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平成十七年八月一日提出
質問第一一一号

少子化社会における少年非行に関する質問主意書

提出者  首藤信彦




少子化社会における少年非行に関する質問主意書


 現代日本の少子化社会において、少年を取り巻く環境は急速に変容している。この変容に伴い、少年犯罪における背景も多様化し、生育歴、家庭環境など複雑化している。こうした中で非行を犯した少年を更生し、社会生活への適応能力育成の取り組みなど、重要な役割を担う少年院のあり方についても見直しをする必要があると考え、少年院の実態調査を行った。諸般の情報から、とりわけ問題点も指摘されている小田原少年院を視察した。同少年院は施設面、人的面でも喫緊の課題が確認された。よって次の事項について質問する。

一 少年犯罪と現代日本の社会現象との関連について質問する。
 1 現代の少子化社会が与える少年非行への影響について見解をお尋ねする。
 2 若者の就職難、フリーターに見られる雇用形態の変化、ニート、引きこもりの増加等、少年を取り巻く環境は厳しくなっているが、このような社会現象と少年非行の関連性をどのように捉えているかお尋ねする。
二 次に少年院全般について質問する。
 平成十六年版犯罪白書によると、少年院入院者の実数は増加しているとある。教育システムが集団的対応から個別対応へと変化している社会の中で、職員の定員も実態にあわせ増強する必要があると思われるが、見解をお尋ねする。
三 次に今回視察調査した小田原少年院に関して質問する。
 1 同施設は活断層に近い地域にある築八十一年を経過した老朽化した木造建築である。極めて高い確率で大規模地震の被災が予想されるが、建物の耐震限度についてお尋ねする。また、耐震限度を超える震災を受けた場合、施設ならびに人的な被害をどの程度と想定されているかお尋ねする。
 2 右の事態に対する備えはいかがなものか。建て替えあるいは移転が急務であると思われるが、具体的な計画内容および実行のスケジュールについてお尋ねする。
 3 同施設において、使用が不可能なまでに老朽化した宿泊棟があるが、それにより、入院定員の減数などの対策は行われていない。そのため、事実上過剰収容の原因となっている。犯罪白書では、過密な環境が緊張感、圧迫感というストレスをもたらし、好ましくない心理的影響を及ぼすとあるが、少年の更生の目的に鑑み、この実情をどう捉えるかお尋ねする。
 4 同施設は大正時代に建築された元少年刑務所であり現代の更生施設として相応しいものではないものと判断する。空調設備、洋式トイレやシャワーもないなど、明らかに現代の生活様式にはそぐわないものとみる。こうした現状の中で本来の更生という目的が果たせるものと認識されているか、その見解をお尋ねする。
 5 監視モニターは設置されていても、モニタリングする職員がいないなど、明らかに職員の定員が足りないものと考えるが、見解をお尋ねする。
 6 再入院率四十四%という数字から分かるように、少年が更生し出院しても、社会の受け皿が整ってないため再入院率が高くなっている現状があると思うが、見解をお尋ねする。
 7 職業補導プログラムの中で資格取得を斡旋しているが、就職率は三十一%である。この数字から見えるように、現代の就職事情とのミスマッチが就職率があがらない理由のひとつだと考えられるが、プログラムの設備・研修・指導員数の改善などを視野に入れているかお尋ねする。
 8 出院後に復学を希望する少年がいても、実際に復学できたものは極めて少ないと言われる。就学状況の安定が少年の更生を助け、再犯を防ぐという観点から考え、学校との協力体制づくりなど復学率改善のための具体案についてお尋ねする。

 右質問する。



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