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平成十六年十月二十二日提出
質問第二七号

電話加入権に関する質問主意書

提出者  島  聡




電話加入権に関する質問主意書


 平成十六年十月十九日に総務省の情報通信審議会は、NTTの施設設置負担金の段階的引き下げを答申した。既にNTTは施設設置負担金を廃止する方針を打ち出しており、答申を受けて施設設置負担金は数年後に廃止されるものと思われる。
 施設設置負担金を払うことで発生する権利は、一般に電話加入権と呼ばれ、市場で取引されるなど、長年にわたって国民の財産となってきた。電電公社は昭和四十四年に発行した『加入事務(総論)』の中で、「電話加入権は財産権である」と明記している。NTTも平成六年ごろに配布されていた営業用パンフレットで「いつまでも大切な財産になる」と宣伝するなどしていた。そのため、広く国民は電話加入権が財産であるとの認識をもっていた。これを廃止することによる影響は計り知れない。
 電話加入権等について、国民の財産権の保護及び消費者利益の観点から、政府に以下の項目について質問する。

一 平成十六年十月十九日の衆議院予算委員会において阪田内閣法制局長官は、「電話加入権も(中略)財産としての価値を有する限りにおいては、当然に憲法第二十九条一項に規定する財産権になる」と答弁している。その後委員からも指摘が出ているが、今回のように政府と政府が出資する特殊会社であるNTTの判断で、国民が持つ財産の市場価値を無くすということは、憲法で禁止される財産権の侵害にはあたらないのか。政府としてのお考えをお示しいただきたい。
二 答申では、電話加入権の税法上の扱いについて、減価償却を認めるなど、必要な措置を検討することを求めている。しかし、減価償却を認めるという方法では、法人や、店舗付き住宅などに電話を持つ個人事業者等は負担が軽減されるが、一般の個人は負担が軽減されないという不公平が生じる。こうした不公平を是正するために、確定申告での雑損控除を認めるなど、その他の何らかの措置を講ずるお考えはあるか。
三 この施設設置負担金については、廃止の検討が報道され始めた今年二月以降、「固定電話の施設設置負担金に関する質問主意書」「固定電話の施設設置負担金に関する再質問主意書」において繰り返し質問をしてきた。しかしながら、政府はこれまでの答弁で『今後も様々な観点から幅広く検討してまいりたい』『現時点においてお尋ねについてお答えすることは困難である』と施設設置負担金について明確に答えてこなかった。その間に、電話加入権の市場価値は約半分に減少している。政府が説明責任を果たさなかったために、「早めに売り抜けた人」と「保持し続けていた人」との間で著しい不公平が生じたと考えるが、政府のお考えはいかがか。
四 総務大臣が情報通信審議会に施設設置負担金の見直し等について諮問したのは、平成十六年四月二十日である。それ以後、審議会において施設設置負担金の廃止が検討されている間にも、約一万五千人が七万二千円の施設設置負担金を払って電話に加入している。また、現在も施設設置負担金を払って電話に加入する方法が残されている。消費者契約法第三条には、「勧誘をするに際しては(中略)消費者契約の内容についての必要な情報を提供するよう努めなければならない」としている。これまで「電話加入権は財産である」「いつまでも大切な財産になる」と電電公社・NTTが営業活動で繰り返し宣伝してきたことで、財産的な価値があるということは国民に広く認識されていた。それにも関わらず、審議会で検討されている間に、数年のうちに今後大きく財産価値が減少する可能性のあることを説明してこなかったことは、消費者契約法に照らして問題があると考えるが、政府のお考えはいかがか。

 右質問する。



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