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平成十六年八月五日提出
質問第四八号

瀬戸市紺屋田町・東印所町の珪砂採掘計画に関する質問主意書

提出者  佐藤謙一郎




瀬戸市紺屋田町・東印所町の珪砂採掘計画に関する質問主意書


 本件に関しては、提出者は先に平成一六年六月一五日提出質問第一九七号において質問を行い、平成一六年七月一六日付内閣衆質一五九第一九七号、瀬戸市紺屋田町・東印所町の珪砂採掘計画に関する質問に対する答弁書(以下、「答弁書」という)で回答を受けているところであるが、なお不明な点につき明らかにするため以下の質問を行う。

一 本事業により周辺の自然環境と生活環境が著しく破壊される危険性について
 1 環境基本法第八条では、事業活動に当たり公害防止や自然環境保全のために必要な措置を講ずることは事業者の責務とされている。当該開発地を抱える瀬戸市の環境基本計画では、現地について「都心部に残されてきたまとまりある樹林地としての保全に努め、陶祖公園と一体となった活用や、緑地景観の保全に配慮する」としているほか、様々な絶滅危惧種の生息が市民団体の手で明らかにされている。事業者が環境基本法第八条に定められた必要な措置を講ずるためには、これらの事実に配慮し自然環境の調査をすることが不可欠であると考えるが、政府の見解を伺いたい。
 2 「愛・地球博」の会期中に近隣で自然破壊が行われることについては、会場から相当程度離れているから考慮しなくてもよいとの答弁と理解するが、現地はバスや乗用車などで中央道から多治見インター経由で瀬戸会場を目指す人たちが直接目にするところである。特に団体バス客の立ち寄り、買い物利用が多い品野陶磁器センターからは現地への視界を遮るものがない。さらに愛知県は博覧会の記念事業をホフマン工事跡で催すとしている。政府においてはこれらの点につきご確認されたい。
 また、答弁書では自然破壊と環境博との矛盾の問題を、単に博覧会会場から直接見ることが出来るかどうかという問題に還元しているようだが、大規模な自然破壊が環境博の近隣で進行している事実に変わりはない。あたかも会場から直接見えなければ問題がないかのように論ずることは、博覧会の理念を貶めるものではないかと考えるが、政府の見解を伺いたい。
 さらに事業者は採掘後の伐採跡地に植栽・緑化を行うとのことであるが、現存の森林植生と植栽によって復元される植生とを政府は同じものであるとみなしているのかお伺いしたい。
 3 珪砂鉱業協同組合では従来から散水を励行していると聞くが、瀬戸市では鉱山から相当程度にはなれた観測地でも空中浮遊物質が環境基準を上回る日が観測されている。答弁書では鉱山道路に散水車で常時散水するとのことであるが、それは従来から行われてきた対策でなぜ飛躍的な粉塵抑制効果が期待できるか疑問である。政府は、散水車増車による散水量の拡大など新たな粉塵抑制対策計画を承知されているのか。また租鉱区では「粉塵が飛散しにくい採掘方法」を採用するということであるが、坑内掘りと比較して本事業の露天掘りは堀採面が露出することから逆に粉塵が飛散しやすい採掘方法ではないかと考えるが、政府の見解を伺いたい。
 また、本事業の採掘は鉱区が幼稚園・老人福祉施設から僅か五〇mにまで迫るもので、このような至近距離での採掘は過去に類例もないことから、特に幼稚園・老人福祉施設側での空中浮遊物質の継続的観測と当該開発地内全域における従来以上の実効力ある粉塵対策が必要と考えるが、政府の見解を伺いたい。
 あわせて、もし幼稚園や老人福祉施設において空中浮遊物質が環境基準を超えることがあっても健康被害を発生させることは無いと判断されるのであれば、その根拠をお示しいただきたい。
 埋め戻しについては、トンネル工事に使用される土壌の柔軟剤や水害などで発生した廃土・廃棄物などは産業廃棄物ではないが地下水汚染への影響が懸念される。本事業の埋め戻しに使用される「表廃土」や「公共工事の残土」に化学物質が含まれるようなことはないか政府のご認識を伺いたい。さらに「知事の了解」がどの様な基準に基づき出されるものか明らかにしていただきたい。
 4 かつての泉町水害発生区域は本事業での開発区域に直接重なることはないが、同一の丘陵に位置することを政府は確認しているか。また答弁書では、本件事業者による地元自治会に対する金銭支払いについては詳細を承知していないとされているが、保安林解除に対する異議意見書を提出しにくくなったという住民の声もあることを承知されているかお伺いしたい。
二 本事業により採掘される珪砂の量と品位の評価が過去の調査結果と相違していることについて
 答弁書でいう「近年の選鉱技術の進歩」とはどのような進歩であるか示されたい。また、本件事業者に対し、粗鉱を珪砂精製業者以外に販売しないよう「確認」しているとあるが、どのような確認が行われたか。また今後とも継続的に選鉱業者に渡った粗鉱が粗鉱のまま販売されていないことを確認するおつもりか。
 さらに答弁書では、従前採掘価値がないとされた砂礫を選鉱技術の進歩を理由に資源と認め、鉱業法の対象としたとされている。しかし珪素の地殻存在度は二七・七二%で地殻を構成する最もありふれた元素であることから、珪素に鉱業法を適用すれば、選鉱技術の進歩に伴い採掘地区が無制限に拡大する危険性もあると考えるが、政府のご認識をお伺いしたい。市街地で砂礫層を掘る本事業はその先例とも言え、この様な事態が続発し社会的に甚大な影響を与えることがないよう何らかの歯止め策も必要と考える、政府はどのような基準・対策を用意されているかお伺いしたい。
三 鉱業法の公益の概念を時代の要請に合わせて柔軟に解釈することの必要性について
 答弁書によると、鉱業法第一条の「公共の福祉」の内容は経済的な利益のみに限られないとの見解であるが、経済的な利益以外の公共の福祉には具体的にどのようなものがあるか政府のご認識をお伺いしたい。さらに、本事業の施業案許可にあたり一般公益をも考慮したとのことであるが、議事録や評価手法など具体的資料の開示とともに、それら公益がどのように評価・比較考量され、その結果として施業案許可に至ったのか明らかにされたい。

 右質問する。



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