権利の行使により貸与を禁止する行為は同法第二条(基本理念)及び第五条(事業者の努力)に反するものではないのか。

 右質問する。



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