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平成十六年十月十四日提出
質問第一六号

原子力発電所で使用されているコンクリートのアルカリ骨材反応に関する質問主意書

提出者  吉井英勝




原子力発電所で使用されているコンクリートのアルカリ骨材反応に関する質問主意書


 二〇〇四年七月二十七日に原子力安全保安院に対して行われた「中部電力浜岡原発四号機の基礎及び建築建屋全般について使用されているコンクリートのアルカリ骨材反応」についての内部告発、及び八月十二日に行われた「東京電力福島第一、第二原子力発電所の基礎及び建築建屋全般について使用されているコンクリートのアルカリ骨材反応」についての内部告発が、指摘の通りの事実であれば、原発の安全性を揺るがす重大な問題になる。
 すでに中部電力は十月十二日に、浜岡原発四号機の骨材製造会社の納入したコンクリートについて、「試験成績書の改ざんや試験サンプルのすり替えという不正行為を行ったことを確認した」と発表した。
 よって、以下に示す問題について政府の取り組みについて質問する。

(一) 浜岡四号機の建設時期は一九八九年から一九九〇年にかけての頃、福島第一と第二原子力発電所の建設期は一九六〇年代末から一九八〇年代中半にかけての時期であるが、それぞれの建設当時のコンクリートの配合の状況を示して、アルカリ骨材反応が起きるのか否かの専門的評価を明らかにされたい。
 なお、アルカリ骨材反応は、セメント中のアルカリ量(酸化ナトリウムと酸化カリウムの合計量を酸化ナトリウムに換算した量)が、〇・六%以下なら起こらないとされている。したがって、コンクリート配合の状況については、水/セメント比、単位水量、使用したセメントの種類とセメント中のアルカリ量、製造したメーカー名と工場名、さらに粗骨材及び細骨材の採取地名とそこでの主要鉱物名をそれぞれ示されたい。
(二) 中部電力浜岡原発四号機と東京電力福島第一及び第二原発それぞれの、原発建設時に生コンを納入した業者名とその時期及び数量を明らかにして、原子炉の基礎と原子炉建屋の強度、耐久性、耐震性など原発本体の安全性にかかわる評価をどのように行っているか示されたい。
(三) コンクリートの健全性の確認のためには、コンクリートのコアを採取して、第三者を含めた専門的検討が必要と考えられる。そこで、内部告発のあった浜岡原発四号機と福島第一、第二原子力発電所の基礎及び建築建屋全般について、原子力安全保安院としてのコア採取など調査の計画を示されたい。
(四) 二〇〇〇年二月二十二日の予算委員会において、関電美浜原発三号機建設時の「しゃぶコン」と呼ばれる加水量の多いコンクリート問題について質問した。テストピースのすり替えなど強度データの偽造が行われているのではないかという問題の真偽についての調査も求めた。
 この時の政府答弁では、この原発建設時の「コンクリート打設工事における品質管理につきましては、建設会社そして関西電力が、日本建築学会が定めます基準に基づきまして強度検査等を行ってきて」いるとして、通産省として使用前検査において、「関電の検査結果の記録を確認」したと答えた。
 しかし、関電がコンクリートの「実構造物の強度確認を実施したことがある」が、「その結果は、設計強度を十分上回っていることを確認しているという報告を受けている」として、国が直接、検査して確認したものではないことを明らかにしていた。
 すでに今年八月九日の関電美浜原発三号機事故などにより、関電が二十八年間も事故を起こした配管を検査せず、検査は下請会社に丸投げ、そして下請の検査データを関電自身が改ざんしていた(火力発電部門で発覚)という三つの重大な誤りが明らかになった。したがって、国がこの関電の「記録を確認」しても、「確認していると報告を受けて」も、コンクリートの安全性確認の保証にはならない。
 二〇〇〇年二月の予算委員会では、前記の質疑を踏まえて、総ての原発について、コンクリート「打設時の強度試験が真正のテストピースで行われたものなのか」、加水しすぎた「しゃぶコンの事実はどうであったか」を徹底して調査するように求めた。
 当時の通産大臣は、関電の確認結果からみて必要となれば、他の原発の確認についての可能性を否定はしないと答えた。今回、浜岡と福島の原発工事に当たって使用されたコンクリートのアルカリ骨材反応についての内部告発が行われ、浜岡で告発の事実が明らかになった段階で、改めて、すべての原発について徹底調査を行うことを検討すべきではないか。

 右質問する。



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