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平成十六年六月十五日提出
質問第一九三号

著作権法改正における関係者間協議に関する質問主意書

提出者  川内博史




著作権法改正における関係者間協議に関する質問主意書


 文化庁長官官房著作権課(以下「著作権課」という。)は、制度改正の前提として「関係者間の協議」(以下「協議」という。)を求めているところであるが、協議の実情に関しては外部から知り得る情報が乏しいばかりでなく、著作権課における現在の運用が制度改正により直接的に影響を受ける一般消費者ないし著作物利用者の発言機会を奪う形になっており、結果的に権利の付与を要求する事業者団体の意見が優先的に反映されることや関係者間協議の構成が公正さを欠くなどの問題点が存在することが今国会における著作権法の一部を改正する法律案の審議に於いても明らかとなっているところである。以上の事実を踏まえ、過去に実施された協議及び今後の協議のあり方を中心に質問する。なお、同様の文言が並ぶ場合でも、項目ごとに平易な文章で答弁されたい。

一 平成十五年度の文化審議会著作権分科会法制問題小委員会(以下「小委員会」という。)において文化審議会事務局が配布した「各分野における検討事項例」と題する文書に掲載されている「関係者間で合意形成が進められつつある事項」と題する表(以下「表」という。)においては、『「輸入権」の創設(海外で合法的に作られたレコードの輸入への対応)』の関係者として「日本レコード協会(以下「レコード協会」という。)」及び「日本経済団体連合会(以下「日本経団連」という。)」、「著作者団体」が記載されているところであるが、日本経団連においては平成十五年八月二十六日に「産業問題委員会エンターテインメント・コンテンツ産業部会(以下「部会」という。)」が発足し、部会長にレコード協会会長が就任している。著作権課は、部会発足から協議における合意形成が十一月に報告されるまでの間にこの事実を承知していたのか。承知していたとすれば、関係者間協議にレコード協会の意思が強く反映しすぎる懸念は持たなかったのか。
二 一において指摘した事例のように、協議の当事者である事業者団体の代表者ないし構成員が協議の相手方たる関係者の意思決定に直接的ないし間接的に関与し得る状態にある場合、協議そのものの形骸化が当然に想定し得るものと考えられる。今後の関係者間協議においては、このような状態に陥ることを防ぐための必要な措置を講ずる考えはあるか。一で指摘した事例に相当するなどの特段の事情が認められた場合は、当該事業者団体の意思の重複ないしは過度の反映を回避する、もしくは消費者団体等の協議参加を求めるなどの具体的な対応を検討すべきではないか。
三 表中、一において挙げた「著作者団体」を始め、固有の団体名を記載していない事例が少なからず見られ、これが外部から協議の全容を把握し難くなっている一因と考えられる。今後、表に記載する団体名は全て固有の団体名を記載するよう改めるべきではないか。また、協議に参加している事業者団体の名称のみでなく、協議を実施した回数や最新の協議開催日及び協議内容についても報告を義務付け、表に記載した上で、この表を公開し、実施されている協議の情報開示を進めるべきではないか。
四 今国会の審議でも明らかになったように、合意形成に際しては、根拠の信頼性を担保するためには権利の付与を要求する事業者団体が主体となって作成もしくは外部の調査機関等に調査を委嘱した統計数値のみを制度改正の根拠とすることは適切ではなく、協議に参加する全団体が共同で実施ないし外部の調査機関等に調査を委嘱し、承認した統計数値の提出を義務付けるべきではないか。あるいは、関係者間協議での合意形成の報告があった場合、合意形成の根拠となる統計数値の検証や調査方法の妥当性、調査機関の客観性、公正さをどのような方法で担保できるのか。
五 今国会における著作権法の一部を改正する法律案における「書籍及び雑誌に係る暫定措置の廃止」に関して、平成十五年八月に任意団体として設立されたコミックレンタル有志の会(以下「有志の会」という。)は、同年九月以降複数回にわたり著作権課長に宛てて意見書を提出しているが、著作権課より協議参加の可否はおろか意見書を受理した旨の通知を今日に至るまで受領していない。著作権課が有志の会の提出意見に対して法案成立まで無視を続けていた理由は何か明らかにされたい。また、協議を開始した際に関係者の資格を有し得る団体を構成していない複数の事業者が、協議に参加することを目的に相当程度の事業者が参加する任意団体を構成した旨の報告が著作権課に対して行われた場合は、すみやかに協議への参加を認めるべきではないか。その際、協議に参加している団体より既に合意形成の報告がある場合は報告を保留したうえで改めて協議を継続するよう著作権課が指導すべきではないか。
六 事業者団体でなく、消費者団体や一般の著作物利用者等の個人により構成される団体が著作権課に対して協議の開始を申し立て、関係する事業者団体等の協議への参加を求めた場合、どのように対応するのか。また、その場合の団体の参加資格は法人格の有無により異なるのか。今回の法改正の場合、日本生活協同組合連合会や全国消費者団体連絡会などは、数々の意見書等も発表しており、参加資格があったと思うが、どう考えているのか。
七 協議の結果、決裂もしくは合意形成まで至らず停止された事例は過去に存在するのか。存在する場合、そのすべての事例について当該協議事項と関係者、当該協議の内容、当該協議停止の報告が著作権課に対して行われた時期を明らかにされたい。
八 現在、関係者間で進められていると著作権課が認識している協議のうち、最新の協議が平成十五年六月十二日の平成十五年度第一回小委員会招集以前に行われて以降、協議が開かれないまま今日まで一年以上を経過している事実を著作権課が承知している事例が存在する場合、その過去五年間のすべての事例について、当該協議事項と関係者、当該協議の内容、最新の当該協議開催日を明らかにされたい。
九 本年五月二十五日付けで小泉純一郎総理大臣より受領した「今国会提出の著作権法の一部を改正する法律案に於ける暫定措置廃止に係る検討経緯等に関する質問に対する答弁書」(答弁第九七号)に於いては「また、報告書案について行われた意見募集に対して、連合会が平成十五年十二月二十四日付けで提出した意見書については、作家等で構成される貸与権連絡協議会(以下「協議会」という。)と連合会が法附則第四条の二の削除について合意した内容と矛盾するということが考えられたため、協議会を通じて、連合会に当該意見書の趣旨を照会したところ、協議会との合意を撤回するものではないことを確認したところである。」とされているが、協議に参加していた関係者たる団体の意思確認は、利害関係のある当事者を通じてではなく著作権課が直接、当該意思を表明した団体に対して行うべきではないのか。また当該団体が合意形成を撤回した場合は、改めて関係者間協議を再開すべきではないか。
十 関係者間協議の合意に際しての条件が私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年四月十四日法律第五十四号)に抵触する恐れがないのか公正取引委員会の意見を聞くことを義務付けるべきではないか。

 右質問する。



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