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平成十六年六月十五日提出
質問第一九八号

二千五年日本国際博覧会会場間観客輸送ゴンドラ計画に関する質問主意書

提出者  佐藤謙一郎




二千五年日本国際博覧会会場間観客輸送ゴンドラ計画に関する質問主意書


 二〇〇五年三月二五日より六ヶ月にわたって愛知県瀬戸市及び長久手町にてテーマを「自然の叡智」とする「二千五年日本国際博覧会」(愛・地球博)が開催される予定である。二つに分かれた万博会場の間に瀬戸市上之山町三丁目の住宅地は位置する。二千五年日本国際博覧会協会(以下「協会」という)は会場間観客輸送を「ゴンドラ」で主に行うと決定した。因みに二〇〇〇年一二月一五日のBIE(博覧会国際事務局)登録時点での主な輸送手段はシャトルバスであった。このゴンドラ輸送計画について質問する。
一 会場最終選定時に、当初決定していた「海上の森一会場」を放棄した大きな要因の一つに、ただ一組の「オオタカ」(絶滅危惧種)の営巣を尊重したという「自然の叡智をテーマとした万博」にふさわしい理由があったと聞いている。本ゴンドラルートは複数のオオタカの主要営巣域内であると公式に認められているのにゴンドラ計画中止とはならないのはなぜか。協会は「オオタカの営巣期ははずして工事する」としているが来年の営巣期はゴンドラは運転を開始していて「テリトリー」は分断されオオタカに多大な影響を与える。また、他の絶滅危惧種保護策は確実にとられているのか。希少種の「カザグルマ」については市民からの保全の要望書が出るまではなんの保護策もとられていなかったが「ギフチョウとその食草カンアオイ」「モンゴリナラ」「シデコブシ」についてはどうかを明らかにされたい。
二 本ゴンドラ計画は森林法第三四条の「一時作業許可」で建設するとしているが、保安林の保護育成のための「軽易な作業」を前提としたこの条項で本ゴンドラ建設のような「本来なら保安林解除しなければできないような大工事」を認めるのは、保安林制度の形骸化につながるのではないか。まして当該保安林は土砂流出防備保安林という防災上重要な使命を帯びた保安林である。安易な改変は保安林の長期間の保水力の低下につながり土砂災害を周辺地域に招く。見解を伺いたい。
三 本ゴンドラ計画は六ヶ月のみ使用する施設に国費を含む建設費三一億円を投入するものである。屈曲部分のあるルート設定のため建設費は割高になっている。又当初の輸送方法であるシャトルバスに比べると使用後の再使用は容易ではないと思われる。巨大な産業廃棄物となる可能性もある。国や地方の財政が逼迫している中でこのような計画は不適当ではないのか。見解を伺いたい。
四 万博ゴンドラ計画の住民説明会は三回しか行われず、その後、当該町内会から再三要求されているが行われていない。協会は十分な説明責任を果たさず、住民との合意形成を図ろうとしていないと考えられるがどう思われるか見解を伺いたい。特に当町住民はこのゴンドラ計画がいつ、誰の提案で、どのように決定したのか、そしてなぜゴンドラでなくてはならないのかの説明を強く求めている。
五 ゴンドラ建設中は資材運搬のヘリコプターが当町住宅地よりわずか二三〇メートルの第七支柱予定地で八一デシベル(これは空港周辺の基準であり住居用の主な騒音の基準は昼間でも五五デシベル)もの騒音をたてて作業するとしているが、このような耐え難い騒音環境は受忍限度を超え基本的人権を侵しているのではないか。
六 ゴンドラ沿線周辺住民のプライバシー対策のため「調光曇りガラス」を採用し「プライバシー保護区」を設定したとあるが「プライバシー保護区」の決定基準が明確ではない。又「調光曇りガラス」が不測の事態等で作動しなかった場合どうするのか。透明ガラスのまま全行程を運転するのか。プライバシー保護策が不十分ではないか。
七 本ゴンドラルートは当町住宅地ただ一つの出入り口のほぼ上空を通過する。近年この近辺は交通事故が多発している。国道上空をゴンドラが行き来する交通環境はドライバーの注意力を奪い、さらなる交通事故を誘発すると思われる。この出入り口の円滑な通過が望めなければ救急車等の緊急車両の到着に遅延をきたし、当町住宅地住民に重大な結果をもたらすおそれがある。このようなルート設定のゴンドラ計画は問題ではないか。見解を伺いたい。
八 本ゴンドラはルートと平行する救助用道路がなく国道一五五号線等の上空を行き来するがルートの下に保護施設はない。(平成一五年一〇月に長野県御岳ロープウェイで起こったゴンドラ死亡事故はルート下に保護施設があれば一命はとりとめたと思われる。)又事故等が起こり観客輸送できなくなった時の代替案も示されていない。更に「運用マニュアル」の有無が発表されておらず鉄道事業法違反の疑いがある。これらの安全対策不備についてどう思われるか。見解を伺いたい。
九 昨今の国際情勢を考えると、「効果的なデモンストレーションの場」となりうる万博でテロ行為が起きる可能性は否定できない。空中を移動するゴンドラは地上を走るシャトルバスに比べ標的となる危険性が格段に高まると思われるが、この点についてどのように考えているか。又そのような不測の事態の結果、当町住民の生命及び財産に深刻な結果が生じた場合どのような対応をとるのか伺いたい。
一〇 前述のように経済性、安全性、環境への影響、住民への影響等あらゆる点でゴンドラ計画は多大な問題を含んでいる。当初の計画であったシャトルバスのみの会場間観客輸送計画であればほとんどの問題点は克服できると考えられる。政府としてゴンドラ計画からシャトルバスへの変更を指導すべきと考えるがどう思われるか。見解を伺いたい。

 右質問する。



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