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平成十七年九月三十日提出質問第五号
国民年金納付の扱いに関する質問主意書
国民年金納付の扱いに関する質問主意書
昨年春、国務大臣経験者の年金未納、未加入問題が政治問題化しました。国務大臣に就任し国家公務員共済に加入した時点で、大臣については共済の長期給付つまり年金が適用除外になっているのにもかかわらず、誤って国民年金からの脱退の手続きがとられた例がかなりあることが報道されました。
その一例として、私、菅直人の場合も厚生大臣に就任した一九九六年一月の時点で国民年金について資格喪失(脱退)となり、厚生大臣を辞めた同年十一月の時点で資格を再取得し、その結果厚生大臣在任中の十ヶ月が未加入扱いになっていることが昨年、二〇〇四年四月の調査で判明しました。その後二〇〇五年五月十四日になって社会保険庁が菅直人の厚生大臣就任時の資格喪失手続きが間違いであったことを認め、武蔵野社会保険事務所長から「資格喪失の取り消し」を行った通知と、厚生大臣在職中も国民年金被保険者であったことの証明書が菅直人あてに発行されました。
そこで間違って資格喪失とされていた期間について保険料の納付を申し出たところ、銀行からの自動振り込みでいったん納入され、その後社会保険庁から還付されていた二ヶ月分については返納金として納付を認められましたが、残りの八ヶ月分は「時効」を理由に納付を拒否されています。その理由として本来の納付期限、つまり未加入扱いとされていた一九九六年の厚生大臣在任期間から二年以上経過しており、時効期間が経過しているというものです。
しかし、実際には、厚生大臣就任以前から継続していた銀行からの自動振り込みでいったん納付した保険料までが、厚生大臣在任期間中は資格喪失を理由に社会保険庁から「還付」されたことからも判るように、大臣在職期間中の保険料の受け取りは社会保険庁によって拒否されていたのです。その後、社会保険庁は、私が大臣を辞任した後の一九九六年十一月分の保険料からその受け取りを再開しました。
社会保険庁自らが間違って受け取りを拒否していた期間内に納付すべきだったというのは論理矛盾です。つまり社会保険庁が「資格喪失の取り消し」を行った二〇〇四年五月十四日までは社会保険庁は保険料の受け取りを拒否していたわけで、拒否していた期間を「時効」の二年間に参入することは社会的には明らかに不当であり、法理論的にも間違いです。
以上の理由から、時効の発生の起点は、社会保険庁が「資格喪失の取り消し」を行ったとき、つまり、未加入期間とされていた大臣在任中の保険料納付ができるようになった二〇〇四年の五月十四日からであり、二年間の時効はまだ成立していないはずです。
保険料に関しては、国税徴収の例によることによって適用される国税通則法により、時効の利益を放棄できないとの説明もありましたが、問題は時効の発生時点にあります。国税通則法には本ケースの様な場合について時効の発生について何も規定はありません。特に年金保険料の納付は納税の場合と異なり、義務であると同時に年金給付を受けるための「権利」でもあります。保険料の受け取りを拒否されることで被保険者も給付時点で不利益を受けることになり、税とは性格を異にします。
そこで、以下質問します。
二 本ケースの場合、厚生大臣在任中の期間の保険料納付を認めるべきと考えるがどうか。
三 大臣経験者で、本ケースと同様にいったん未加入扱いを受け、後に加入期間として保険料の納付を認められたケースがあると聞いているが、事実か。事実なら、認められた理由を明らかにされたい。
四 社会保険庁は国民年金の未納を減らすための努力をしていると聞くが、本ケースのように官僚的な解釈で逆に受け取り拒否をしている例はあるのか。
右質問する。