衆議院

メインへスキップ



質問本文情報

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成十七年十月二十七日提出
質問第三五号

私的録音録画補償金制度の改正論議に関する質問主意書

提出者  川内博史




私的録音録画補償金制度の改正論議に関する質問主意書


 現在、文化審議会著作権分科会法制問題小委員会(以下、「法制問題小委員会」という。)においていわゆる私的録音録画補償金制度(以下、「補償金制度」という。)の改正を巡る論議が行われているところであるが、補償金制度の改正に当たっては制度強化・適用範囲の拡大を求める著作権者及び著作隣接権者等により構成される団体等(以下「権利者団体等」という。)の主張のみに偏すること無く様々な立場の者から意見を聴取すると共に、補償金制度の改正を求めている著作権者及び著作隣接権者等が私的録音により深刻な被害を受けている実態が存在するのかを綿密かつ客観的に評価することが必要であると考えられる。
 そこで、以下質問する。

一 現在、社団法人日本音楽著作権協会(以下「JASRAC」という。)を始めとする権利者団体等は株式会社アップルコンピュータ(以下「アップル」という。)が発売している「iPod」に代表されるハードディスク型もしくはフラッシュメモリ型携帯音楽プレーヤー(以下「HDD型プレーヤー等」という。)を補償金の対象とするよう政令で指定することを求めているが、日本経済新聞の本年八月二十二日付紙面に掲載された記事によると「今年春、文化庁の政策担当者」が次のような発言を行ったと報じられている。
 「アップルさん、iPodで絶好調じゃないですか。補償金、覚悟してください」。
 この発言を行った「政策担当者」は明らかに「文化庁の政策担当者」という公的な肩書きを背景に発言しているものと考えられ、当該「政策担当者」の私的な見解を表明したものではないと考えられるが、この発言を始めとする文化庁長官官房著作権課(以下「著作権課」という。)の姿勢について質問する。
 1) この発言が事実であれば、当該「政策担当者」は明らかに補償金の対象拡大を要求しているJASRAC等の権利者団体等に偏重した姿勢を一方の当事者であるアップルに対して表明したものと考えざるを得ないが、「政策担当者」のこのような行動は日本国憲法第十五条第二項「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。」の規定に反しているのではないか。また、当該「政策担当者」には国家公務員倫理法(平成十一年八月十三日法律第百二十九号)第三条における「職員は、国民全体の奉仕者であり、国民の一部に対してのみの奉仕者ではないこと」の自覚が著しく欠如しているのではないか。
 2) 本年八月三日の衆議院文部科学委員会においても確認したところであるが、本年七月二十八日に開催された法制問題小委員会において新任の著作権課長が「もちろんこの制度につきましては、法律に制度が立てられ、それに基づいて必要な指定を行うということでございまして、中村委員がおっしゃったとおり、その委任を受けて内閣において決めるべきものというふうに考えておりまして、行政であります内閣が粛々と決めるべきものかというふうに思うわけでございますけれども」と、法制問題小委員会において権利者団体等の要求通りの結論が出ない場合であっても文化庁が独断でHDD型プレーヤー等を補償金の対象に追加する趣旨の政令改正を閣議に諮る可能性を示唆したとも取れる発言を行ったことについて一部で批判が出ているが、著作権分科会或いは法制問題小委員会の結論とは別に文化庁が判断するということなのか、改めて政府の見解を問う。また、かかる意図が無い場合であっても、当該発言が政策責任者の発言としては誤解を招くおそれのある不適切な発言であったことは認めるのか。
二 本年九月八日より十月七日まで実施されていた『「文化審議会著作権分科会法制問題小委員会審議の経過」に対する意見募集』(以下「当該意見募集」という。)の募集要項には「なお,本意見募集の趣旨は,本小委員会における検討を行う際に有益な意見を求めることにあり,個別の論点に係る賛否の数を問うものではありません。したがって,いただいた御意見については,原則としてそのまま本小委員会に付し、個別の項目に係る意見提出数の集計・公表は特段いたしません。」と記載されているが、九月三十日開催の第八回法制問題小委員会の冒頭でHDD型プレーヤー等を補償金の対象に追加することの賛否ないし補償金制度そのものの是非について「中間報告」と称して賛否の数値が公表されたと一部で報道されている。
 この「中間報告」について以下質問する。
 1) この「中間報告」は著作権分科会事務局(以下「事務局」という。)の判断で行ったものなのか。或いは、特定の法制問題小委員会委員や権利者団体等の利害関係者が要求して公表したものなのか。
 2) 募集要項の記述に反して賛否の数値を中途で公表することは募集要項の記述を信用して意見を提出した一般国民に不信感を抱かせるおそれがあると考えるが、政府の見解如何。また、HDD型プレーヤー等の追加指定に反対する意見が賛成する意見を大きく上回っている途中経過を公表することは、JASRAC等の権利者団体等に組織的な賛成意見の動員を勧奨する行為と取られるおそれについてはどのように考えるのか。
三 本年七月二十八日、カナダの最高裁判所はHDD型プレーヤー等を補償金の対象に追加する同国著作権委員会の政令を無効とする控訴裁判決の上訴を棄却したが、我が国と同じ文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約(以下「ベルヌ条約」という。)加盟国であるカナダにおいてこのような司法判断が下されたことは、JASRACを始めとする権利者団体等が同日、記者会見を開き報道機関に配布した資料に「必要な政令指定を行わないのは、我が国著作権制度の危機であり、明確なるベルヌ条約、WIPO著作権条約違反」とある記述が全くの誤りであることを証明するものと考えられるが、政府の見解如何。

 右質問する。



経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.