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平成十六年十一月三十日提出
質問第五七号

国営中海土地改良事業の計画変更に関する質問主意書

提出者  山内おさむ




国営中海土地改良事業の計画変更に関する質問主意書


 国営中海土地改良事業(以下「当該公共事業」という)の中止に伴う変更においては、中海の原状回復を目指す必要があると同時に、当該公共事業の中止・変更の過程を国民からみて透明で納得できるものにし、さらに将来に向けた漁業振興策をすすめる必要があると考える。
 従って、次の事項について質問する。

一 計画変更の目的について
 中海の貧酸素水塊の発生による環境破壊の原因として以下のことが考えられる。すなわち、水交換の主要ルートであった森山堤防及び大海崎堤防を閉鎖したため、また境水道・中浦水道を拡幅し、水深を一〇メートルまで浚渫し、弓ヶ浜半島地先を七メートル、深いところで一四から一五メートル掘り下げたことなどのために、かつての左回りの自然な水の流れを遮り、海水と湖水の水交換を中浦水道のみで行ったことである。従って、計画変更の目的は当該公共事業でなされた地形改変でできた貧酸素水塊を解消させ、中海・宍道湖が本来持っていた機能を事業者(国)の責任で回復させることとすべきである。
 公有水面埋立法第三五条は、事業の中止等による埋立免許失効の場合の措置として、事業主体に対して原状回復を義務付けているところであり、計画変更の目的を明らかにし、原状回復に対する考えにつき答弁されたい。
二 森山堤防及び大海崎堤防の開削について
 農林水産省中国四国農政局は「堤防を開削してもしなくても中海や宍道湖の水質に変化はない」として「開削しない」という態度を変えていないが、地元と提携した調査結果は「中海の水質悪化や生態系の破壊は事業による地形改変によって促進されたことは明らかになっており、そのもっとも大きいものは両堤防によって基本的湖流が失われたことであり、開削しもとの左回りの流れを取り戻すことが必須の条件である」としている。
 このことは、農水省が設置した水産調査専門委員会(一九九七年から一九九八年)に於いて、水産振興にあたっては、両堤防の開削を前提として、さまざまな検討がなされ「堤防開削と中浦水道を浅くすることをセットでおこなうことによって効果がある」と報告されている。農水省が自らおこなった水産調査専門委員会の調査結果について、どのように認識し評価しているのか答弁を求めたい。
三 中浦水門の撤去前における研究結果の科学的な検証について
 財団法人宍道湖・中海汽水湖研究所と島根大学の相崎教授がおこなったシミュレーションでは、貧酸素水塊の解消のためには堤防開削と中浦水道を浅くすることをセットでおこなう必要性が確認された。また、「浅くする代わりに中浦水門が活用できることが明らかにされ水門撤去は原状回復をすすめる上から取り返しのつかない莫大なムダ遣いの上、自然環境破壊を一層すすめることになりかねない」と指摘されている。はじめから水門撤去ありきでなく、まず堤防開削により潮流の効果を検証し、研究者の調査結果を国としてシミュレーションすべきだと考えるが、見解を伺いたい。
四 浚渫窪地の埋め戻しについて
 弓浜工区、彦名工区の埋立のために違法に掘り下げられた浚渫窪地が放置されており、点在する窪地から貧酸素化が始まっている。(これは中海研究者の岸岡努先生が最初に発見され、無酸素水域となっていることを発表され、その後の研究者や、米子市も調査している)国は浚渫窪地の実態を調査し、埋め戻す責任があると考えるが、答弁を求めたい。
五 漁業振興計画について
 農水省が設置した「水産調査専門委員会」のさまざまな検討結果を生かし、漁民、地域住民の強い要望である漁業が安定的に繁栄する宍道湖・中海水系一体となった漁業振興計画を立て、推進することがその職務と考えるが、この点につき答弁を求めたい。
六 中海協議会の構成について
 中海協議会に漁業者・住民・研究者を参加させ、中海の「賢明なる利用」について地域全体で検討すべきと考えるが、政府の見解を答弁されたい。
七 科学者の知見を原状回復に生かすことについて
 中海協議会は研究者の意見を一度も求めていない。専業主体者である農水省は(第三者)科学者の知見を充分に聞き、原状回復し、賢明な利用をするために生かす姿勢が問われていると考えるが、この点につき答弁を求めたい。

 右質問する。



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