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平成十六年十一月四日提出
質問第三四号

北海道警察における国費及び北海道費流用に関する質問主意書

提出者  鉢呂吉雄




北海道警察における国費及び北海道費流用に関する質問主意書


 昨年十一月以降、北海道警察は、旭川中央警察署の捜査用報償費(北海道費)支出に関する裏金づくりがあったとの疑惑が持たれ、今年に入り北海道警察予算執行調査委員会を設立し、捜査費(国費)及び捜査用報償費(北海道費)について、内部調査を続けている。北海道警察予算執行調査委員会は、本年九月十三日、平成十年度から同十二年度における捜査費、捜査用報償費、旅費(国費、道費)、交際費及び食料費についての執行状況についての、中間報告(捜査用報償費等特別調査進捗状況報告・以下単に「報告」という)をなした。この報告によれば、驚くべきことに平成十年度から同十二年度までに約十一億円が不正に支出されていることが判明したことになる。しかも、これらの不正支出金は、北海道警察のほとんどの部署において、慣行的・組織的に不正支出されていたことを認めている。
 この報告は、昨年来指摘されていた北海道警察の裏金疑惑を北海道警察自らが認めたことを意味するとともに、「慣行的・組織的」不正事実は、北海道警察にとどまらず、全国的な問題であることを根拠付けるものである。しかも、その不正支出は、北海道費に限らず国費までをも不正支出していたもので、重大な国政に関する問題である。
 以上の観点から、次の事項について政府に対し質問する。なお、問題の緊急性にかんがみ、国会法七十五条二項に規定するとおり、質問主意書受領の日から七日以内に答弁されたい。また同様の文言が並ぶ場合でも、項目ごとに平易な文章で答弁されたい。

1 不適正(=不正)な予算執行について
 (1) 原田宏二氏(元北海道警察釧路方面本部長)の実名証言(平成十六年二月十日)、斉藤邦雄氏(元北海道警察弟子屈署次長)の実名証言(平成十六年三月一日)に対し、警察庁は如何なる認識をもっているのか。また証言内容の事実確認は行ったのか。行ったとすれば、それは如何なる方法で行われ、その確認の内容は如何なるものなのか。事実確認を行っていないとすれば、それは如何なる理由をもって行われなかったのか。
 (2) 北海道警察における平成十年度から同十二年度における国費の不正支出について、北海道警察本部による報告がなされた九月十三日以前に、政府は知っていたのか。
 (3) 前項で、知らなかった、と答弁した場合、従来の会計検査院の検査で、なぜ発覚しなかったと考えるのか。
 (4) 会計検査院の検査で発覚しなかった場合、北海道警察による会計検査の偽装等が行われていたのか。
 (5) 北海道警察における不正支出は、誰による指示でなされたのか。その指示は明示なのか、黙示なのか。
 (6) 北海道警察における不正支出について、今後どのような調査、検査を行うつもりなのか。
 (7) 北海道警察の不正支出は、会計検査院の検査では従来は発見できなかったとすれば、今後検査によって発見するためには従来とは異なる特別の検査が必要と考えるが、従来とは異なる検査方法の必要性について政府の見解を求める。
 (8) 北海道警察における不正支出について、その不正に領得された金員が、いかなる使途に使われたか、調査をするべきと考えるが、どうか。
 (9) 報告に、北海道警察本部は「不適正な予算執行」としているが、不適正と判断した根拠は、何をもってなされたのか。その根拠・基準について回答されたい。また警察庁が判断する「不適正な予算執行」の基準を示されたい。
 (10) 報告に、「不適正な予算執行」とあるが、具体的にどのような方法で執行されたのか、明らかにされたい。
 (11) 報告に、「不適正な予算執行」と「正規な予算執行手続きを経ず」の文言が明示されているが、その文言には、どのような違いがあるのか、明らかにされたい。
 (12) 報告に、「捜査用報償費を不適正執行した部署のうち、過半数の部署で捜査用報償費と捜査費を区分せず一括管理していた実態」とあるが、過半数の部署とはいずれか。また一括管理とは具体的にどのような内容・方法か、明らかにされたい。
 (13) 報告に、「自部署の捜査用報償費等を執行しない職員あるいは他部署の知り合いの職員に依頼をして作成」「領収書が未徴収であったため、他の領収書を添付」とあるが、正規の領収書を取得できない理由は何れにあるのか。事実と異なる領収書の作成は偽造とならないか。併せて偽造の場合は「私文書偽造罪」に抵触するのではないか。
 (14) 平成十六年度第三回北海道議会一般質問答弁に、「正規の会計手続きに則り捜査用報償費等を執行しなければならないという理解が不足していた」とあるが、所属長等は会計処理等、実務に携わるのか。またこれまで所属長等に対して、会計処理の知識を会得させる機会はあったのか。あるとすれば、それはどのような方法なのか。
 (15) 平成十六年度第三回北海道議会一般質問答弁に、「公的使用」「準公的使用」「私的使用」とあるが、具体的な事例をあげて位置付けを示されたい。また「公的使用」「準公的使用」は会計上、どのように規定されているのか。併せて「公的使用」「準公的使用」の執行責任者は、いずれのものなのか。
 (16) これまで北海道警察予算執行調査委員会が公表してきた「報告」の内容は要約という形での公表になっており、民意が求める、事実・真実の解明には応えたものとなっていない。今後、公表される「最終報告」については、その調査内容の適否を確認する必要がある。また情報開示・公開の視点にたち、調査した全ての資料を国会に提出すべきと考えるが、如何か。
 (17) 報告によると、国費においても裏金づくりと目的外使用が明らかになった。警察庁は、各都道府県警の国費予算の執行状況を早急に確認(監査)すべきと考えるが、如何か。確認をしたとされるなら、それは如何なる方法をもって行われたのか。
 (18) 国費の裏金化について警察庁は、どのような認識をもっているのか。
 (19) 北海道警察本部が今後示す国費の返還について、返還額算定の根拠、妥当性について、警察庁はどのような基準で判断するのか。
2 会計課の業務について
 (1) 全部署の会計課職員には、通常の会計処理のスキルは備えられているのか。また会計処理を行う知識の会得は、如何なる方法をもって行われるのか。
 (2) 会計課は不適正執行を行っていた所属長等から、捜査費及び捜査用報償費の不適正な会計処理に関して相談を受けていた事実はあるのか。また会計課は、捜査費及び捜査用報償費の不適正な会計処理に関して、所属長等に対して指示・指導をしていたことはあるのか。あるとすれば、それは如何なる内容のものか。
 (3) 北海道警察本部会計課は各署会計課に対して、国費及び北海道費の執行・管理にあたって指示・指導を行うことはあるのか。あるとすれば、それは如何なる内容についての指示・指導か。
 (4) 報告に、「会計課担当職員が執行実態と異なる支出関係書類を作成するなどの予算執行形態が継続して行われていた」とあるが、処理を行っていたのは担当職員の全員か、特定の者か。
 (5) 報告に、「内部における会計検査」とあるが、会計検査は何を目的に行っており、誰が誰に対して行うものなのか。
3 北海道警察予算執行調査委員会について
 (1) 本委員会の調査委員百五十人のうち四十人が当時、所属長等として配属されていたが、配属署当時、不適正な予算執行は存在していたのか。存在していたとするならば、実際に執行に関わっていたのか、もしくは認知(黙認)していたのか。
 (2) 報告に、「無作為に抽出して捜査員に支払清算書等の支出関係書類を示して執行状況等について聴取」とあるが、如何なる根拠をもって無作為に抽出したのか。
 (3) 調査委員が当時、署に配属されていた時の各費目の執行責任者と会計処理担当者は誰であったか。
4 旅費について
 (1) 報告に、「警察本部の一部署において旅費(北海道費)を交際費経費等に充てるという不適正な執行」とあるが、旅費を交際経費に充てた理由を明らかにされたい。
 (2) (1)項に関連し、一部署とは、いずれの部署なのか、明らかにされたい。
 (3) 報告に、「北海道費旅費の執行調査は全職員を対象に書面調査」とあるが、書面調査の内容を明らかにされたい。また書面調査は、いつの時期をもって終了し、どのような方法で公表されるのか、明らかにされたい。
5 北海道警察北見方面本部警備課について
 (1) 会計検査院に存在の有無を指摘されたパブの存在を証明するために作成した「観光マップ、求人広告、店舗関係者の名刺」のうち、求人広告だけを会計検査院に提出したとされるが、
  @ 警察庁に求人広告だけが提出された理由は如何なるものか。
  A 警察庁に求人広告だけを提出したのは、誰の判断・指示なのか。
  B 作成された証明資料「観光マップ、店舗関係者の名刺」は現在、どこに保管されているのか。
 (2) 会計検査院への証明資料(求人広告)は「警察庁への資料送付は、北海道警察本部または北見方面本部からファックスで行った」と北海道警察本部は回答しているが、
  @ ファックスによる資料の送付は誰の指示によるものか。また送信した年月日を明らかにされたい。
  A 送信元を、北海道警察本部または北見方面本部、としているが、送信元を特定できない理由は如何なるものか。
  B このファックスを受信したのは警察庁のいずれの部署か。また受信の有無は確認されているのか。
 (3) 警察庁及び北海道警察本部は、パブの実在の有無を確認していないとされているが、確認しなかった理由を明らかにされたい。
 (4) 北見方面本部警備課長はいずれの者に証明資料(三点)の作成を指示したのか。
 (5) 北見方面本部警備課長から作成の指示を受けた者は、「知り合いの印刷業者に作成を依頼」とされているが、
  @ その印刷業者と作成指示を受けた者の関係は、具体的には如何なるものか。
  A 印刷業者への印刷代金の支払は行われたのか。支払が行われたとすれば、支出費目は何れに該当するのか。また領収書は残存しているのか。
 (6) 本件は明らかに「業務上横領罪」「詐欺罪」「私文書偽造罪」に抵触するものではないか。警察庁及び北海道警察本部には、刑事事件として捜査・立件を行う意思はあるのか。

 右質問する。



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